セラ復活
セラが戻ってきました。
相変わらずの熱々ぶりです。
一方、シェネッツアは?
転章1 世界探訪記 エルランディア再訪①
勇者でありながら世界に戦いを挑む八神直哉です。
慌ただしい夜が明けて僕はベッドの横でずっとセラの顔を見詰めていた。
昨夜、セラが気がついて養生漕から出てきた。
自力でお風呂まで行ったらしい。
風呂場でミューレイが遭遇して、セラのことを知らなかったミューレイはメジーナ博士だと勘違いしたらしいが、サーバントの手伝いが必要になって発覚したのだ。
バタバタ騒がしい事になったが、今はベッドで眠っている。
こうしてセラの顔を見ていると安心する。
養生漕では全裸だからあまり見に来ないようにってメジーナ博士に釘を刺されていたのでお任せしていたので、こうしてじっくりとセラを見ていられるのは久し振りだ。
エルフの里で彼=天空寺剣と戦って負けて、セラに助けて貰って以来だから1ヶ月近くに成るのか。
その間に色々あったな。
セラが起きたら話をしてやろう。
きっと悔しがるだろうな、はははは。
でも、本当に良かった。
メジーナ博士がやって来て代わるから食事をしてきなさいと言われ、お腹が空いているのに気がついた。
食堂に行き、サーバントにメジーナ博士と同じものをと言ったらモーニングが出てきた。
熱々のコーヒーとバターたっぷりの厚いトーストと目玉焼きにカリカリベーコン2枚だ。
トーストにかぶりつき、コーヒーを啜っているとミューレイが現れた。
色違いのいつもの服だ。
「朝食に何を食べてんの?ナオヤ」
「モーニングセットさ」と答えると、ミューレイは不思議そうな顔をした。
「メジーナ博士もナオヤも良くそのコーヒーとやらを飲めるね。」
この世界ではコーヒーは飲み物でなく、実を薬として扱っていた。
エルランディアでメジーナ博士が見つけて、大量に買い付けてきたのだ。かなり高かったらしいが金に糸目を付けなかったらしい。
さすがババロンの御大尽様だ。
ミューレイはコーヒーをミルクにしてコーンスープを追加して同じようにトーストを選んだ。
トーストのような食パンはこの世界に無く、食べられるのはババロンだけだ。
メジーナ博士は鶏や牛、豚などの生き物もババロンに持ち込み、育て始めている。
まだ、昔のように沢山の人が住んでいる訳ではないが、そう出来るように着々と準備をしているのだ。
サーバントやアムの仲間を増やし、思いつく限りの事を同時平行に作業している。
ババロンの運営の事はメジーナ博士に任せて置く。
「ねえ、ナオヤ。あたしもっと強く成りたい。勇者にはなれなくても葵ちゃんと同じくらいにはなりたい。
それでナオヤの役に立ちたい。」
見ると食事の手を止めて食い入るように見詰めてくる。
「分かった、それで何が使えるようになりたいんだ?」
勢い込んで言ったのは
天地自在
付与魔法
だった。
どれどれ、ミューレイのスキルはと考えると超越賢者が報告してくれる。
*ミューレイ スキル
索敵
罠解除
天走
サイコスキャン
身体強化Ⅰ~Ⅲ
ですね。
*
あれ?天走使える筈なのにおかしいな?
ミューレイに訊いてみる。
「ミューレイ、天走使える筈なのに何でシェネッツアを追わなかったの?」
顔を真っ赤にさせたミューレイは俯き加減に答えた。
「あんまり上手く使えないんだ。5歩くらいで落ちちゃう。」
なるほど、でも天走が使いこなせなければ天地自在は無理だ。
ミューレイのHPはほぼ回復しているので新しいスキルを与えられるけど、付与魔法はまだ研究中だ。
そのことを伝えると残念そうに落ち込んだ。
「でも、葵に教えて貰って上手くなったら一緒に天地自在覚えれば良いんだよ。」
と言うと
「それじゃあ葵ちゃんに負けちゃうだろ!」と返された。
ガタンという音にそちらを見ると葵が立っていた。
食事に来たらしい。
ミューレイの言葉にショックを受けたようだ。
「ミューレイ、すまぬでござる。拙者の教え方が悪かったせいで上手く体技が使えなかったなんて!
食事を済ませたら直ぐに特訓でござる。必ずやこの葵が習熟させてみせるでござる。」
大きな胸を張って葵が宣言した。
ミューレイの顔色が悪くなった。
どうもミューレイは訓練が好きでないらしいな。
葵が側に座ってサーバントに何時もの朝食を頼む。
葵の朝食は和食だ。一度教えたら病みつきになったらしい。
楽しそうな葵とがっくりしたミューレイが食事の後連れ立って訓練室に行ってしまっても僕は独り考え事をしていた。
そこへメジーナ博士と連れ立ってセラがやって来た。
「・・・セラ、大丈夫なのか?」
思わず声の出なかった僕が言う。
セラは屈託のない笑顔で
「もう大丈夫よ。」と言った。
「一通り話はしたがナオヤからも訊きたいそうだ。積もる話もあるだろうから、私は席を外そう。
2人でゆっくり話すと良い。」
メジーナ博士の気遣いが返って何だか気まずい雰囲気になってしまった。
セラと相向かいで座る。
サーバントにセラの為に野菜ジュースを持ってこさせる。
セラはそれを不思議そうに見ている。
「何かな?」と言う僕の問いかけに
「何だかナオヤさんが変わったように見えるの。」とセラは言う。
「セラが倒れて眠ってから大分色々有ったからね。
葵も協力してくれる事になったし、ミューレイと言う女性も仲間になったんだ。」
「ええ、その辺の経緯はメジーナ博士から聞いているわ。でも、ナオヤさんの側に別の人が居ると何だか私のいる場所が無くなったような気がするわ。」
「そんなこと無いよ。セラの居場所は僕の隣さ。」
「勇者になってもまだ強化されたからね。詳しくは僕を鑑定すると良い。超越賢者が教えてくれる筈だよ。」
暫く眇めになったり、考え事したり、難しい顔になったりするセラの顔を見て楽しんで居ると恥ずかしそうに笑った。
「ナオヤさん、頑張ったのね。」
「セラが戻ってきてくれて嬉しいよ。」
お互いが手を握りあい、見つめ合う。
暫くしてこほん!と咳払いが聞こえた。
メジーナ博士が戻ってきた。
「仲が良いのは良いが1時間以上もそうやっていられると話が進まないぞ。」
メジーナ博士の指摘に僕たちは真っ赤になってしまった。
僕達は今、エルランディアのシェネッツア大提督を追跡している。後から追いかけて直ぐに追いついた。
飛空艇クレイモアにガンガン押し付けられて、外装の歪みも酷く、魔法使い達の精神的疲れも取れずに敗走していると追い詰められては力も発揮出来ないでいるのかも知れない。
来るときよりもずっと遅い速度で飛行を続けている。
2日程してやっと復路の3分の2を過ぎ、カクシカクの国辺りまで来た。
補給の為に停泊するのかと思いきやそのまま通り過ぎてしまう。
どうもシェネッツアは追い詰められて、焦っているのかも知れない。
しかもコースが微妙に南寄りで、意図が読めないでいるとエルランディアの首都カルディアを通らないでそのまま東へ向かっていた。
自分の失敗を皇帝に報告せず、何かをしようとしているのかも知れない。
この期に及んで、まだ何か隠し玉があるのだろうか?
方向はシェネッツアの故郷
東の果てガランガラン山脈の麓、浮遊石の産地のロクデンの村のようだった。
メジーナ博士によると浮遊石は特殊な石のため余り密集して採石されることはないそうだ。
浮遊戦艦ガンドロフに使われる程の巨大なものは更に希少だから抗夫達はその場所を秘匿しているのだとか。
そこでシェネッツアは何か見つけたのかも知れない。
もしそれが脅威と成るものならば早めに対応が必要だろう。
ただ、単に起死回生で“よもつひらさか“に向かっているだけなら阻止するだけだ。
僕達は密かにシェネッツアを追う。
シェネッツア追跡はシェネッツアの故郷の秘密に迫ります。
何が見つかるのでしょうか?
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何時も読んで頂いてありがとうございます。
お話は浮遊石の謎に迫ります。
益々目が離せない!
って引っ張ります(笑)
ブクマ・評価、誤字指摘ありましたら宜しくお願いします。
誤字あり過ぎ!でしたらご容赦下さい。
今後もお付き合い宜しくお願いします。
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