置き去りにされても気分よく帰ります
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◆帰還・いつもの支部
神奈川県・海鳴ダンジョンの遠征から戻ってきてから二日後
いつもの支部に訪れていた。
今日も俺を“荷物持ちDランク”として雇ってくれるパーティと仕事をしていた。
今回はBランクパーティ。
CからBというラインを越えた連中で、腕に自信のある面々だ。
遠征してきたのだろう。
装備も態度も、どこか余裕と驕りが混ざっている。
「おいDランク、遅れんなよ」
「荷物落とすなよ、壊したら弁償だからな」
俺は黙ってついていった。
こういう連中がどういう目に遭うのか、俺は想像がつく。
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◆ダンジョン・下層
案の定、下層でピンチになった。
水場の多い海鳴ダンジョンとは違い、
ここの下層は乾いた岩場で、魔物の攻撃も激しく、重い。
Bランクパーティは油断していた。
そして、追い詰められた。
魔物はグランド・ビースト、下層でもそれなりに危険なやつだ。
たまに死者も出している要注意の魔物。
「やばっ……!?」
「ちょ、なんでこんなのが――!」
「撤退だ撤退!!」
俺を置いて、全力で逃げていった。
「……まあこうなるよなあ」
残された俺に、グランド・ビーストが迫る。
牙を剥き、爪を振り上げ、
岩を砕く勢いで飛びかかってくる。
俺はウィンドウを展開した。
ぱん、と透明な板が空中に固定される。
そのまま、迫りくる攻撃を受け止めた。
音もなく迫る殺意を受け止める。
物理的な攻撃を完全に遮断するウィンドウ。
下層の魔物の一撃でも、びくともしない。
「……」
だが、殴るには堅い相手だった。
近づきたくもない。
俺は魔物の前にウィンドウを出現させた。
水平に、鋭く。
「はい、ストップ」
魔物が突っ込んだ瞬間――
ウィンドウがその身体を両断した。
音もなく、魔物は崩れ落ち、
光の粒となって消滅した。
残ったのは、小さな棒状のアイテム。
「……お、換金アイテムじゃん。ラッキー」
俺はそれを拾い、ポケットに入れた。
「さあ帰るか」
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◆ダンジョン出口
外に出ると、さっきのBランクパーティが息を切らしていた。
「お、お前……生きてたのか……?」
「いや、その、無事で良かったよ……」
驚くリーダーと、バツの悪そうな仲間たち。
俺は肩をすくめた。
「じゃ、お疲れさまでした。
俺は気分よく帰るんで」
彼らは何か言いたげだったが、
俺は聞かずにギルドへ向かった。
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◆ギルドにて
仕事完了の報告をする。
受付のミナミさんが怪訝な顔をしている。
「今日のお仕事のパーティーは?」
「ええ、まあいい感じに終わりましたよ」
俺の言葉を聞いて眉をひそめるミナミさん。
「先日神奈川の海鳴ダンジョンでは良いお仕事したってギルドの報告に入ってましたよ、真面目にお仕事することもあるじゃないですか」
あー……ヨウジさん達だったか……。
「あちらの支部の報告書を見ると、また一緒に組みたいと仰ってたそうです」
善い人は苦手なんだ。
「ま、俺のホームはここなんで気が向いたらっすね」
そう言って俺はギルドを後にする。
コンビニで晩飯買って帰るか、そんなことを考えながら歩く俺の後ろ、ギルドに駆け込む足音が聞こえた。




