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17.校内散歩

更新が大変遅く遅くなり、申し訳ございませんでした。

また楽しんでいただけると嬉しいです。


 前世の教育制度は、六・三・三の十二年プラス大学や大学院だったけれど、この世界には小学校、中学校、高等学校、大学という括りは無く、一貫で十年だ。六歳になる年に入学して十五歳で卒業する。それ以降、進める学業の場もあるが、十六で成人とされるこの国では、女性の殆どは花嫁修業を経て結婚へと進んでいく。女性が結婚できる年齢が十六だからだ。因みに男性は、成人して一年後、社会人としてしっかりと自立してからということで、十七が結婚できる年となっている。

 …………話は現実に戻って、入学式の翌日である今日は、四年生と二人一組になって校内を回ることになっている。スタンプラリー式のこの行事は『校内散歩』と銘打たれているらしい。そして、四年生と新入生以外の学年もペアで校内を回り、親睦を深める。

私の横には目つきの鋭い男の先輩。

「…………面倒くせぇ…………。」

 しっかり聞こえちゃったので、恐る恐る顔を見上げると、彼は頭を掻きながらバツが悪そうに

「すまん。」

と呟いた。

 こくんと頷くと、彼は少し口元を緩めて続けた。

「俺はニコレスィード・ノーラム。お前は?」

「シリルファリナ・クリスティーンです。」

「シリルか。俺のことはニコでもニコルでも、好きなように呼ぶと良い。」

「はい。じゃあニコルさまで。」

「別に様はいらない。呼び捨てで良いぞ。」

「はい。」

 微笑んで頷くと、ニコルの瞳が優しげに瞬いた。そうすると、言葉を交わす前の、一匹狼的な近寄りがたい雰囲気は霧散し、頼りがいのある年上の男の子、という感じだ。だからつい、不思議に思ったことを尋ねてみた。

「あの……ほとんどのペアがどうせい(同性)みたいなんですが、どうしてわたしたちはちがうのでしょうか?」

 ニコルは少し困ったような表情になったけれど、それでも心を決めたように一度頷いた。

「そうだな。知らなくて妙なトラブルに巻き込まれるよりは、知っていた方が良いかもしれないしな。………実は、新入生と組むことになると聞いた四年の女共の間で、お前を巡る争奪戦が勃発したんだ。」

「えっ?!そうだつせん?!」

「ああ。昨日の入学式に王子と一緒に現れた色男、シリルの兄貴なんだろう?!」

「はい。」

「だからだよ。」

「は?!」

 よく解らなくて、ニコルを見上げたまま首を傾げると、彼は少し鼻の頭を赤くして言った。

「何か、昨日あの色男、お前のクラスに乱入してお前を抱き締めたそうだな。」

「………はい。」

「その噂が流れて、それでお前があの色男の妹だと、みんなに知れた。しかもあの色男は、学校にも通わず王宮での特別な教育を受けていて、王子の側近としての将来を認められているも同然。それに王子に婚約者がいるという噂もあるから、ここに通う女共にとって、この国で今、一番美味しい男だと認定されていると言って良い。」

 私は少々青ざめた。

「まさか…………。」

「そのまさか、だ。お前と面識を持ち、仲良くなることで、あの色男とも顔見知りになって、いずれ玉の輿に乗るんだって考えた女共が、お前とペアになる権利を取り合った。とうとう収拾がつかなくなって、結局男ならお前の兄貴に興味を示さないし、玉の輿も関係ないからということで、先公が俺を指名したんだ。」

「そうだったんですか………。ごめんなさい。」

 ニコルはちょっと微笑んだ。

「謝らなくて良い。って言うか、ごめんよりもありがとうの方が嬉しい。」

 そう言われて、私もつい微笑み返した。

「じゃあ、ペアになってくれてありがとうございます。あんない、よろしくおねがいします。」

 頷いたニコルは、やっぱり鼻の頭が赤くなっていた。





新キャラ登場です!

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