鎮守と師弟対決
死魂の玉が無いフジを抑え込んでいたのは・・・
ドワド大活躍です。
転章1 世界探訪記 カクシカクの国再訪②
大英雄でありながら封印のダンジョンに戦いを挑む城居鉄乃進である。
カクシカクの国の国主燦覚様の回復を見守る為にカンサイの大商人レンライの所に食客として居候していたのだ。
する事はほとんどなく、難癖をつける愚か者の相手や用心棒のような雑事をしていたのだ。
しかし、なかなかナオヤ殿が死魂の玉を持って戻って来ないでいた所、フジに依ると思われる地震が頻発していた。
そんな折りに預かっていた八代の玉が光り精霊トウフ様から霊示が下ったのだ。
*封印のダンジョンから魔物が溢れ出す時フジが噴火を始めるであろう*
大商人レンライに話を付け、儂は封印のダンジョンに向かったのだ。
エドに向かう途中の森での魔物も活発に成っておるようで、あちらこちらで被害が出ているみたいである。
そんな魔物を退治しながら急ぎエドを目指し、食べるものも乾物で済ます。
退治したことを村長に説明すると感謝されて食事を勧められたりもしたが、失礼を承知で先を急いだのだ。
エドの町を涯下に目をしながら、破壊された町の復興状態を見る。
国主の屋敷は燃え滓がくすぶっており、誰も手を付けていないようだった。
燦覚様が戻れば追々復興出来るであろう。今は封印のダンジョンが問題だ。
封印のダンジョン周辺も荒れたままだった。危険なので人が近づかないのであろう。致し方ない事ではあるが、悲しい事でもある。
大商人レンライ殿が助っ人を付けようかと言ってくれたがそこまで甘えられぬ。
国を守るのは武人の勤め、冒険者如きに頼りたくは無い。
まあ、勇者であるナオヤ殿には頼ったが、何事にも例外と言うものはあるのだ。
中に入るといきなり猪の魔物であるビッグボアが出迎えてくれた。
猪突しかしない魔物を殴りつけて黙らせる。
蹴り上げてやると魔石だけが落ちてきて光と消えた。
もう少し入る。ここは横道か無いから後ろに逃がさない限り、魔物が外に出ることがない。
ナオヤ殿が戻るまでここを死地としてくれよう。
・・・・・何日目か?
出てくる魔物の数は減ったが次第に強くなって来ておる。
先ほど倒したブルードラゴンはきつかった。
奴らは体力ばかり高くて、特異的な攻撃は無いが倒すのに時間が掛かり過ぎる。しかも、一度に5匹とは卑怯じゃろう。
頭を出す奴らを斬りつけても、硬すぎて剣が刃こぼれするだけなので、魔闘気を載せた拳を使わざるを得ない。
これだけの長期に魔闘気を使うと魔力が持たん。
ボコり続けて拳がおかしくなりそうだ。
それにしてもナオヤ殿はいつまでも待たせるのだ。指輪で連絡を付けようとしても何故か繋がらん!
いかん!次第に頭が沸騰して来おったわ!
もう、半日も持たんぞ!!
意地を張らず、ひとりくらい強い奴を連れてくれば良かったかも知れんなあ。
お陰で、葵の幻聴が聞こえるわ。
「師匠!師匠~!」
葵の叫びに薄笑いで応えるドワドは半分壊れているみたいだった。
女性陣全員で囲み、治療と回復を任せる。
僕が少し中に入り、出てこようとする魔物を倒す事にした。
魔素の壁を越えてきたら頭チュドンで、インベントリーに収納する。
そのまま魔素の壁を前に押し出しながら魔物狩りを続ける。
このダンジョンは半時計まわりに大きく周回して中央の階下に降りる階段に至り、中央からは外に向かって回り階下に降りる階段に至りと螺旋に似た形のダンジョンである。
魔物狩りをしながら地下5階まで降りる。
地下5階は澱んだ魔素で充満しており、澱みが形をなし、魔物に変化していた。
後を付いて来ていた葵に地下5階の浄化を頼む。
葵のクリアーが澱んだ魔素を駆逐する。
それから、降りた地下5階は角形をしており正面に祭壇があった。そして、祭壇の後ろに階段の入り口があった。無い筈な地下六階を降りると注連縄で繋がれた3本の大岩がある。
中央の大岩の下側に八代の玉をはめ込む。
これで精霊トウフが鎮められた。
その大岩が全てずらされている。そして、中央の大岩の下に洞窟の穴が開いていてそこに小さな祠があった。
小さな祠には玉が置かれていた跡があった。
ここに死魂の玉が合ったのだろう。
再度、葵にサンクチュアリの魔法で聖域化して貰い、死魂の玉を奉納する。
微弱な振動が完全に止まる。やっとフジの噴火は回避された。
目の前に精霊トウフが現れた。
『鎮守を感謝する。
更なる鎮守の為にひとつお願いがある。
今回の出来事のお陰で よもつひらさか の精霊サイフに影響が出ている。
前に授けた勾玉を出来れば よもつひらさか に奉納してきて欲しい。
さすれば完璧に鎮守出来るだろう。』
え?!と葵は固まった。
よもつひらさかに近い所まで行って戻ってきたと言うのにまた戻るの?と言う感じなのだろう。
確かにその通りだが、僕は行っても良いかなと思っている。
通り道に旧ミライ国を通るからだ。
そこはミューレイの故郷だから、ミューレイも帰って慰霊をしたいのでは無いかと思っていたからだ。
来た道を戻りつつ、動かされた大岩などを戻しておく。地下5階の祭壇の裏の階段は新しい岩を出し乗せてしまう。
そして、それを慰霊碑として出来事を錬金術で刻み、葵の一滴の血で封印する。
ドワドごと飛空艇クレイモアに戻る。
一応回復はしたが、ドワドには休養が必要だった。
未だに目覚めない燦覚の事を含め話し合いは必須だ。
丸1日をドワドの為の休暇とし、カンサイの大商人レンライの所へみんなで転移する。
葵が代表してレンライと話す。
「レンライ殿長らく燦覚様をありがとうございます。燦覚様のご様子は如何で御座いましょうか?
師匠がここを出た時は変わらずだったと言っていましたが。」
レンライは笑ってこちらへどうぞと案内をしてくれた。
葵、ドワドを先頭にみんなでぞろぞろと行くとそこには綺麗な女性に囲まれて談笑する若者がいた。
「燦覚様!?」葵の声にその男は立ち上がり、にこやかに言った。
「おお、葵帰ったか。それに城居も」
眠り続けていた後遺症も感じられないような柔らかい言葉遣いで燦覚は話した。
「1日程前、フジの地震が感じられなくなった頃目を覚まされました。ずっと眠られていたとは思われないほど普通に起きられ、あのように話をされているのですよ。」とレンライが説明してくれた。
あっけらかんとした態度に葵は肩を震わせる。ドワドは呆れてやれやれと言った態度であった。
「体調もすこぶる宜しい様子でござるから言わせて頂くでござる。主上。」
怒りを抑え込んで葵が話しかける。
「ん?なんだ、葵。」
「主上は此度の異変でどれだけのものが亡くなったのか分かって居るでござるか?
我が父、覆邑を始め側近の方々が殺されて居るでござる。」
「分かっておる。」
遊女と戯れながら答える。
「犯人は暁炎殿でござる。」
「らしいな、全くもって忌々しい。長らく仕えておりながら恩を仇で返すとは家臣の風上にも置けぬ。」
「主上は暁炎殿が反旗を翻した理由をご存知か?」
怒りを込めた眼差しであり、主君に向けるものではなかった。
「知らぬ。理由など構わぬ。叛逆したことが全てじゃ!」憤って燦覚は言う。
「暁炎殿はエルランディアの大規模侵攻が起きぬよう手を尽くされていたのに、それを主上に咎められたと言っておりました。奇麗ごとで政治は務まらないとも言っておりましたぞ。」
鬱陶しそうに手を振りながら
「そうじゃ、あ奴めは我が言葉に従わず、儂を窘めおったのじゃ、けしからん奴だった。」
その自分が大きな被害を出す元だったことを反省も自覚もしていない態度に葵は怒りで目もくらみそうになった。
「だからなんじゃ、奴の事など聞きたくもないわ。
それより、城居を見つけたのだから戻ってこい。」
燦覚の余りな態度に葵は切れた。
「主上、申し訳ないが私は戻りませぬ。大義のために尽くす所存でござる。」
見かねたドワドが言う。
「儂が側に居りますでな。葵の代わりを勤めましょう。」
納得できない燦覚がドワドに詰め寄る。
「お主、葵の師匠だろう。止めぬのか。」
思案顔でいたドワドが提案した。
「では、儂に葵が勝てたら出奔を許そう。負けたら儂の下で主上にお仕えするのだ。」
葵が全敗している何度目かのドワドと葵の試合だった。
思わぬ展開に葵は勝てるのか?
大英雄城居鉄の進は強いぞ!
§§§§§§§§§§§§§
何時も読んで頂いてありがとうございます。
ご愛顧頂きました今年も後僅か、楽しみましょう。
本年はこれが最後ですが、来年も引き続き宜しくお願い致します。
ブクマありがとうございます。
評価は近況報告にてお願いします。
§§§§§§§§§§§§§




