セラの魔法陣と新機体
カクシカクの国へ急げ!!
セラの新しい力と新生ヴェルダを持って
転章1 世界探訪記 カクシカクの国再訪①
勇者でありながら世界に戦いを挑む八神直哉です。
死魂の玉をカクシカクの国の封印のダンジョンに返しに行かないといけない。
大分時間も経ってしまったのでフジが噴火しているかも知れない。
暫く前からドワドとも連絡が付かない事が不安を煽っていた。
エルランディア帝国からカクシカクの国は近いがガランガラン山脈を越えてしまっていたから少し時間が掛かる。
戦いと言えるほどのものはなかったので、さほどは疲れてはいない。ゆっくりしている訳ではないが1日程度は掛かってしまう。
やはりその間は訓練室で個人的に訓練を続けた。
葵は双剣の扱いと霊素の組み合わせを試している。
ミューレイは天走をより完璧に近づけるために空中を駆ける。
僕は錬金の練習と付与魔法をものにする工夫を続ける。
セラは見たことも無い魔法陣を描きながら転移をする。
思わず3人で見詰めてしまった。
「セラ、その魔法陣はどうやって知ったんだ?」代表するような僕の質問にミューレイも葵も訓練を止めて、近づき頷いた。
3人してセラを囲む。
タジタジとなるセラは困惑しながらも答えた。
「全部、夢の中で覚えたんです。いえ、あれは夢じゃなくて過去の転生の中の私の経験でしょうか?」
ひと月以上に渡る養生槽の中でセラは何をしてきたのだろう。
心だけが過去の転生に戻り、記憶を呼び覚ましたと言う事なのかも知れない。
「転生?」呟きに過ぎない僕の言葉に
「そうですね。ナオヤさんにも、葵さんにも、ミューレイさんにも、メジーナ博士さんにも、そしてまだ出逢えていない他の人たちとも何度も転生する度に一緒に生きてきたんです。」
聖女であるセラだからこそ女神転生と言う究極魔法を発動し、転生の障壁を飛び越えて記憶を呼び戻したのかも知れない。
セラの特殊性を知っているみんなだからこそ、納得する。
「それで転移以外に他にも魔法陣は使えるのでござるか?」葵が質問する。
「転移、肉体強化、スピード強化、物体引き寄せ(アポーツ)、幻惑、倍体でしょうか?まだ有ったような気がします。」
あっけらかんと話すセラは何でもない事のように言う。
「倍体って何?」ミューレイが聞き慣れない言葉に反応して聞き返した。
「身体を2つにするんです。」と言うセラに
「?」と首を傾げるミューレイ。
「実際にやってみれば分かるんじゃないか?」と言う僕の提案にやりたい!やりたい!とミューレイが手を挙げた。
僕を相手にミューレイにセラが倍体の魔法陣を掛け、戦ってみる事になった。
数メートル離れた位置からミューレイが駆けてくる。その直前にセラの魔法陣が現れ、2人のミューレイになった。
同時攻撃の隙間を抜け、身体を交わし、2人のミューレイの背中を叩く。
通り過ぎ振り向いたミューレイが反転して、屈みながら足払いを仕掛けた。
軽く飛び上がって倒れ込みながら手を突き、脚を後ろに蹴り出してミューレイの額につま先を当てて仰け反らせる。
ぎゃんと言う小さな悲鳴を聞きながら脚を戻し、前転して離れる。
頭をさすっていた2つミューレイが朧になり、2人の間にミューレイが1人座り込んでいた。
ゆっくり立ち上がりミューレイに近づく。
「大丈夫か?」
僕の言葉にミューレイは頷いた。
見ていたセラと葵が寄って来た。
「どうでござるか?」葵の言葉にミューレイは
「2人掛かりなのにナオヤには適わないや、悔しい。」
「2人になった気分はどうだ?」と僕が訊くと
「時間差で攻撃してる感じかなあ~、2人って感覚は無かった。」
人差し指を顎に当てて考えながらミューレイは言う。
「2人にせっかくなったのに負けちゃいましたね」とセラが言う。
「手数は増えてもミューレイだからな」と言う言葉にミューレイが僕を睨む。
「まあ、セラの魔法陣が補助魔法として使えそうなのは判った。メインで戦う事になる葵とミューレイは馴れて貰う事になるな。
合図とか少し3人で話し合った方が良いだろう。
少し休憩しよう。」
みんなで訓練室を出て食堂で休む事にした。
カフェラウンジはあるが基本食べることか多いみんなは食堂に集まることが多かった。
熱いグリーンティーを飲んだ後僕は話し込んでいる3人を置いてメジーナ博士の所に向かった。
メジーナ博士は自分の研究室にいた。
入る前に「メジーナ博士、ちょっと良いか?」と尋ねる。中からくもぐった返事を聞いてから中に入る。
大きな机で何やら書き物をしていたメジーナ博士が頭を上げた。近くから椅子を引いて正面に座る。
「実は」とセラの転生と言う記憶のこと魔法陣の力のことを話した。
「障害や異常はセラに無かったから本当のことなんだろう。ナオヤ君は心配性だなあ~」
セラが嘘を付いているとは思わなかったが養生に依る後遺症とか影響を心配していた。
メジーナ博士の回答で杞憂であってほっとした。
「じゃ!」と言って帰ろうとするとメジーナ博士から待ってくれと言われた。
話は強化プランをお願いしたヴェルダの事だった。
ヴェルダ以外にセラ、葵、ミューレイ用の機体を用意したと言う。
それの御披露目をするのでみんなを格納庫に集める所だったらしい。
格納庫の高さは20M程あり、ヴェルダは飛行形態で置かれていた。
これまでのヴェルダの基本色は薄い赤銅色で所々黒墨が滲むような、如何にも間に合わせですといった感が有ったが、新型は殆ど形を変えてはいなくても白色にマリンブルーのラインが入り、明るく早そうな色に変わっていた。ウィングにはローマ字で『VELDHA』と入っておりワクワクさせてくれていた。
そして、ヴェルダの横には布に覆われた3幾が置いてあった。
「それぞれ乗る者のイメージてカラーリングさせて貰ったが基本性能はヴェルダと同じだ。
まずはセラのセラフィニ、色は白色だ。」
布を引き取ると、そこにはヴェルダに良く似た、でも少しスリムな機体があった。
セラは小さく感嘆し「まあ!」と言った。
「次は葵のアオヤギだ、色は深緑!」メジーナ博士が布を取る。
「次はミューレイのミューゼだ。色は茜色。」メジーナ博士が布を取る。
なるほど、本人のイメージ通りの色に仕上がっていた。
「ナオヤ君、搭乗して形態を変えてくれ」とメジーナ博士が言うので、ヴェルダに乗り魔素を通し叫ぶ!
「トランス!」
乗っているコクピットを中心に機体が変型してロボットになる。
少し動かして感触を確かめる。ハンドリングは少し柔らかめになり、アクセルは重くなった感じだがなかなか良い。
右腕を持ち上げると2連装のバルカン砲が付いていた。
「ナオヤ君、主砲を構えてくれ。」
メジーナ博士の言葉に操作キーを叩き、主砲を背中から腕に構える。
ロケット砲のような大筒だったのが薄青いクリスタルの付いた銃に変わっていた。
「メジーナ博士!この銃はまさか、レーザー銃ですか?」
下を見ると見上げていたメジーナ博士が親指を立てて言った
「そうさ、光魔法の使えるナオヤ君とセラの機体の銃は太陽光励起魔素レーザー銃にしてある。そのクリスタルに光魔法を使えば何度でも撃てるぞ。物理攻撃は腕のバルカン砲を使う。」
なるほど、と左腕に同じ様なクリスタルが埋め込まれているのに気付いた。
「メジーナ博士、左腕のこのクリスタルは何です?」
メジーナ博士が口に手を当てて
「光魔法を使ってみな!!」と言うので言うとおりにすると、クリスタルが青白く光り、機体全体にバリアが出来た。
なるほど、身体強化EXで機体ごと強化は出来ても防御力は無いに等しいからな。有り難い。
コクピットを開け、そのまま飛び降りる。着地には風魔法のエアークッションを使う。
ふわりと降りたつ。
スタスタ歩いてメジーナ博士の両手を掴み、振った。
「期待以上の出来ですよ。他に変な機能は付けていないですよね。」
メジーナ博士が目をそらし「ま、まあね。」と言った。
まあ、今は深く追求はすまい。
「見ての通り、みんなもナオヤ君と同じ様に扱えるから時間のある時に乗ってくれたまえ。」
メジーナ博士は他の研究もあるからと言って戻ってしまった。
それから僕がみんなにそれぞれの機体の乗り方を教え、変型してからの操作を教えた。
お昼を食べた後は飛行形態での飛行訓練に当てた。
ミューレイが意外と早く覚え、葵は結構怖がって余り上手く飛べなかった。
でも、夕方には編隊を組んで飛べるまでにはなったのだから大したものである。
夕御飯を食べ、寝ることになった。明日の早朝にはカクシカクの国に到着する。
そうすれば状況ははっきりするだろう。
カクシカクで待ち受けるものとは?
新たなる混迷か、はたまた試練か?
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何時も読んで頂いてありがとうございます。
読んで貰えている事が喜びでござる!
ブクマ・評価ありがとうございます。
書きたいことは是非、近況報告のほうへ宜しくお願いするでござる。
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