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ノードE09

ハッと目が覚めた時、電車は上野御徒町駅に停車していた。

乗り越したかと思った。

僕たちは慌てて電車を降りた。

もっとも、電車は上野御徒町駅にしばらく停車する予定なのか、ドアは閉まらなかった。


エスカレーターでB2FからB1Fへ。


そうして改札を出たところで、僕たちは初めて基底世界で僕たち以外の人間を見かけた。

通路沿いに置かれた自動販売機の前に、詰襟の制服姿の2人連れが立っていたのだ。


高校生だろうか。

築地高校は男女ともにブレザーだから、少なくとも他校の生徒である。


1人は長身眼鏡。もう1人は爽やかイケメン。

2人とも姿勢がよく見えるのは、スポーツをやっているからだろうか。


「あんたたち、誰? こんなところで何やってんの?」


安峰さんが2人に声をかけた。


「――お前らは?」


先に反応したのは長身眼鏡の方。


「あたしが聞いてるんだけど」

「――フン。生意気な女だな」


長身眼鏡は鼻を鳴らして、スマホをいじり始めた。

イケメンが代わりに答えてくれる。


「喉が渇いたから水を買っていただけだよ」


イケメンはそう言うと、飲み口が反対になっていたペットボトルを放り投げて向きを変えた。

自動販売機で水を買うのに使ったスマホで片手が塞がっていたからそうしたのだろうけど、ちょっとカッコつけなんじゃないか?


実際、カッコいいけど。


「僕たちは渋谷八高の2年なんだけど、2人は?」

「あたしらは築地南高」


長身眼鏡が口を開いた。


「――安峰流伽。それに時枝彩輝でいいのか?」


長身眼鏡がスマホをこちらに向けていた。

僕たちはまだ名乗っていない。


〈スタット〉で見たのか。


つまり、2人とも〈SOS〉ユーザーなのだ。

予想はしていたけれど。


「17歳と18歳ってことは、もしかして僕たちの1個上――?」


イケメンもスマホをこちらに向けながら言った。


「ううん。僕たちも2年だよ」

「あれ?」

「あたしは留年してるからね」

「ああ、そうなんだ?」

「――留年してるのかよ」


長身眼鏡が苦笑した。


「あんたは斜木双葉であってるの?」


長身眼鏡の方にスマホを向けながら安峰さんが言った。


「さあな」


僕も長身眼鏡に〈スタット〉を使ってみた。


  ――――――――――――――――

  名前          斜木双葉

  ――――――――――――――――

  LV             4

  属性             善

  ――――――――――――――――

  分類          ユーザー

  性別             男

  年齢            17

  ――――――――――――――――

  電池           98%

  状態            正常

  ――――――――――――――――

  アプリ           3 ›

  ――――――――――――――――


「斜木さあ、あたしの方が1個上なんだから、ため口やめてくれない?」

「留年してるなら同学年だろうが。それにLVは俺が1個上だ。お前こそ敬語を使え」

「はあ?」

「まあまあ、2人とも。安峰さんもそうやってケンカ腰にならないでよ」

「時枝。よく考えたら、あんたもあたしに敬語を使いなさいよ。あたしより年齢もLVも1個下なんだし」

「そうだぞ」


なぜか同調する斜木。


「ええ? 前に敬語使うなって言ったの安峰さんなのに――」

「そうだったっけ? なら、まあいいか」


安峰さんが爽やかイケメンの方にスマホを向ける。


「あんたは桐崎――ハチ?」


  ――――――――――――――――

  名前           桐崎八

  ――――――――――――――――

  LV             4

  属性             善

  ――――――――――――――――

  分類          ユーザー

  性別             男

  年齢            17

  ――――――――――――――――

  電池           98%

  状態            正常

  ――――――――――――――――

  アプリ           3 ›

  ――――――――――――――――


「ワカツだよ」

「じゃあ、ハチって呼べばいいわけ?」

「どこがじゃあなのさ」


安峰さんの態度に怒ることなく、桐崎は笑みを絶やさない。

さすがは爽やかイケメン。

でも、転移前に聞いた適性評価の項目を踏まえると、こいつも実は精神不安定だったりするのか。

表に出さないだけで、イケメンなりの苦労があるんだろうな。


それにしても、2人とも確かに僕たちよりもLVが高いみたいだ。

僕たちよりも1回くらい多く実戦経験を積んでいるのだろう。


「それより、時枝君の〈?〉って何のアプリなの?」


桐崎が聞いてきた。

僕のアプリ一覧を見たらしい。


「それが、まだわからないんだよね。未知のアプリなんだって。〈SOS〉のセキュリティ上の問題で、ロックを解除しないと使えるようにならないみたい」

「へえ。そういうこともあるんだ?」


僕も2人のアプリ一覧も見ておくことにした。

斜木のアプリ一覧。


  ――――――――――――――――

  スラッシュ      15 / 15

  バックスラッシュ   15 / 15

  ダブルスラッシュ    7 /  7

  ――――――――――――――――


そして、桐崎のアプリ一覧。


  ――――――――――――――――

  スラッシュ      15 / 15

  バックスラッシュ   15 / 15

  ブレーク       15 / 15

  ――――――――――――――――


2人とも似たようなアプリ構成だった。

ユーザーの特徴が反映されるとケット・Dは言っていたけれど、よほど気が合うのだろうか。


〈ブレーク〉は安峰さんも持っている攻撃アプリだ。

〈スラッシュ〉と〈バックスラッシュ〉、そして〈ダブルスラッシュ〉も名前からすると攻撃アプリかもしれない。

2025/01/26:空白文字が抜けていたのを修正

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