世界樹の精霊カエデ
世界樹の精霊カエデさまの話とは?
る承章5 エルフの里の攻防④
エルフの里で勇者やって、百薬斎セイを倒した異世界転生者の八神直哉です。
静まり返ったのは僕とセラに関心を持っただけでなく、その場にほとんど誰も見たことのない少女が突然現れた為だった。
「世界樹の精霊さま・・・?」
ぽつんと誰かが言った。
エルフの里の大長老エンだった。
その声に少女は振り向き、軽く手を振って
「久し振りね、エンちゃん。」
まるで小さな子供に対して言うようにその少女は大長老エンに向かって言った。
「遺跡について話があるのよ。そこの勇者にも御礼がしたいし。」
そう言うと、大長老エンと僕たちを包む薄緑色のボールが出来て持ち上がり、そのまま世界樹の中に入り込んで行った。
僕たちと大長老エンは巨大な巨木の虚にいた。
大きさから言って世界樹の中と言っていいだろう。
下生えの草原は良い薫りのする薬草のようであったし、遙か彼方に聳え立つのは世界樹の幹の内側に見えた。
空気は澄んで、光の粒が浮かんでは消えて行く不思議な空間だった。
3人は世界樹の精霊さまの前に並んで立っていた。
「立っていては話も出来ないわね」そう言うと、地面から椅子とテーブルが生えてきた。
文字通りにょきにょきとである。
世界樹の精霊さまはスタスタ歩いて椅子の一つに座った。
「あなたがたも座ってくださいな。」
と両手を広げて薦めてくれた。
3人は顔を見合われて頷くと空いていた席に座った。
「世界樹の精霊さまでしたか、僕たちにどんなご用でしょうか?」
「カエデと呼んで頂戴。
まずは勇者ナオヤに御礼を言わないとね。
キラガオーガを退治してくれてありがとう。全く寄せ付けないで退治してくれたから身体が傷つかなくて良かったわ。
あのおデブな人が操っていたのね。
あんまり暴れまくっていたから助力しようと思って見ていたけど、さすがに勇者だわ。
目の前と森を少し焼いたけどその程度で済んで良かったわ。
被害を大きくしないように戦ってくれていたのよね、ありがとう。」
そして、世界樹の精霊カエデは頭を僕に下げた。
「いえ、頭を上げてください。むしろ騒がせて申しわて無かったです。」
僕の言葉にカエデは微笑んでいた。
僕は世界樹の精霊カエデさまに敵対している彼の事を話した。百薬斎セイの侵攻は彼の先兵としてこの世界樹を狙い、更にはエルフの里を蹂躙してその先のエルフラインを破壊するのが目的だったのでは無いかと言う推測も話す。
エルフラインの破壊は世界の再生を阻むのが理由だったのかも知れない。
エルフラインとは世界樹から採れる様々な再生能力を世界に配分する為の道の事である。
世界樹の精霊カエデさまは「尚更に助力が必要ですね。
それに、あなた方に加護と少しばかりのお礼を与えたいと思います。」
カエデがそう言うと僕たちを薄緑の優しい光が包んだ。加護が与えられたらしい。
「あそこに私が蓄えたものがあるから持って行って使ってくださいな。」カエデが差す先にはこんもりと木の枝や葉や実があった。
「あ、あれば世界樹の葉や小枝ですな!」興奮したように大長老のエンが叫ぶ。
「ええ、世界樹の葉は全回復に、小枝は魔法の杖に、若芽は精神力回復に役立つでしょう。
他にも枝に絡まるフセイソウの実も幾つかあるわ。」とセラに向かって言った。
セラに任せるらしい。
それを受けて
「ありがたく頂きます。」とセラが言った。
フセイソウの実?
*フセイソウ
世界樹の高高度に寄生する異常状態を正常化する実をつける植物。
実は毒、麻痺、石化、混乱、意識低下、過敏化、逃走症、舌禍症、呪いなどを治す力があり、色によって効能が違っている。
薬師に取っては幻の実とされている。*
なるほど希少性の高いものなんだな。
「それよりこちらが問題ね。」そう言うとカエデが両手を 叩いた。
ぱん!
小気味よい音と共に近くに光の固まりが現れ、消えるとそこにはメジーナ・ババロンが立っていた。
「ここは?」辺りを見回して僕たちを見つけると声を掛けながら近づいて来た。
「おやおや、ナオヤ君、セラ、それに大長老エン。
何故ここに?それからそちらの精霊さまは誰かな?」
大長老エンがメジーナ博士にこれまでのことを説明する。相槌を打ちながらふんふんと聞いて世界樹の精霊カエデさまに挨拶した。
「これはこれは、世界樹の精霊カエデさま、はじめまして。」
頭を下げたメジーナ博士にカエデは軽く頷いた。
「あなたには沢山言いたいことがあるけど取り敢えず、あなた方がしようとしている遺跡の撤去の話だわ。」
何故かカエデが少し不機嫌である。
「それには少し昔話をしないとね。」
メジーナ博士を交えて椅子に座り、カエデは話始めた。
「およそ2500年前、私は植えられたらばかりの若芽だったわ。ある方から魔素を豊富に与えられて世界樹の力を身に付けたの。
大森海が普通の森から樹海と呼ばれ、更に育つのと共に私も大きく成長して500年以上経ち、世界樹として人々に認知されつつあった頃にあれが起きたわ。
そう、あなた方も知っている謎の魔素消失現象が起きたわ。
謎と言われているけど私はその理由の一部を知っているわ。
もちろん、あなたも知っている筈よねメジーナ博士?」
何故かメジーナ博士を責める世界樹の精霊カエデ。
何のことか分からずにぽかんとするメジーナ・ババロン博士。
「私が何か知っていると言いたいのですか、カエデさま?」
「とぼけているのか、記憶を封印しているのか分かりませんけど、原因はババロンにありますよ。
世界樹全員が見守っていた時にそれは起きましたから。」
カエデさまの言うことは良く分からないがババロンに原因があるらしい。そして、世界樹は他にもあるらしい。
「言い訳かも知れませんが、私はオリジナルのメジーナ・ババロンではありません。四代目のホムンクルスです。
記憶の剥落があったのか最初から封印されている為なのか判りませんが、謎の魔素消失現象の原因を知りません。」
嘘ではないと思う。
その時、物凄い爆発音と激しい揺れが世界樹を襲った。
大事な話の途中で邪魔が入りました。
流れからすると・・・・




