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黒髪の女の子の襲来で気分よく帰れるだろうか

***

◆喫茶店・隅の席

ギルドを出て、ミヤと二人で近くの喫茶店に入った。

 ギルドの顔見知りに見つかると面倒なので、

 できるだけ目立たない店の奥の席を選ぶ。


俺はオレンジジュース、ミヤはグレープジュースを頼んだ。

 店内は静かで、他の客の声もほとんど聞こえない。


ミヤは姿勢を正し、丁寧に頭を下げた。


「改めまして……ミヤといいます。

 先日は、本当にありがとうございました」


名前は知っていたが、

 先日はダッシュで逃げたので、ここでは初耳のふりをする。


「はじめまして……ショウです」


ミヤは嬉しそうに微笑んだ。

 その笑顔が妙にまっすぐで、俺は少し視線を逸らした。


「それで……なんでここに?

 神奈川からここまで、遠いでしょ」


俺がそう聞くと、

 ミヤはスマホを取り出し、画面を見せてきた。


「ショウさんのお名前、海鳴支部で聞きました。

 それで……この動画を見て……」


画面には、例の“配信者救助動画”が映っていた。

 再生数がとんでもないことになっている。


俺の顔は映っていない。

 ウィンドウを使っているところも、なぜか編集でカットされていた。

 配信者が気を利かせてくれたのかもしれない。


だが――


「この後ろ姿……動き……

 どう見てもショウさんだと思って……!」


(特定能力高すぎだろ……)


ミヤは続ける。


「動画の中で“西新宿洞穴群に挑戦します”って言っていたので……

 最寄りの新宿支部にいると思って……来ました」


(……それで神奈川からここまで……?)


俺はジュースを一口飲んで、気持ちを落ち着けた。



***

◆ミヤの願い

「それで……ショウさんにお願いがあって……」


ミヤは両手を膝の上でぎゅっと握りしめた。


「私……ショウさんに、同行したいんです」


「いや、俺はDランクの荷物持ちなんで。

 そういうのはやってないです」


即答したが、ミヤは引かない。


「海鳴でも……“蒼風の爪”じゃなくても……

 他のパーティに入ればいいって言われました。

 でも……顔を知っている人ほど、逆に接しづらいんです」


「そんなもんなんですかね……?」


俺は最初から嫌われるタイプなんで、そういう感覚がない。


ミヤは俯き、そして顔を上げた。


「ショウさんは……助けてくれたとき、説教しなかったんです。

 無謀だとか、才能がないとか、そういうことを一切言わなかった」


(……悪気はないのは分かるけど、重い……)


「お願いします……!

 ショウさんじゃなきゃ、嫌なんです」


まっすぐな目で言われると、

 逃げるのも難しくなる。


俺は頭をかいた。


「……俺は別に、ミヤさんみたいに魔法も使えませんし、

 肉弾戦も得意じゃないですよ。

 いいんですか?」


「はいっ!」


目を輝かせて頷く。

 この押しの強さ、どこから出てくるんだ。



***

◆行き先を決める


「西新宿洞穴群は最寄りだけど……

 さっきのギルドの騒ぎを見ると、知り合いがいると何か嫌だな……」


俺は少し考えてから言った。


「今回は……新宿アンダーシティに向かうか」


「はい! どこでもついていきます!」


「じゃあ行きましょうか。

 適当なところで帰るので、そこで満足してくださいね?」


「はいっ!」


(……絶対満足しないやつだこれ)


俺はジュースを飲み干し、

 席を立った。


こうして、俺とミヤの“同行”が始まった。


面倒なことになりそうだ。


俺は今日の晩飯は焼肉でロースを焼く、そう決めた。

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