聖女セラの覚悟
セラ視点です。
承章5 エルフの里の攻防⑤
エルフの里で勇者やり切って、百薬斎セイを倒した異世界転生者の八神直哉さんのパートナーの聖女セラです。
えっへん。
世界樹の虚の中で世界樹の精霊カエデさまの告白を皆で聞いていたところに邪魔が入りました。
爆発音と激しい揺れの理由は何だったのでしょうか?。
「あれは誰?」
カエデさまが世界樹の外、戦いがあった場所を映像を通して見せてくれました。
そこには黒い邪悪な霧を纏った不審人物が浮いていました。
見ているのに顔が認識できない。
叫んでいる声は聞こえているのに意味が分からない。
先ほどナオヤさんが説明した彼でした。
「彼だ!!」
ナオヤさんが叫びました。
「不味い、冒険者たちが危ない!!
カエデさま、僕を外へ。
出来れば冒険者たちを此処へ匿って下さい。」
いくら勇者となったと言っても1人では危険すぎます。
「私も行きます!」
思わず言ってしまいましたが、足手まといにはならない筈です。
ナオヤさんがこちらを見ました。私が頷くとナオヤさんは
「分かった。危険と判断したら引き戻して貰えますか、カエデさま?」
と言ってくれました。
ナオヤさんが女神ガライヤ様と会っていた時に私だって会っていたのです。その時、女神ガライヤ様から授かった力が必ずナオヤさんを守る筈です。
女神ガライヤ様の預言なのですから。
「世界樹を、そして世界を守って。
勇者ナオヤ
聖女セラ」
カエデさまの声と共に私達は外に送り出されました。
黒くて穢らしい巨大な口が何かの呪詛を吐いていました。
いえ、あれは彼と呼ばれている異世界人です。
強力な認識阻害アイテムで世界を欺いている存在です。
女神ガライヤ様が言うには彼は異世界からこの世界を破壊する為に穿たれた楔なのだそうです。
魔神や魔王などよりももっとたちの悪い存在なのだと言うことでした。
勇者ナオヤさんはそれを除去出来る唯一の存在でありながら、力だけでは彼に太刀打ち出来ないのだそうです。
ナオヤさんに助力する者がいて初めて、ナオヤさんはその力を彼を排除する力として振るう事が出きるようになるそうです。
とても難しいお話ですが、ナオヤさんの力になりたいと思う気持ちは誰にも負けないです。
ナオヤさんは嫌っていますが、ナオヤさんの為に犠牲になっても構わないと言うのは本当の事です。
ナオヤさんが彼に叫びます。
「百薬斎セイを倒した勇者は僕だ!!」
どうやら彼が
叫んでいる言葉の中にセイと言う人の名前があったので、ナオヤさんを探しているのが分かったようです。
彼がその穢らしい口をナオヤさんに向かって開きました。
「§※§§#&@§♪☆●○!!」
何を言っているのか分かりません。
しかし、彼が何か呪詛のような言葉を吐くと空間が歪みました。
プロテクトアーマーを装備していてなお、身体と心が揺らされます。
彼を中心に闇が広がってきます。
「セラ!ホーリーを叩き込め!!」
ナオヤさんの指示で詠唱終了直前で止めていたホーリーを解き放ちます。
彼の更に上空から光の筋がゆっくり降りて来て広がり、中心の光が強まりました。
強烈な光が彼の生み出した闇を駆逐します。
ガクガクとおかしな動きをする彼に追い討ちを掛けるようにナオヤさんの魔法が発動しました。
「聖魔侵洸!!」
高濃度の魔素の高速回転で彼の周りの空間を歪めて、ホーリーの光を彼の異空間に送り込んでいるようです。
回転する光は虹色に輝いて、次第に縮小してゆきます。
非現実的な彼の姿がはっきり見えた所に更にナオヤさんの火魔法が襲い掛かります。
「極炎双双撃!!」
人と同じくらいの大きさの焔の渦巻く塊が四方から集まり、彼のすぐ近くを回転して包み込みます。
巨大ファイヤーボールに姿を変えました。
轟々と熱波が変則的に放たれます。
このまま行けるのかなと思った時、ナオヤさんは叫びました。
「不味い!セラもう一度ホーリーだ!!」
魔法の手応えを感じて、私に次の指示を出します。
「光よ集いて神の威光を示せ、邪悪なるかの敵を滅却せよ、ホーリー!!」
ホーリーが発動し始めたその時、ナオヤさんの魔法に異変が起きました。
急速に炎の光を失い、赤黒く変わっていきます。暗い岩の塊のようにファイヤーボールが変わってしまうとひび割れ、弾け飛びました。
破片が辺りを破壊して行きます。
最初の闇の影響で倒れたり、放心してしまった冒険者たちは世界樹の精霊カエデさまより世界樹の中に避難して頂いています。
辺りは凸凹の荒野になってしまいました。
中心には肩で息をしている彼が浮いていました。
その目は憎悪で燃えています。
「よ§も@#れた*!○*※○まえ!」
途切れ途切れに聞こえる言葉から認識阻害が破綻しかかっているのが分かりました。
彼の周りに広がっていた闇が彼の中に吸収されていきます。不意に彼の姿が消えました。
逃げた?いいえ、直後にナオヤさんの後ろに現れ、中段の蹴りを放ちます。
前に吹き飛ばされ転がって行きます。半分は自分で転がり、威力を半減させたようです。
振り向きざま中腰で構えます。
その時には彼は再び転移して、ナオヤさんの後ろに現れました。両手を握り、上から頭を叩き潰そうとしました。
「危ない!」そう、叫ぶのが精一杯でした。
頭を避けた彼の攻撃がナオヤさんの肩を掠めます。
しゃがんだ格好のまま横滑りしたナオヤさんが飛び上がると同時に後転しながら、空中を蹴り彼に蹴りを放ちます。
彼が直後に消えます。ナオヤさんの後側から同じ用なポーズでナオヤさんに向かって彼が蹴りをしようとしているのをナオヤさんは気付いて、着地と同時に空へ駆け上がりました。
そこは丁度彼が開けた窪地でした。
彼が着地すると同時に
「氷熱百弾」
とナオヤさんが叫び、氷と炎の塊がとんでもなく破裂しました。
もうもうと水蒸気が上がります。
そこには片膝を着いた彼が居ました。
「良くもやりやがったな!こんなにダメージ受けたのは初めてだ!!」
認識阻害のアイテムが壊れたのでしょうか、彼の声が聞こえました。
同時に姿も分かりました。
白いファーが襟と手首に付いた黒いコートの男。
金髪で面長で目尻が上がっていながらも、鼻筋が通ったなかなかの美男子です。
ただ、額から血を流し、何かのアイテムの破片が頭を覆っていました。
認識阻害のアイテムが壊れて、自分の正体が晒されている事に気付きました。
「ちくしょう!唯我独尊を壊しやがった!!
2度と手には入らないアイテム何だぞこれは!!」
喚いている彼から少し離れた所に立って警戒しているナオヤさんが眇になる。
賢者を使って正体を探っているようです。
賢者は共通の機能の為、私にも彼の情報が流れてきました。
*彼
種族 異世界人 男
天空寺 剣 21才
天空寺財閥の3男
15才の時にUFOにさらわれて行方不明になる。
火魔法特級
メテア エルメテア メテオラ
木魔法特級
トレントウィプ
水魔法特級
アクアジェット アクアウェイブ
土魔法特級
ガイアランド
風魔法級
ハイファイド
闇魔法特級
ダーク ダークボール ダークウォール
ジャドウ
無属性魔法
強制催眠 混乱 空間操作
ステータス
HP:999
MP:999
SPP:999
SKP:999
スキル
身体強化 フェーズⅠ~Ⅴ
転移 レベル3
瞬足 レベル6
ガード レベル※
§
@
☆
? *
賢者の鑑定が出来なくなりました。
突然現れた敵に背後からナオヤさんが切られました!!
辺り一面ナオヤさんの濃密な魔素が覆っていたのにもかかわらず、感知出来ませんでした。
崩れ落ちるナオヤさん。
この光景は女神ガライヤ様から啓示を受けた光景です。
素早く詠唱を始めます。
現れた敵は彼=天空寺に歩いて近付いてました。
女神ガライヤ様が言っていた勇者を唯一助けられるのは私しか居ません。例え、その手段で戻れなく成ったとしてもです。
「・・・として、我が願いを叶えよ!」
「女神転生!!」
セラの一手はどんな結果に?




