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12.セラの懸念(SIDE レヴィナイス)

思い切って、2話更新します!


 今日も俺は朝からセラと勉強している。国を動かす為に俺が学ばなければいけないことは数多く、また将来的にセラにそれを補佐してもらうべく、五歳の頃からここ、王宮で二人一緒に勉強するようになった。

その頃から月に二、三度、セラは妹、シリルファリナを母上の元に連れてくる。彼女を気に入った母上のゴリ押しの結果だ。

実は今日もファリナが来ている。彼女は五歳になった今、幼児っぽさが抜け、少女らしくなってきている。そんな彼女はやっぱり可愛くて、母上恒例の着せ替え遊びには毎回俺にも声を掛けてもらえるよう頼んである。だが、今日は着せ替え日ではなく、また少し大きくなった彼女の採寸をする予定らしかった。女の子が身体のあちこちを測っているところに乱入する趣味は無いが、かといってファリナに会えないと思うと、逆に無性に彼女の顔が見たくなって勉強に集中できない。そんな俺をセラはニヤニヤしながら眺めている。勿論、教師の前でそれを指摘することはないのだが、すこしばかり落ち着かないのは否定できない。

集中できないまま国史の勉強が終わり、次の経済の勉強までの休憩時間になった。俺はセラに話があったのを思い出した。

「そういや、セラ、明日からエスナーも一緒に勉強する。午前中だけらしいがな。」

「エスナー?エスネラードか?」

 予想もしていなかったらしい。セラの瞳に怪訝な表情いろが瞬いた。

「ああ。」

「どうしてだ?」

「お前と同じ。」

「つまり人材育成か?」

「そうだ。」

「何故急に?」

 どうやらセラは今ひとつ気に入らないらしい。

「陛下の意向だ。因みにヤツは現騎士団長の父親の跡を継ぐ為、午後は俺達とは別に、剣術や体術をするらしい。」

 俺達も午後から剣術や体術の指導を受けているが、エスネラードの場合は俺達のそれとはかける時間も稽古のレベルも全然違う。半端な訓練で騎士団長の地位に就ける訳がないのだ。

「ふうん。…………エスネラードって、今何歳だったっけ?」

「ファリナのいっこ上。」

 セラは今のところファリナ以外の人間にはとことん興味が無い。覚えさせるにはファリナに託けるのが手っ取り早かった。

 だが、俺の答えを聞いたセラの顔は益々不満そうに歪む。

「気に入らないか?セラ。」

「当たり前だ。ここで一緒に勉強するってことは、エスネラードにシリルと出会わせる機会を与えることになりかねないんだぞ?!可愛い可愛いシリルが狙われないとも限らないじゃないか!」

「それはファリナの相手として、エスナーが気に入らないって意味か?」

「いや、アイツだけじゃない!全ての男共をシリルに近付けたくないんだ!」

 俺は溜息をついた。

「…………セラ。それはシスコン過ぎるだろう。ファリナだって一般的な女の子と同様、恋愛とか花嫁とかに憧れていておかしくないだろうし。大体、エスナーがファリナを気に入ると決まった訳じゃない。」

「何を言う。可愛いシリルに心惹かれない男は、赤ん坊と同性愛主義者以外にはいない。賭けても良いぜ?エスネラードがシリルに逢ったら、間違いなく惚れる。」

「何でそんなに自信ありげなんだ?」

 セラはニヤッと笑った。

「お前がシリルをお気に召しているからだ。」

「はぁ?!」

 何を言っているのか理解不能。そんな俺の思考に気付いたらしく、セラは続けた。

「お前は第一王位継承者として、小さい頃から訓練されてきている。それは身体や知能だけじゃなく、精神面でもいえることだ。そのお前が一目でシリルに興味を持った。精神的に鍛えられていないエスネラードなぞ、シリルの魅力の前では何の抑止力も働かないに決まっている。」

 確かにエスネラードも弟が1人いるだけで姉や妹はいない。女の子という生き物に免疫は無い筈だ。だからといって、女の子との接触が少ない少年が全てファリナに夢中になるというセラの考えは行き過ぎのように感じる。シスコンフィルターが掛かっているとしか思えない。全ての少年の、女の子に関する好みが同じではないからだ。

「…………考え過ぎじゃないのか?セラ。」

 躊躇いながら口にした時、扉がノックされた。

「失礼します、殿下。」

 入ってきたのはセラの父親、魔術師長のティオンヌだった。



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