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joker  作者: ねきつ×あまひら。
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4章


 封磨と名乗った、封磨君であろう人がが扉をあけた。

 片手には鍵が握られているからがちゃがちゃという音は鍵をあけたんだなってなんとなく思う。

 自分が中にいるのに鍵をかけるとか(内鍵とかないし。)マゾなのかな雅さんは。って思う。

「あれ、しょーやん起きたのかな。」

「……しょ………しょーやん……?」

 距離の詰めかたが怖い。

 しょーやんなんて呼ばれたのはじめてだ………。

 というかあだ名とかはじめてだ。

 恐ろしい………。

「扉閉めてくださいね。封磨。」

「了解かな。」

 扉を後ろ手で閉める封磨を見る。

「………………。」

 …………小っさいなこの人。

 僕はとても背が低いので、そんなこと思ったこと全然ないけど。

 封磨小っさ。

 145センチ前後だと思う。

 倒れてた封磨はそこまで小さく感じなかったけど、本当に小さい。

「小さくて悪い………?」

 封磨はむうっと頬を膨らませていう。

「あ………え?」

 読まれた?

「しょーやんだって低いよ。…………ってより、雅さん。侵入者がいるかもしれないかな。」

「侵入者……ですか?」

「この学校の生徒が正門の前で制服が脱がされた状態でぶっ倒れていたのかな。」

「それはそれは……。」

「新汰が探してるけどまだみつからないらしいのかな。もしかしたら湖が音楽室に行ったから友達が来てるのかも知れないかな。」

「ですって。抄夜君。」

 話をふられた。

「え?………僕?………僕の助けでしょうか?助けの可能性は薄いと思っていましたが……。」

「抄夜君に関係ない侵入者がいる可能性の方が低いと思いますし、湖の友達といったら黒闇陽死色という方ではないでしょうか?………湖の友達はすぐに死んでしまいますからね………。困ったものです。」

「侵入者の方はぼくらがどうにかする………かな。しょーやんはまだ敵っぽいし。」

 封磨はちらりとこちらをみた。

 まだっていうか仲間とやらになるつもりはないし……。

 出来れば逃げたいというか。

「逃げたいかな?」

「………。」

 やっぱり読心術か。

 迷惑だな………なにも考えられなくなる。

「無理だと思うよ。ぼくは。ぼくだって最初は逃げようとしてたかな?」

「最初は?」

「意外とアットホームだったりする。かな。仲間っていいものだったりすると思うかな?」

「ふうん?」

 仲間……か。

 友達らしき人は結構いるけど、仲間はいたことがないから興味がないことはない。

「雅さんはなんでも受け入れてくれる人。雅さんは湖の次に好きかな。―――あ。そうだ、しょーやん。」

「?」

「死色んだっけに刺された傷を直してほしいかな?動きにくいんだよ。」

「治したけど………?」

「治ってないのぐらいわかるかな。」

「………。」

 治すべきか治さないべきか。

 僕が直すといったらタロットが必須になるから反撃のチャンスが出来るのか?

 そもそも僕に反撃をする気はあるのか?

 毒牙を抜かれているというか、揺らいでいるというか。

「――いいですよ。すみませんが雅さん、五番目にある"The Hierophant"とってください。」

「the Hierophant?あぁ、これですか?」

 雅さんはカードケースからカードを全て出し、The Hierophantを取る。

 僕以外の人に触られたくないけど、仕方あるまい。

 気にするな。

「手の縄もはずしてほしいんですけど……。」

「……。」

 無理か。

 まぁ当たり前かな。

「じゃあいいです。………封磨さん―――こっちに来てくださいな。」


◇◇◇


「任務ぅぅう、開始ぃいいいいっ!!!」

 お前は本当に人間かと疑うほどの跳躍力で、死色は跳躍し、歌乾に飛びかかった。

「えぇ……あなたはぁ本当に人間?それとも……鳥?」

 するりと歌乾は躱す。

 俺はそれを横目に見ながら弓を準備する。

 ナイフはいつも、妹の役なんだけど、今回は死色か。

 なんだかんだいって、死色と一緒に戦うのは初めてかもしれない。

「……………しね。」

「うお!?」

 気づけば近くに歌乾がいた。

 俺は瞬時に避ける。

「ちっ。」

 彼女は舌打ちをし、またどこかの影に潜んだ。

「やりづれぇ……!何だこの戦い!」

「名莉海くん、お邪魔でしぃ!」

 と、叫びながら死色が飛んでくる。

「お、おう!」

 あれ、俺、この戦いに必要か?

『邪魔しないでよ……』

「とりゃああああっ!!」

 影に剣を突き刺すと、そこから歌乾は出てくる。

「………あのさ……二対一って卑怯じゃない?」

 ゆらりと彼女は言った。

「じゃあいいぜ?しょーやくんとやらの居場所を教えてもらえれば俺は……。」

「嫌でし!!しーちゃんはこのフルート野郎と決着をつけるん、でしいい!」

「むう。」

 少し剣の先が掠ったようだ、服が破れた。

「……うう。」

 その時、放っておいた教師が目を覚ました。

 このままだと、やばいか?

「嫌だなあ、本日最初の殺しが一般人(笑)だなんてってね。」

「んん?何だこの」

「知る必要ねえよ。」

 放った矢は教師の首に刺さる。

 教師から出た血液は周りの床に付着し、赤く染めた。

「あーあ、床汚れた。ま、いいや。」

 あの戦争が終わったあとも、怠けていたわけではないので、弓の腕は鈍っていなかった。

「―――ていっ。」

 俺は死色と争っている歌乾に矢を放つ。

「……ふぇ!」

 さすがに足元を掠っただけというあたり、向こうも素人ではないようだった。

 歌乾はこちらを警戒し始める。

「しーちゃんも軽快してくだしゃあああっ!かみまみた!!」

 死色はお得意、遠心力を利用し剣をぐるぐると回す。ああなると俺も近づいたりはできない。

 最高で五百七十回ほど回れるようで、それ以降は目が回るらしい。

「……ちょ、やめて……よ。危ないじゃない……。」

「知りませぇぇえええん!死んでくだしぃいいい!」

 段々と歌乾に近づく死色。

 俺はきり、と矢を引く。

「――――!」

 放つ瞬間の殺気を感じたのか、歌乾はこちらを向き、そのまま矢を避けた。

「くそっ。あたんねー!」

 ナイフに変えるべきか、否か。

 でも正直、ナイフは好きじゃない。返り血が気持ち悪いからな。

「ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる!!!!」

「あ、死色!」

 ――――イヤフォンがとれる。

 歌乾はにやりと嗤う。

「兎に角わたしわぁ、この時を待っていたんだ……………!」

 言って、フルートを取り出した。

「死色!!」

 俺の声は聞こえていないようで、まだぐるぐると回っている。

 俺は咄嗟に袖に仕込んでいたナイフを投げたが、よく狙っていなかったためか、歌乾に当たりしなかった。

「――――『終わりの歌』。」

 破滅的な歌を演奏する――。

 俺には効かないその歌を、死色は聞いてしまった。

 死色は、その場にへたり込む。

「あ、あれれぇ?力が入らないでし……?うぅ?」

「ふふ……効いた……効いた。建物だとやっぱりちがうんだね……。」

 さて、と、彼女はこちらを向いて嗤う。

「後わぁ、あなただけ。」

「くそっ。」

 俺はナイフを握る。

 もう弓は無理だ、不利すぎる。

「うー……。」

 死色は呻いている。

 俺はその場から五メートル程跳び、ついでに死色を抱えて音楽室の隅に着地した。

「名莉海くぅん、どうしたらいいでしかぁ。」

「立てないか?」

「む、無理でし。」

「あいつのことで気づいたことは?」

「ないでし。」

「あっそ……。」

 期待はしてなかったけどな。

「しーちゃん、役に立てないでし……。」

「しょんぼりしてる場合じゃねえ。イヤフォンつけとけ。そんで剣でなんとなく守っとけ、自分の身くらい。」

 死色の耳に、拾い上げたイヤフォンをはめた。

「わかったでし。」

 素直に頷いた死色を確認し、俺は立ち上がった。

「さてと、歌乾さんよ。」

「なに……?」

「死んでもらうぜ。」

 言って、正面から飛びかかる。

「!!」

 なにやら驚いた様子の歌乾を他所に、俺は縦横無尽に斬りつける。

 俺の攻撃は殆ど防がれてはいたが、幾度かに一回くらいは、当たっているようだった。

 俺は攻撃のスピードを緩める。

「疲れたのかな?」

 訊いてくる歌乾に、俺は笑う。

「さあね。」

 一度、後ろに引いた。

「……何故引くの………?」

「…………。」

 観察をする。

 横あたりには傷はほぼ無いとみた。

「……ははーん。」

 おっけーおっけー。

 弱点見つけた。

「………?何?………気持ち悪いよ……。」

「―――気持ち悪くて多いに結構。」

 どうせ死ぬんだからね。

 そう言って、正面からナイフを突きつけた。

「!」

 ―――やはり。

 正面からの攻撃は苦手だということか。

 よけ切れていないし、防げていない。動揺しているばかりだ。

 俺は笑い、ナイフを横に勢いよく引く。

「痛ぁっ!」

 やっとダメージを与えることができた。俺は返り血も気にせず、斬りつける。

「……ちょっ!…やめ!……やめて!」

 何度目かの攻撃を受けた後、歌乾は思い出したように影に潜んだ。

「ちっ。見えねえってね。」

「そ」

 死色の声がする。

「そこでしぃぃぃぃぃいいいいいいいっ!!!!!」

 動けないはずの死色が、体を起こして歌乾が潜んでいるのだろう影に剣を投げた。

『……!』

 影から否応なく出された歌乾。

 俺は彼女の背後をとった。

「―――や……やめ!!」

「ぐっばいべいびー。」

 言って、俺は彼女の首を斬った。

 赤色の血を床に散らせながら、彼女の命も散った。


 すっかり血だらけになってしまった音楽室を、俺らは出た。

 歌乾湖と呼ばれた彼女はもういない。

 死色は動けるようになり、自分がとどめをさせなかったことに不満を漏らしていたが。

 もう死んでいる歌乾に一度剣を突き立てたら気が済んだようだ。

 俺と死色は、しょーやくん探しに移ったのだった。


◇◆◇


 一回怪訝そうな顔をしてから、封磨はこちらへとよってきた。

「座って座って。」

 ベッドの隣に座るように促す。

「座る……のかな?」

「うん。」

 ペタンと座る封磨。

 さっき"Lovers"で治療した場所を触り(手を縛られているので両手で。)診断的なことをする。

「やっぱ、肋骨いってる。」

「うえ!?」

「いやぁ、倒れたときに折れたかなぁってなんとなく思ったんだけど、敵だし放っておいた。」

「酷いかな。非情かな。悲しいかな。」

「内臓やられてるかも。」

「……。」

「まぁ、治すけど。」

 そのまま手をあて、目をつむる。

 カードから距離があるから真面目にやんないと。

「おぉ!おぉぉおぉ!」

 封磨の歓喜の声がきこえたので片目をあけてみる。

 光ってる。

 まるでレイズのようだ。

「……すごいですね。」

「ですね。」

「貴方の技でしょう?」

「カードの技ですよ。僕のじゃありません。」

「貴方がやってるんですから貴方の技ですよ。」

「そうですか………?」

 誰でもできると思うんだけど…。

 使おうとするかしないかの違いだと思う。

 僕みたいに狂気に一回でも走ったら出来ると思う。湖とかなら余裕で出来るんじゃないかな。

「大体なおったと思う……。」

「おぉ!すごいかな!ありがとうかな!しょーやん!」

「いいえ。別に…大丈夫。」

 ちょっとばかし息が上がってるけど。大丈夫大丈夫。

 タロットカード使ったらこうなるから……。

「で、次。」

「……次かな?」

「"The Death"(終焉と闇)―――歌乾封磨を貫く。……"The Devil"(暗然と闇)はサポートを。」

 目を瞑って唱える。

 ほら、カードが遠いいから集中しないと。

「――え…あ。」

「封磨君、仲間にしてくださいね。僕を。」

 黒い尖ったものが封磨を貫く。

 死色に刺された傷より何倍も大きい傷があく。

 周囲に血飛沫がとぶ。

 そして、赤く赤く赤く血の湖が出来る。

 人に穴があいたこーゆーのを風穴っていうのかな?

「―――――しょーや………ん。」

 座っていた封磨は床へぐしゃりと崩れ落ちる。それを見届けたあとに雅さんをみる。

「君が望むのは地位?権力?財産?それとも地球?―――ニセモノ(げんそう)でいいならいくらでもプレゼントしますよ?」

 あくまでも座ったまま、笑顔のままいう。

「…………封磨が……死んでしまいましたよ?……生き返らせることは出来るのでしょうか?」

「無理です。」

「そうですか………。私が欲しいものは君ですかね……。」

「封磨を殺した僕によくいいますね?人情がないんですか?――――"Strength"(愛の続御)……封磨…だったものを燃やしてください。見たくないです。」

 というと、倒れていた封磨が燃える。

 真っ赤な血は真っ赤な炎によって黒く酸化する。

「…………。」

 メラメラと燃える。

 僕が封磨だけを燃やせといったんだから封磨以外は燃えない。

「死って見てみるとかなり簡単なものですよね。雅さん。」

「…そうですね。」

「貴方も死にますか?雅さん。」

「どちらでもいいですよ。」

「………じゃあ、ボスは最後までとっておきますか。」

「ボスじゃありませんよ。私は。……むしろ蜜柑のほうがよっぽどボスらしいです。」

「………。」

 雅さんは放っておいてみようかな。

 すごく疲れたし。

 一眠りでもしよっかな。

「僕、寝ますんでなにかあったら殺すなりなんなりしてください。―――では、おやすみなさい。雅さん。」

 元々寝ていたベッドに横たわり、寝る。

 それでは皆さんおやすみなさい。


◆◇◆


「あれ?蜜柑さんじゃないですか。お久しぶりです。」

 屋上に行くと、樹朽蜜柑がいた。

 この学校は屋上に出れるようにもとからなっていなく、柵もない。

 そこで、樹朽蜜柑は足を宙に投げ出して座っていた。

「あっれー?空じゃん。……なに?空が来るなんてなにごと?」

 体はこちらに向けずいう樹朽蜜柑。

「えっとですねー。現状報告をしますとですね、歌乾湖さんと歌乾封磨君が死にましたね。バランスが崩れまくっていて困りました。この私困ってます。」

 まさか、白陽陰名莉海があそこまでやってのけるとは思ってなかった。

 このままじゃバランスが無くなる。

 いま、観察してたかぎり、白陽陰名莉海、黒闇陽死色のペアと勾柁新汰が近づいていっている。

 勾柁新汰じゃ勝てない。

「ふうん?あたしが助けるとでも思ってるの?」

 ………まぁ予想通りの答えだ。

「…ですよね。蜜柑さんはそういう人ですもんね。」

「うん。じゃーそろそろ逃げ時かなー。もし、助けがいるなら愁っちとかならどうにかしてくれるよ。あの子は強いよー。」

「愁さんは強すぎてバランスがなくなってしまいますからね。逆に。」

「きゃははっ。……もしくは空が自分でいってくれば?」

「そんなこと言わないでくださいよ。私、助けるちからなんてないんですから。」

「さぁ?わかんないよ。――例えば心の奥にある真っ暗とか。見つけてみれば?」

 といって、なにもない場所から黒い刀を取り出す樹朽蜜柑。

「こーいうの持ってる人で常人なんていないよ。空が常人なだけかもしれない。」

「………………。」

「普通っていいじゃんなにもしないですんで。あたしみたいに――いや、あたし以下の人間なんかたくさんいるんだから。空は無理矢理アブノーマルに来てるだけだって。」

「放っといてくださいよ。」

「あたしはいつだって死にたい。だからこんな場所にいるんだ。―――普通でありたかった。それが願いかな。」

「神様じゃありませんし。願いなんか叶えられません。普通の人間のアドバイスなら、普通になればいいじゃないですか。ですね。刀を出さなければ普通の人ですよ。たぶんですが。」

 樹朽蜜柑は振り向いて驚いたような顔をする。

「あたしが普通?きゃははっ。傑作だね。いつでも殺人衝動にかられてるんだからさー。今だって空を殺したくて殺したくてしょうがない。空はそういうのないんでしょ?羨ましいな。」

「―――羨ましい?」

 私が羨ましい?

 そんなの才能がある人間の言葉じゃないか。

 才能がない人間の屑さを知らないのか?

 ゴミのように地をはって、人間に操られ、操り。

 そんな普通の人間の良さなんてない。

「このへんはいつまでたっても終わらない言い合いになっちゃうんだろうね。つまらない言い争いだよ。今更、才能をなくすことなんか出来ないし今更、才能を得ることなんて出来ないんだからさ。」

「………。」

「雅だってなにもできないけど才能を愛してる。空は嫌っている。普通には個性があるね。きゃははっ。雅は生きてるんでしょ?」

「えぇ。抄夜君と寝てます。」

「あー噂の抄夜君が来てるのか……。ヤバイよねあの子。狂気の塊みたい。近づきたくないな。」

「………そうですか。」

「いっそ、今雅達を潰したほうがいいかもしれないよ。危ないからね。あの人たち。」

「それは、願い事ですか?」

「いや、現実だよ。叶う叶わないじゃなくて、なる。」

「………。」

 なんの確信があっていってるんだか知らないけど、樹朽蜜柑は確信を持つようにしていった。

「きゃははっ。寒気がしてきた。逃げるね。あたし。……もう会わないようにする。誰にも。」

「誰にも?」

「誰にも。」

 笑顔で蜜柑はいう。

「あ。そうだ。空。これあげる。」

「え?」

「刀。作戦失敗祝い。」

 カランっと刀がこっちにとんできて、落ちる。

「愁っちが、もうレプリカ作ってるだろうし。きゃはは。あたしいくらでも作れるし。案外、使ったら呪われたりね。空のご所望。」

「はい?」

「じゃあ、good-bye!」

 樹朽蜜柑はそういって飛び降りた。

「………うぇぇ。」

 死んだかもしれないし、なんかを造形(羽とか?)して飛んでいったかもしれないし、案外雅を助けにいったのかもしれない。

 あの人は嘘つきだから何をするかわかんないけど、もう会うことはないと思った。

「――――チッ。」

 舌打ちをして、刀を拾う。

 何でこんなもん造れるんだよ。

 普通刀なんて投げたりしたら刃こぼれするはずなのに、新品のようになにも傷がついていない。

 ムカつくな。

「あーあ。ここまで来ちゃったら海神を持ち上げるのは無理そうですね。樹朽蜜柑のかたを持つわけじゃありませんが、粗蕋抄夜の方につくしかなさそう………。」

 海神をぶち壊す勢いでやっちゃおう。

 スリルさえあればどうでもいい。

 才能がない私にとってはスリルで十分。

「まず……白陽陰名莉海に連絡をとって、勾柁新汰を殺しちゃいましょう。そのあとに――雅もやっちゃいましょう。全滅ハッピーエンドです!ふふふっ!」

 バックからパソコンを取りだし、白陽陰名莉海に電話を掛ける。

 ぶちっと出る音がする。

『……もしもーし。こちら白陽陰名莉海。依頼なら承っておりません、ぐっばいべいびーさようならってね。』

「ふふふっ。なっりぅみくーん!はじめまして!紅咲空です!仲良くしてね!」

 さぁ、私の作戦の始まり始まり。

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