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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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脱出

地上に向けて脱出します。


地下で見つけた2人はいったい誰か

承章3 衝撃の湖クレイモア⑤

僕の名前は八神直哉ナオヤ)と言う。

バフォメ目指して旅の途中だけど、今は訳あってクレイモア湖の最深部から脱出中だ。


裂け目はだいぶ大きくて暗かった。腕時計で時間を確認すると午後9時を回っていた。お腹が空くわけだ。


戻ってきたコカトリスに魔法を使われないように奥まで進む。ライトを頼りに歩くとそこかしこに誰かが通った痕跡があった。

5年前の彼以来誰も来ていないのだろうな。


クレバスが口を開けてあるから歩きにくいけど痕跡を辿っていたら座れるほどの岩棚があったので休憩する。コカトリスから1000メートル程入って来ていた。方向からするとまだクレイモア湖の下だろう。

耳を傾けると怒り止まないコカトリスの鳴き声が聞こえた。


酒場ナポリで買ったピザ擬きを出し、レモン水の入った水筒も出す。落ち着かないがこれが今晩の夕飯だ。


デコイ人形の考えは即興の割には使えそうに思えた。もう少しロボット的な構造にすれば自律性を持たせられるかも知れない。

要検討だな。


多分ここなら安全だろうから仮眠を取ることにしよう。脱出にはまだ時間が掛かりそうだ。


4時間ほど後、僕は移動を始めた。まあ、彼の痕跡を辿っているだけだけど。


所々魔法によるトンネルがあった。亀裂が小さかったから彼が魔法で通れる穴にしたのだろう。


基本的には北上していて次第に亀裂は小さくなっていった。だから彼の魔法による掘削痕が多くなる。

脱出し始めて、休憩を入れてほぼ1日掛けて地上に出れた。出た場所はクレイモア湖の北の森の中の岩が重なった場所だった。

岩は彼のカムフラージュだろう。


東に戻ればクレイモア湖に注ぐレイン川に出るだろう。多分、そちらには今のところ用は無い。


岩の上に登って休憩する。

ここならある程度の食事は取れるだろう。インベントリーからスープの入った鍋とスープ皿とスプーンと食パンを出して並べる。スープの中には肉がゴロゴロ入っていて具沢山だ。

食べ終わったら残りはインベントリーに戻す。食器類は水魔法で汚れだけ流してしまってしまう。

このまま朝まで休憩してから例の塑像を確認しよう。


朝日が森を明るく染め上げ始める頃起き出してクレイモア湖に近づくように西を目指す。

森が開けた場所にでたので、休憩ついでに例の塑像をインベントリーから出した。

一体は女性だった。恐怖に怯え、何かから逃げようとしゃがみこんで両手を高くあげている。

一体はオヤジだった。ひげ面で強面である。攻撃を両手持ち剣の平らな部分で受けた状態で固まっている。


女性は身長約160センチくらいで痩せているけど胸は大きい。顔はちょっとつり目だけど美人系、20歳は行かないくらいかな。

軽装にライトプレートを付けている。腰に短剣帯が5つもある。腕と股にナイフが5本づつ収納できる用になっているけど一本も無い。使い切ったのかも知れない。

身体に傷痕とか無いから直接石化を受けた訳じゃあ無さそうだ。


オヤジの方は身長約190センチオーバーで長髪、ポニーテールにしている。こちらはハーフアーマープレートで背中に大きな盾を背負っているけど、多分30歳は行っているのではないかな。如何にも盾役ですと言う身体をしていて、あちこち怪我をしているようだ。


石化解除をする為にデミグラスを一掴みまとめて男の心臓あたりに擦り付ける。

デミグラスの薬液が染み込んで行くとグレーだった石が着色されてゆく。服ごと石化されていた身体全体が元に戻るのはあっという間だった。

身体の傷や負担が石化する直前に戻ってゆく。頭の上から足の先まで石化の魔法がとけてゆく。


石化が解けた途端に男が叫び声を上げた。

『どっせいィ~』

コカトリスの攻撃を受け止めたつもりなのだろう。

勢い余って前につんのめって転がってしまった。

茫洋とした後、いったいなにがとつぶやきながら、周りを見回して僕に気が付いた。

「どうやら助けて貰ったらしいが説明して欲しい。」

立ち上がりながら僕に向かって話しかける。

僕が黙っていると

「ああ、済まない。俺はダズン、パーティー“妖精の豪腕“のダズンと言う。」と名乗った。

あちこち怪我をしているので取り敢えず薬草を渡し、体調を整えて貰った。


その間、もう1人の女性にデミグラスを擦り付ける。さすがに胸に触れないから背中側にした。

石化が解けると女性は後ろに転けた。そのまま座り込んでしまう。

ダズンが声を掛けた。

「メリアイダ、大丈夫か?」

ダズンを見てメリアイダは安心したのか

「た助かったのね。良かった。」と言い、立ち上がると誰かを探し、代わりに僕を見つけて驚く。

「あ、あなたが助けてくれたの?」信じられないものを見たと言う顔だ。

近寄ってきたダズンが言う。

「ああ、そうらしい。まだ、名前を聞いていないがね。」

敢えて名乗っていなかったが先に質問をする。


「あんな所であなた達は何をしていたんです?他に仲間はどうしたんです?」

名乗らない事に少し警戒したダズンは言う。

「飛空挺クレイモアを探していたのさ。それで、コカトリスに出くわして逃げる途中で石化された訳だ。

パーティー“妖精の豪腕“はそこのメリアイダを含めて5人、他のメンバーは無事脱出が出来たみたいだな。」さほどのことは無いと言う風にダズンは言う。


そこで、ダズンたちがおおよそ5年前からあそこにいたらしい事を言うと悲しそうな顔をした。

そうだろうな、安全確認したら助けに来るのがパーティーと言うものだ。

それを放置されていたとしたらショックだろう。

当然、彼の事も聞く。

ダズンもメリアイダもそんな相手は一緒じゃあなかったと言う。

どこからダズンたちはあそこにたどり着いたと言うのか。

あやふやながらダズンもメリアイダも亀裂から入ったつもりでいるようだ。

嘘は言っていないようだ。


どうやら彼は保険を掛けていたらしい。自分から離れたら彼の事はもとより、彼に都合の悪いことは記憶を失うように闇魔法を掛けてあったようだ。

そんな、都合の良い魔法なんてあるのか分からないが。


聞けるだけの事を訊いた後、食事を出した。ダズンもメリアイダもお腹を空かせているだろうから。

アイテムバックから鍋やら肉やら材料を取り出し、土魔法で作った台で調理する。簡単な肉野菜炒めと保管していたスープを出す。もちろんトーストもだ。

ダズンは旨い旨いと食べていたが、メリアイダは気が晴れないようだ。

仲間が助けに来なかった事がかなりショックだったのだろう。


「助けてくれてありがとう。改めて礼を言わせて貰うよ。この礼は必ず果たす。君が来てくれなかったら一生あそこで石化したままだったろう。」ダズンはそう言った。

これからどうするのかと訊くと仲間を探すと言う。

「心当たりはあるんですか?」と訊くと

「多分、王都の隠れ家にいるだろう。」ダズンは言う。

多分、彼もそこにいるだろう。でもまだダズンには確認しなくてはならない事がある。

「凶姫ローズ」

静かに僕が言うとダズンもメリアイダも反応した。

「“妖精の豪腕“のパーティーリーダーですか?」

ダズンとメリアイダは顔を見合わせる。

仕方ないと言う風にダズンは答えた。

「ああ、そうだ。」

僕が他のメンバーについて訊くと答えられない、秘密だと言う。

僕が名前さえ教えないならいくら命の恩人でも話せないと言う。


だから答えた。

「ナオヤと言います。彼と同郷ですよ。」



2人は固まる。

いよいよ正面から遺跡に挑みます。


果たして遺跡はナオヤに応えるのか?

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