浮遊石の謎
飛空艇クレイモアに戻ってきた後のお話です。
ミューレイはどんな気持ちだったのか?
転章1 世界探訪記 メリカ国⑨
勇者でありながら世界に戦いを挑む八神直哉です。
謁見当日 夜
元ミライ国王女にして冒険者のミューレイです。今は勇者ナオヤの仲間です。
飛空艇クレイモアに帰ってきて食事をする。
ナオヤも葵ちゃんも疲れ切っていた。
あたしだけ疲れてない、いや、驚き疲れたかも。
2人とも凄い。特にナオヤは凄過ぎる。
あんなに強いのに偉ぶらない。とても優しい、うふ。
ううん、ナオヤの優しさは誰にも向けられていてあたしだけじゃないよ・・・
少し寂しいかな。
シェネツッアの姿を見て、怒りMAXだったけど、空駆け抜けられないし。
ナオヤにお願いして教えてもらおうかな~
そうすればお空でデートとか出来るかも、あは。
食事の間もメジーナ博士さんと難しい話を始めたし、あたしついて行けない。
前よりずっと強くなったけど、ナオヤの力になるには全然足りない。葵ちゃんみたいに真面目にやっぱり訓練した方が良いのかなあ~
直ぐには出番は無いかも知れないけど必ずあるから、その時は頼むってナオヤに言われてるけどあたし的にはすぐにでも役に立ちたい!!
うん、食事の後お風呂で葵ちゃんに相談してみよう~
みていたら食事をしながら葵ちゃんたら寝てるよ。
よっぽどだったんだね。
あたしは葵ちゃんに声を掛けて、ベッドまで連れてった。お風呂も入らずに寝ちゃったよ。
しょうがない、メジーナ博士さんにするか。
でもナオヤと話が弾んで終わりそうも無いなあ。
食事も済んだし、仕方ないひとりで風呂に入るか。
あたしはナオヤとメジーナ博士さんに声を掛けて、席を立ち、お風呂に向かった。
クレイモアのお風呂は男女別で何時でも入れる。メンテナンスロボットとかが何時も入れるようにしているってメジーナ博士さんが言っていた。
脱衣場で服を脱ぎ、シャワーを浴びる。温度は高めで、強めに流す。
床に直に座り、髪の毛用の洗剤で頭を洗う。
メジーナ博士さんによれば必ず毎日洗わないと女の子は好かれないらしい。
あんまり気にしてこなかったな。
冒険者だから構ってられなかったけど、ぶっきらぼう過ぎて可愛げ無かったのかもね。
只でさえあたしったら怖がられるタイプだし、好きって言われたり、大切にされたりされたこと無かったのからなぁ~
ナオヤの仲間になって得してるかな?
身体を洗い終わって、湯船で考え事していたらメジーナ博士さんが入って来た。
あれ?話終わったのかな。
まあ良いか。
「?」
「メジーナ博士さん、もうナオヤと話終わったんですか?」
あたしが湯船から声を掛けるとメジーナ博士さんはあたしに気づいて、こっちを向いた。
なんだかぼけっとしてるように見えるけど、あたしを見てスタスタ歩いてきたと思ったらそのまま湯船にまで入って来た。
え、ええ~?!
ちゃんと洗ってから入りなさいって教えてくれたのメジーナ博士さんだよね?
じゃぼんっと音を立ててあたしの目の前で湯船に浸かる。
って、頭沈んじゃってるよ!!
あたしは慌ててメジーナ博士さんを立ち上がらせた。
何だかメジーナ博士さんって小さくなってる?
髪の色も少し薄いような?
それに何だか若返っているようにも見えるし?
立ち上がらせた肩をあたしは揺すった。
「ちょっと、メジーナ博士さん大丈夫ですか?」
まだ、あたしは敬語が上手く使えないんだよね~。冒険者家業が長すぎたのかな?もう国もないし、王女って柄でも無かったのかも知れない。
瞑っていた目が開いた。
瑠璃色の綺麗な眼、長い睫毛、ぷっくらと豊かな唇、皺のない艶やかな頬。
とても可愛らしい顔だ。
と思ったら崩れ落ちた。
わっ!湯船に沈むなぁ~!
「クレイモア!サーバントを呼んで!!」
直ぐにメジーナ博士さんのサーバントがやってきて連れて行ってくれた。
いったい、何だったんだろう?
あ、相談するの忘れた!!
まあ、しょうがない明日にするか?明日に。
飛空艇クレイモアに帰ってきてもやるべき事はまだ終わらない。
直ぐにアンガス王から泣きの連絡が来た。
やっぱり亀甲船の始末はメリカ国では動かすことすら出来ないようだ。
クレイモアに命じて5隻全部を転移させた。メンテナンスの為に出したヴェルダと同じ倉庫に保管して貰う。
多分、後でメジーナ博士がいじり回すだろう。良い玩具だな。
それから大人しく食事をしているメジーナ博士に質問する。
「メジーナ博士、あのブーストアクセラレータは何ですか!
非常識にも程がある。」
「でも、お陰で勝てたじゃないか?」
得意そうな顔に何とも言えなくなるが
「ロボットになるのは趣味ですよね!」と言い返す。
「当然だろう!!」
益々得意そうだ。
スープを啜る。
「相手が唖然としている間に踏み潰す。ヒーローらしくて格好良かったよ、ナオヤ君。」
自分のしたことを反省できないからそれ以上文句が言えないのが辛い。カレー擬きを口に入れる。
「にしても、あの重量は何です?」
「ある程度推測しているんだろ?言ってみたまえよ。」
咀嚼して口の中を無くしてから
「浮遊石ですか?」
と半信半疑で言う。
頷きながら
「ナオヤ君、君は質量と言うものをどう考えている?」
常識的に言えば
『物体が有する物質の量。物体に働く力を、その物体の加速度で割った値と定義する。』
となる。だから、地球上で言えば重さと等価の値なる。
地球上の重力加速度は9.80665 m/s2 で、月なら1.622 m/s2になるから、月の重力は6分の1なのだ。
無論、地球上の緯度経度場所に依って多少異なるが、多分言いたいことは別だろうな。
「物質の固有値、静止している時の又は、等速運動している時の物質の動きにくさ、かな?」
「平均点と言うところか。質量にも色々あることは知っているとは思うが、素粒子の世界では有効質量と言うものが幅かせることになる。分子・原子の世界では原子質量単位と言うものがあり、物性の世界に至って重力と言う常数に変動する質量があるんだ。」
「どういう事です?」魔法と浮遊石の関係を言いたいのかな。
「言いたいのは質量と言うものがスケールに依って異なり、その働きかけが違うと言うことなんだ。」
力説するメジーナ博士だった。
益々言いたいことが分からなくなってきた。
「ここにある例えばこれ」と言って使っていたフォークを振るってみせる。
「質量があり、この惑星の重力に引かれて下に落ちようとしているが、同時に回転する遠心力によって惑星から離れようとしている。惑星は中心の恒星の周りを回って重力と遠心力の影響を受け、このスプーンにもその力が掛かっている。
様々な系の力を受けているが惑星の影響が一番大きいから無視されているに過ぎない。
もし、これの質量が無くなったとしたらどうなるだろうな。
単に浮くだけだと思うかい?」
メジーナ博士の命題は難しい話だが、実際の答えがある筈だ。
「う~ん、スプーンが消える?若しくはバラバラになる?」
「実際、質量は空間に依存するんだ。紐理論により発散の解は無くなったが質量をパラメータとする次元に依る解は無い。
質量をゼロとする事が出来ないと言うべきか。」
メジーナ博士の答えは答えなようであって答えとなっていない。
「つまり、限りなく小さく出来るけど無くすことは出来ないのが質量だと?」
僕の質問に笑いながら
「そう言う事だ。詰まるところ質量とは空間の持つ次元の一つなんだ。
そして面白い事に浮遊石は魔力でスケールに置けるそれぞれの質量を変えられるんだ。
2000年前にこの世界に転生して浮遊石を見つけた時は皆で騒いだものさ。」
懐かしむメジーナ博士を見て、前から知っていた事を理解した。
「浮遊石の事を知っていたんですね?」と言う僕の断定に答えた。
「このクレイモアもババロンも浮遊石の原理を工学的に再現して利用しているんだよ。」
驚くべき告白だった。
「一部分に浮遊力と言うべき力を発生させて全体を浮かせている。
それは逆に質量を増加させる事も可能さ。
それがあのブーストアクセラレータと言う訳さ。」
「ブーストアクセラレータの事は分かりました。でも、飛空艇クレイモアの飛行能力はどうやって生み出しているんです?」
更なる質問に食事を終えたメジーナ博士は笑って答えた。
「それこそさっき言った様々な方向から受けている力を利用しているのさ。
浮遊石の場合は細かいことは知らないまま魔法を使ってね。
飛空艇クレイモアは細かいパラメータを変動させることで推進力を得ているんだよ。理論上は光速に近い値まで出せるが船体が保たないから出せないだけなのさ。」
僕も食べ終わったお皿を見詰めてその飛行理論を噛みしめていた。
いつの間にか葵もミューレイも居ない。メジーナ博士と熱く成りすぎたようだ。
2人が寝ようと立ち上がったところでメジーナ博士のサーバントが驚きの知らせを持ってきた。
セラ復活です。
詰まり、活躍の場があります。
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いつも読んで頂いてありがとうございます。
女の子視点って難しいですね。
なかなか気持ちを上手に表せません。朴念仁な作者を許して~
ブクマ・評価は近況報告へどうぞ。
これからも宜しくご愛顧のことをおねがいします。
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