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クイズ百万長者

「ちなみに、これってどういうアプリなんですか?」

「それがね、私の〈アンロック〉はアプリのロックを解除できるだけで、どんなアプリなのかとかはわかんないんだよね。でも、アプリを開けるようにはなったはずだから、あれこれ試してみるのもいいかもね」

「わかりました。今度、試してみます」

「でも、その前に――」


そう言った中三川さんは、いきなり寸劇を始めた。


「それでは早速、今回の挑戦者をお招きしましょう。築地南高等学校2年生、時枝彩輝君です!」

「何が始まるんです――?」

「クイズ百万長者!」


中三川さんと新宅さんがパチパチと拍手をする。


「時枝彩輝君。あなたの人生を変えるかもしれないクイズ百万長者へ、ようこそおいで下さいました」

「はあ」


僕が困惑している横で、安峰さんがケット・Dに話しかけている。


「これは何の時間なの?」

「わからんが別にいいじゃないか。好きにさせてやってくれ」

「あんた、あの2人にちょっと甘いんじゃないの?」

「吾輩は黒猫だから黒髪女子に弱いのは確かだな」

「金髪にしてて悪かったな」


「それでは問題です」と中三川さんが言った。


「あなたがインストールした〈ロールバック〉は――どんなアプリ?」

「いや、それ僕が聞いたんですけど」

「ライフラインは3つ残っています。使いますか?」

「あるんですね。使えるなら使いますけど。ちなみに1つ目は?」

「――〈オラクル〉」


確か新宅さんが持っていたアプリだ。

嘘を見抜けるアプリだと言っていた気がするけど――。


「どんなライフラインですか?」

「美呼さんがアプリ〈オラクル〉を使いますので、その後に『ヘイ、モノシリ』と呼びかけてください。音声対話型AIモノシリが起動しますので、モノシリに何か質問をしてください。モノシリが全知全能の神に問い合わせて質問に対する回答を教えてくれます。ただし、質問は時枝彩輝君ご自身に関する質問でなくてはならず、イエスまたはノーで回答できる質問でなくてはなりません。また、1回の〈オラクル〉の使用につき、質問ができるのは1回だけです」


中三川さんがカンペを読みながら説明してくれる。

説明を聞いた限り、そこまで使い勝手が良さそうなライフラインではなさそうだ。

いったん、これは保留だ。


「それで2つ目は?」

「――〈オラクル〉」

「一応聞きますけど、3つ目は?」

「――〈オラクル〉」

「要は新宅さんの〈オラクル〉で確かめろってことですかね?」

「――〈オラクル〉を使いますか?」

「それしかないから、それ使いますけど」

「それでは、美呼さん。〈オラクル〉をお願いします」

「わかりました」


新宅さんがスマホを僕に向ける。

〈オラクル〉はカメラ系のアプリらしい。


「降りたまえ」


新宅さんはそう言ってボタンを押した直後、そのスマホを取り落とした。

まるで魂が抜けたようにかくんと首を垂れた新宅さんは、そのままマネキンのように動かなくなった。

大丈夫なんだろうか?


「時枝君。何か気付かない?」


中三川さんが普通の喋り方に戻って言った。

どうやら、クイズ百万長者は唐突に番組終了となったらしい。


中三川さんに言われてよく観察をしてみると、床に落ちた新宅さんのスマホにバキバキにひびが入っている。


「新宅さんのスマホがバキバキです」

「そうなんだけど、そういうことじゃなくて。美呼に〈スタット〉を使ってみてよ」


僕は新宅さんのステータスを見てみた。


  ――――――――――――――――

  名前          新宅美呼

  ――――――――――――――――

  LV            11

  属性             善

  ――――――――――――――――

  分類          ユーザー

  性別             女

  年齢            17

  ――――――――――――――――

  電池          100%

  状態            憑依

  ――――――――――――――――

  アプリ           4 ›

  ――――――――――――――――


「憑依――?」

「ピンポンピンポン! 正解です! この状態異常はめったに拝めないよ」


神憑りのような状態なのだろうか――。

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