第4実○区○“自○繁○○リア
出口を探して謎の施設へ入り込みます。
ここは、果たして
承章3 衝撃の湖クレイモア④
僕の名前は八神直哉。
バフォメ目指して旅の途中だけど、今はクレイモア湖の最深部を探索中だ。
クレイヒュドラの体内にめり込んで行くのは物凄く気持ち悪かった。
レーダーを使い、出口を確認しながらではあるが何も見えないのだ。
一歩一歩、また一歩。少しづつ進む。泥の抵抗は変わらないのに進めば進むほどきつく感じる。
ほうほうの体でやっと出口に辿り着く。出口には降りる階段があった。
先ずは水魔法で全身の泥を落とし、ライトの魔法で明かりを付ける。
かなりの斜度で階段は降りている。ライトをつけでもって先が見えづらい。
魔法も効きづらくなっているようだ。
マップで確認すると出口からさらに50メートルほど深く降りてきたようだ。
階段を下がりきった先には扉があった。
扉には丸いハンドルが付いていて、薄ぼんやり発光しているようだ。
ライトの魔法が扉に吸い込まれるように消えた。
扉の前の丸いハンドルを回す。圧迫が取れ、中に開く。これではまるで気密室の扉だ。
何かの施設だとしたら前・超文明時代の遺物の彼の探していたと言う飛空挺クレイモアかも知れない。
中に入る。
そこは別天地だった。広がる青空と長閑で爽やかな空気、そして花畑。
地下から地上へでたのかと思えるほど開放的な場所だった。
名も知らない花々と飛び交う蝶々達、ぽつん、ぽつんと点在する香り豊かな果物が成る低木。
入り口を振り返ると『第4実○区○“自○繁○○リア“』と読めた。
何か生物を放し飼いにしていた場所だったらしい。よく見ると裂け目や罅が入っていてそこだけ書き割りが無い。つまり壁に広がりを感じさせるためのプロジェクションマッピングより高度な投影映像が写し出されているのだ。
何か生物がいたにせよ、裂け目とかから逃げ出しているのでは無いかと思われた。
ただ、施設としてはまだ生きているのだろう。大型生物が居ないと良いのだが、どうだろうか。
壁沿いに歩いて行くと20メートル先で同じような扉を見つけた。フェーズⅢの身体強化をして試しにハンドルを回したが固くて回らなかった。
さらに、暫く行くと折れて天井から途中まで降りている螺旋階段があった。
天井に同じようなハンドルが見える。
魔糸のロープを投げ、身体を持ち上げなんとか螺旋階段に辿り着く。
螺旋階段を登り、扉のハンドルを回すがやはり回らない。周りを見回すが他にそれらしい扉は見あたらなかった。
レーダーを使いながら慎重に壁沿いに歩き回る。のんびりした雰囲気につい気が緩む。
いきなりレーダーに2つ反応が出た。直ぐに魔素を反応点の魔素の波長に合わせた魔素のボールを生成凝縮してポイントする。
すごく素早い。距離は10メートルほど先の中側の草原の中だ。
直ぐに草原が割れて何かが飛び出した。
視認した途端、僕は水魔法を発動して攻撃を受ける前に相手にダメージを与えて無効化する。
“コッコトリス“と言うコカトリスの進化前の魔物であり、湖畔の町クレアの道具屋の主人が石化を受けた冒険者がいると言っていた魔物だ。
見た目は普通の鶏と同じでサイズだけ異なるほぼ2倍の大きさの魔物である。湖畔の町クレア近傍に出現したコッコトリスはここから逃げ出したのだろうか。
草原の向こう、施設の反対側に大きな裂け目が見えるのでそこから逃げ出したのだとしたら地上に出られるかも知れない。
取り敢えずそこに向かう。
目標にした裂け目の手前に裂け目から落下したような大岩がある。
そこからこの施設の向こう側が掴めるかも知れない。
進みながら倒したコッコトリスを収納して置く。
考えて見ればこの魔法もチートかも知れない。見た目、僕が睨んだだけで魔物がころりと逝くのだから。
魔物も何をされたのかも分からない。
唯一無二と言えば聞こえが良いが、卑怯臭い魔法である事は確かだ。
ただ、威力は初級なので体外からの攻撃は目くらまし程度でしかないのがかなしい。
コッコトリスの進化型コカトリスのような体外からの魔法を無効化する魔物とエンカウントしたら僕は詰むか逃げるしか無い。
大岩を右から迂回するように回り込んだ僕は固まった。
さっきエンカウントしたら怖いなと考えていたコカトリスがこちらに背を向けて座り込んで居たのだから。
レーダーは大岩の向こう側をカバー出来ていなかった。丁度、探知外の部分にいるなんて僕は運が悪い。
そうっと、後ろ足で少し戻り大岩の陰に隠れる。
どうしよう。
コカトリスがどこかに行ってしまうまでここで気配を消して潜んだ方が良いか、コカトリスの注意を引く行動をしてここから引き離すか考える。
インベントリーがあるから食べ物の心配は要らないし、急ぐ訳でもって無いから粘って潜んでも良い。
ただ、何時気づかれるか分からない心配はある。見つかったら瞬足で逃げ回らないといけないが、逃げきれるかどうか分からない。
コカトリスの方が早いかも知れない。
コカトリスの気を引くにしてもどうしたら・・・あ!出来るかも知れない。
僕は大岩のコカトリスのいる反対側までもっと移動して、陽動作戦に必要な“物“を作り始めた。
僕の使う魔糸はロープの太さまで寄り合わせる事が出来、魔法を発動する事である程度動かす事が出来る。
投げた方向を変えたり、先端で物を掴んだり離したり出来る。
これを利用してロープで出来た骨組みを作る。そして、ここに来る時に拝借した『クレイヒュドラ』の一部で固める。
デコイの完成だ。
僕の腕時計から魔糸でリモートする。
60センチくらいのデコイ人形は思うとおりに動かせた。瞬足を使って走らせればコカトリスは追って行くだろう。追って行って欲しい。
目の前に置いてリモートする。手を挙げる、歩くは問題なく動いてくれた。
大岩から離れるように走らせてみる。
さらに、瞬足の魔法を掛け、走らせる。
ザザザサー 10メートルほど走った。
大丈夫なようだ。
大岩を左回りに回り込み、コカトリスの様子を見る。
こっくりこっくり、居眠りしているようだ。
大岩の窪みに張り付くように隠れ、デコイ人形をワザとコカトリスの前に飛び出させた。
『!』
コカトリスが気付いた。
でも、何もしようとせず、コクリと首を傾げた。
あれ?攻撃しようとしないぞ。
焦った僕はデコイ人形でコカトリスを蹴った。
コカトリスが立ち上がり鳴いた。
『クォオオオ~カァアア』
瞬足で走り始めたデコイ人形をコカトリスが追いかけ始めた。
隠れている僕の身の前を怒気を纏ったコカトリスが走り抜ける。
感覚だけでデコイ人形を走らせてゆく。方向は僕がこの施設に入って来た入り口だ。
200メートル程走ったところでコカトリスに強襲さられた。デコイ人形にコカトリスの魔法が打ち込まれる。石化の魔法だろう。
魔糸を切り離してそそくさと壁の亀裂に向かう。他の扉が見えたがここは逃げるしか無い。
裂け目の近くに人の塑像が2つあった。
これ、あれだろ。
何も考えないで収納する。
コカトリスが戻って来ない内に裂け目の中へ進んで行った。
なんとか脱出です。
変なお土産付きですが・・・




