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joker  作者: ねきつ×あまひら。
3/7

2章


 黒闇陽死色。

「しいろ?」

「真っ黒の黒に闇然の闇ってぇ暗然ともかきましたよねぇ!えっとでしね!真っ暗闇の太陽!つまりぃいい!アイドルの死色たんでし!」

「な…………なに殺しちゃってるの?」

「殺してませんよぉ。なっんていうんでしかね?みねうちっていうんでしかぁ?死んでるかもでしけど殺してないでし!」

 死んでるかもしれないけど殺してない?

 死んでるつまり殺したじゃないの?

「脈取るからどいてくれない?」

「やめといたほうがいいでしよぉ?まだ生きてましから。」

「じゃあ殺さないで欲しいかな。」

「どうしてでし?」

 死色は全力でわからないらしく、首を傾げた。

「僕はよくわからないけれど、強いところに狙われているらしいんだよ。………今、僕が手を出したら僕が悪いことになる。つまり、僕がはじめたことになって敵は有利になる。」

「間違っている点がたっっっくさんありましよぉ。我らが黒闇陽より強いところなんてありませんよぉ?ふひひっ!しかもでし!死色ちゃんは手を出してないでし!剣を出したでし!」

「…………。で、死色……さんは何をしにきたの?」

「しーちゃんが来た理由はでしねぇ!助けてほしいんでしよねぇ?助けましかぁ?たすっけましかぁ?助けちゃいましかぁ?ふひひっ」

 死色に助けを求める……?

 悪くない案かもしれないけど、死色を味方にするのは危険なような気がする

 一番危険なのは有力な敵より無能な仲間というように、僕では死色を扱えるとは思えない。

 狂っている。

 こういうのを狂戦士というのかな。………でも、仲間はいたほうがいいのかな。

 捨て駒として。

「た……………っ。たす……。」

 言いたくない。

 こんな幼女に助けて何て言えない。

「なんでしかぁ?ほぉぉおれ!言ってみるでし!」

 ……………。

 よし。決めた。

 僕は全てを捨てる。

「助けてくだしぃ!」

 何かをなくした気がした。

「いいでしよぉ!しーちゃんはみんなのアイドルでしからね!それにでしぃ名莉海君が学校に行っちゃっててしーちゃんは暇なんでし!」

「うん…………。」

 暫く、テンション低くなると思う。

 っていうか。

「死色さん。どいてくれない?」

「うぇぇええ!?どくんでしかぁ!?本当にいいんでしかぁ!?」

「うん。動けないと思うし。」

「いいでしけど。」

 おや、意外とあっさり。

「しかぁぁあし!条件があるのでし!ないでし!梨でし!てへえ!」

 …………。

 死色はジャンプして地面におりる。

 僕は死色に刺された倒れてる人に近づき、脈をとる。

「うわぁ………瀕死だ。」

 脈はほとんどないけど心臓は動いてるみたいな。

 タロットカードでなんとかなるかな。

 死んでなきゃどうにかなるけど、元気になられたらなられたでこっちが殺されかけ…死色が刺し、瀕死になって、僕が助けて、殺しにきて、死色が刺し、瀕死になって、僕が助けて……。

 あの、恐ろしい無限ループに陥りかねない。

 どうしよう。

「…………。」

 倒れてる人のポケットを漁ってみる。

 ケータイが入ってます。

 新着メール239通。

 不在着信473通。

 以上。

「……………。」

 ふむぅ。

 海神中学の人かな…。

 今の時間的に朝学活始まってると思うんだけど。

「あ。ケータイパクって逃げればいいのか。」

 逃げれば殺されないし、刺されない。(刺さない。)

 ケータイをパクる理由は明確。

 連絡をとるため。

「死色……一応回復させたら逃げるから。」

「逃げるぅぅ?まず、回復なんてしないでしよ。」

「する。大丈夫。」

「大丈夫じゃぁぁああないでし!回復しちゃったらしーちゃんの顔面がほぉおかいするじゃないでしかぁぁああ!」

「顔面崩壊…?」

 顔が潰れるってやつかな。

「大丈夫大丈夫。死色のキャリアはこんなんじゃ崩れないから。」

「キャリアってなんでし?キャビアでしかぁ?」

「…………。」

 回復させよう。

 死んじゃうよこの人。

 "The Hierophant"(援助)を使うべきだろうけど……場合が場合だし"Lovers"(調和)かな……。

 いざというときは裏を使えばいいし。

 どれぐらいたまってるんだか知らないけど。

 使ったらどうなるかわかんないから使ってないんだけど。

「…………。」

 "Lovers"を握り(カードだから握れてないけど。)祈る。

「痛みを吸収して―――Lovers」

 "Lovers"は光を放つ。

 すると、刺し傷が治っていく。

「はぁ――はぁ。逃げるよ。死色。」

 九割は直ったし。

 帰ってくださいお願いします。

 僕は死色の手を握って走り出した。


◆◇◆


「あれが……"Lovers"ですか。」

 双眼鏡を片手に持ちながら呟く。

 ―――本当に美しい。

 海神中学のやつらが欲しがる理由もわからないでもない。

 海神が狙ってることに気づいて、滅茶苦茶にしようと思って両方に情報を流してよかった。

 絶対に楽しくなる。

 黒闇陽死色。

 殺し屋。

 色殺(カラードキル)の頂点にたつ黒闇陽のアイドル(自称)黒闇陽死色。

 粗蕋抄夜が良い物を見つけた―――。

 噂にはきいていたが、この町にいたとは…。

 黒闇陽死色がどう動くか。

 どう壊してくれるか。

「しかし、私が操れないのは少々むかつきますね。粗蕋抄夜にアポでもとって黒闇陽死色の情報でもかき集めますか。」

 さっき黒地茗に連絡を取ったばかりだから、連絡をするわけにはいかない。

 あいつはあいつで話には絡んでこないが、腹黒い。

 忙しいだろうし。

 自分でやれることはやらなければ。

 頼ってばっかりじゃあ……人はダメになる。

「黒地茗といえば。」

 日本子供倶楽部の諸行雫を思い出すな。

 諸行雫とはあったことがないけど、そこの幽霊とは何度か話した。

 全てが見える目。

 諸行雫。

 私も欲しい。

 そんな力が。

 なにも出来ないから私は。

「………。」

 諸行雫やらが海神のリーダーにに狙われない理由はバックに政府がついていると言うのと、諸行雫自体が海神に通っているからいつでも手に入れれるというのもあるだろう。

 それに、諸行雫は海神のリーダー(みやび)の好みじゃない。

 もっと真っ暗で。

 そう―――粗蕋抄夜のような。

 大好き抄夜君。

 私が思うように雅もそう思ってるに違いない。

 速馬早斗を思い出す―――とか言っていたが速馬早斗なんかよりもっとどす黒く、誰よりも闇を持っているに違いない。

 私もあれぐらい闇ってたらカード遣いになれていたのだろうか?

 いや、その辺は才能か。

「そろそろ雅に情報を流しますか。」

 時間的にそろそろだろう。

 双眼鏡を持っていない方の手でパソコンを操作する。

 ヘッドホンは片耳に。

 パソコンで電話をかける。

「もしもし。紅咲空です。雅ですか?」


◇◆◇


 死色の手を握りながら走ったときに気づいたんだけど、死色は大剣じみたナイフを持っているわけで、人前にいけない。

 早速、捨てようかと思ったけど(死色を。)、こんなところで捨てたら僕が殺されかねない……。

 うぅ。

 早速つんだ。

「そぉいえば、おにいさんの名前きいてないでし。」

「僕?抄夜。」

「しょぉや?抄夜君でしねぇ。忘れてなかったら抄夜君って呼びましね!それにしてもでしよ!あれはなんでしか!?しーちゃんの顔面はもうないでしよ!」

「タロットカードだよ。」

「たろっとぉ?」

「魔法みたいなもの。っていうか回復とかしてないから大丈夫だよ。死色の顔面は崩壊してないよ。」

「むにゅぅ?」

「"Lovers"のカードは回復じゃなくて痛みを吸いとるだけっていうか。ダメージ自体はあんまり回復してないっていうか。痛くないだけ?無痛症みたいな……。」

 それで"Lovers"の裏を使えばいままで吸いとってきた痛みをぶちまけられる。

 "Not Lovers"がどれだけためているか……。

 出来れば使いたくないんだけど。

「よくわからないでしねぇ。しーちゃん難しい話はしたくないでし。」

「自分からきいてきたんじゃ………。」

「なんのことでし?」

「………。」

「とりあえずしーたんは戦えればいいんでし!ふひひっ!」

「……………。」

 なにもいうまい。

 助けを求めたのは間違えなく間違いだった。

 僕はめんどくさいから戦いにはしたくなかった。けど、死色は戦いたいとかいってる。

 利害一致していない。

 一緒にいる意味などない。

「―――だけどなぁ。」

「どぉっしたんでっしかぁ?」

「いや、死色ちゃん可愛いなぁって思ってただけだよ。」

「きゃう!?なななななななな!誉めたってなにもでないでしよぉ!?死色ちゃんを誉めていいのは名莉海君だけでしぃぃいい!」

 狂った。

 照れてる照れてる。

「ところで死色。」

「はひ?」

「何時までてつだってくれるの?」

「えっとでしねぇ。名莉海君の学校が終わるまででしからぁ、あれえ?何時まででし?」

「5時ぐらいまでかな。」

「でもでし。でもでもでもでもでもでもでもでもでし。名莉海君だったらイクラ丼でも。ふひひひっ!いくらでも手伝ってくれるとおもいましよぉ?ふひひっ。」

「普通の人巻き込むのはな………。」

 危ないっていうか。

 めんどくさいというか。

「ふつうぅ?名莉海君がでしかぁ?ふひひひひひ。何いってるんでしかぁ?名莉海君は殺し屋さんでしよ!」

 しーちゃんと同じでし!

 と死色は言った。

「ん?」

 殺し屋?

 隣のクラスの殺し屋さん?

「……し………死色は殺し屋なの?」

「黒闇陽殺戮衆のアイドルでし!」

「じゃっ。これで僕は……。」

 むしろこっちから逃げた方がいいと思う。

 まったくもってしらないけど殺戮衆ってやばいだろ。

 看板が立ってたような立ってなかったような。

「まぁぁああああつでし!殺し屋差別でしか!?キャベツでしか!?」

「キャベツ……?」

「サービスでやっっってるんでし!ほめてくだしい!」

「ありがとう?」

「お手伝いに来てるんでしよ!?しっかっもサービスでし!官舎でいっぱいになるべきでし!」

「……感謝。」

 なんで公務員用の住宅でいっぱいにならなきゃいけないんだよ。

「閑話休題、太陽がくれるまえに出来ることは早めにやっておかないといけないから。」

 ケータイを二つ鞄からだす。

 一つは僕の。

 もうひとつはパクったやつ。

 パクったやつは電源を一応きってある。(調べられないように。)

 まあ、超能力とかで探されたら終わりなんだけどさ。

「なにするんでしかぁ?しーちゃんの電話番号は教えないでしよぉ?」

「うん。」

 今日限りの仲だ。

 もう会わないよ。

「ケータイ光ってましよ。」

「あれ、本当だ。」

 僕のケータイが光ってる。

 メールかな。

「しーちゃんが出るでし!」

 と死色が言ったときには僕のケータイは死色の手元にあった。

 死色がケータイを開き(剣は脇にはさんである。てきとうだな。)電話マークを押す。

「電話……?」

 だれから?

「しーちゃんでし!黒闇陽のアイドルしーちゃんでし!しーちゃんでし!しーちゃんでし!」

「…………。」

「はへえ?かわれぇ?かわるってなんでしか?変身でしか?粗蕋抄夜ぁ?誰でしかそれ。」

「いや、僕だよ。」

 電話の相手が可哀想過ぎる。

「しらにゃいでしねぇ。しょーや?隣にい……あぁぁぁああああ!抄夜君!しょーや君!いるでし!横にいるでし!……だからかわるってなんでしかぁぁああ!変身でしか!?変換でしか!?変態でしかぁ!?」

 訳がわからない。

 もう意味不明の域に達してる。

「この人めんどくさいです!」

 僕らの後ろに仁王立ちしてツインテールを揺らして立っているのは紅咲空。

 片手にパソコン。

 片手にケータイ。

 大きなバッグ。

「抄夜さん!すみません!私のミスです!結構な勢いでミスをおかしてしまいました!今なら抄夜さんに犯されてもかまいません!許してください!」


◆◆◆


 雅はケータイを片手にチェスのルークを玩んでいた。

「ふふふ………真っ直ぐにしか進めないのが帰ってきましたね…………お帰り。封磨。」

「ただいまかな。雅さん。」

「黒闇陽の娘さんに刺されちゃいましたか。それにタロットカードで痛みをとってもらって羨ましいかぎりですねぇ。」

「羨ましいってちょっとばかし酷いかな………。痛みだけとる酷い目のカードかな。あれ。」

 封磨は微笑する。

「真っ直ぐ前しかみないから刺されるんですよ。後ろしか見ていない人を見習ってください。」

「やだなそれ。」

(うみ)だってその代表みたいなものでしょう?」

「湖はもう行っちゃったのかな?」

「ふふ……寂しいのですか?妹が行ってしまって。」

「………。」

 封磨は頬を膨らませ、目線をそらす。

「湖はチェスでいうとビショップですからねぇ。真っ直ぐに物を見ることが出来ない。……そういうところがすばらしいです。」

「曲がってることばっかり言っていたら悪役と間違えられるかな。注意したほうがいいと思うかな。」

「そうですね…。でもこういうキャラですからねぇ。」

「ま……ぼくらが語り部になったとしても悪役には違いないかな。」

「おかしいですね。正義の殺し屋だっているのに人を殺してない私たちが悪役なんて。」

「そうかな。不条理な世界だからね。」

「ふふ。まぁどちらにせよ、空さんがミスをしてくれたおかげで随分と楽にできそうです。」

「紅咲空のことだから粗蕋抄夜のほうにフォローいれてるとぼくはおもうかな。」

「今さらですよ。そんなのは。」


◇◆◇


「今すぐに影があまり出来ないところに移動してください!そうですね……商店街のど真ん中とかはいかがでしょう?とにかく逃げてください!」

「ちょっと待ってよ。死色が一般人の前に出たら…。」

「はい?」

 空は本当にわからないように首を傾げる。

「何を今更人目なんか気にしてるんですか?抄夜さん?」

「今更……?」

「諦めてはいかがです?そういうのは。」

「よく意味がわからないんだけど……。」

 諦める?

 逃げることを………?

 違う。文脈がおかしい。

 人目を気にするのを諦める……?

 どうして?

「とにかく、逃げないとやばいんですって!明るみにでないとビショップが……!」

 ビショップ?

 紅咲が必死にやってる辺りはやばいんだろうけど。

 敵か?

 敵なの?

『兎に角……あたしわぁビショップ。……違うよ?あたしの名前わぁ湖。』

 闇の中から声がきこえてきた。

 まだそとはすごく明るいのに、暗いどこかからきこえてくる声。

「…………チッ。」

『………粗蕋抄夜っていうのわぁどこにいるのかな?』

「まず、湖がどこにいるか教えてほしいですね。そうしたら粗蕋抄夜の場所を教えないこともない………です。」

『……なにいってる…の?…兎に角……空たんわぁ仲介人でしょ………?なに……でしゃばってるの?』

「私がミスしたんです。だから、貴方が出てきちゃ抄夜さんが不利になりすぎるからこっちにいるんです。」

『わぁかんない。』

 と、どこかの湖と名乗ってる人がいった所で死色が動いた。

「みぃぃいいつけたぁぁああでしぃぃいいい!!」

 死色はそこらにあった影に狙いを定め、剣を構えて影を刺した。

 影をさした。

『え?」

 見えなかったはずの湖の姿が見えた。

 黒いボブカットの髪。

 白い布で包んである長い棒を抱えている。

 そして、服が破け右肩に傷。

「わぁけわぁかんない………。なんでみえないのにさせるの………兎に角、君わぁ強いんだね。」

「ふひひっそぉぉおおでし!しーちゃんは強いんでしよ!」

「…………じゃあ君わぁ粗蕋抄夜じゃないんだね…。」

 ゆらりと湖の体が揺れる。

「わからないですよ。抄夜のしょーちゃんがしーちゃんってきこえるだけかも知れませんよ。」

「あたしわぁ………そんなに…バカじゃないもん。……兎に角、抄夜って名前が女の子なわぁけないでしょ……。…………ってことわぁ君だ。」

 湖と目があう。

 目が合ってしまった。

 にやぁと嗤う不気味な湖を。

「あたしたちの―――仲間。粗蕋抄夜。」

「な――仲間って……。」

「あれ?……仲間じゃ……ないの?不思議だな……同じなのに。……あたしと同じなのに。」

 湖が最後に発した一言には憤怒の気持ちが確かにあった。

 湖は白い布を取り払う。

「………フルート?」

「よく……知ってるね。」

「全然知らないけど……。」

 ゆらりとまた湖が揺れる。

 タロットを出すべきか……出さないべきか……。

「そおいえば……あたしのおにいちゃんを刺したのわぁ………だれ?」

 おにいちゃん?

 刺したのは、一人しかいないからあの人がおにいちゃんか。

 言われてみれば顔つきが似てないこともない。

「しーちゃんのことでしかぁ?ふひひ――ひひひひひっ!なにか悪いことしたでしかぁ?しーちゃんは!」

「………君か。………おにいちゃんを刺したのわぁ君……。あとで殺すから………待っててね。」

「あとででしかぁ?そぉおおいうのは苦手なんでしよねぇ?いますぐっがいいでしかねぇ。」

「今わぁ……無理。任務中だから……。………………後、空たんわぁ逃げた方がいいと思うよ……。」

 紅咲はその台詞をきいたとたん、後ろに振り向き走り出した。

「さっすが……空たんだね………弱い弱い。弱い弱い弱い弱い弱い弱……い。」

「弱いってだれにいってるんでしかねぇ……?」

「………皆。」

「それはまさかでしが、しーちゃんもでしか?」

「勿論。」

 湖はフルートをかまえた。

 たぶんそれは湖の戦闘姿勢なのだろう。

「『終わりの(バッドエンドソング)』。」

 湖はフルートを吹いた。

「……あぁぁぁ……。」

 地から響くような絶望的な曲。

 上からずっしりと物が乗っているなような感覚。

 立ってられない……!

 ガクンと膝から崩れ落ちる。

「ふふふふ――ふひひっ!ふひひひひ――ひひひひひ!」

 死色は立っていた。

 それも楽しそうに。

 僕はそのときはじめて死色を頼れるかもって思った。

 狂ってるけど。

「……。」

 横目で死色をみていた湖はフルートを吹くのをやめた。

「…………ほんとおに……強いんだね……『終わりの歌』でたおれないなんて……。屋外だからちょっと弱いのかな?……君、名前わぁ?」

「黒闇陽殺戮衆のアイドルのしーちゃんでし!黒闇陽死色でしぃ!」

「黒闇陽………そっか……。あたしわぁ歌乾湖(うたがわうみ)……。でも……これでひとまずさよなら……。」

 再び、フルートを吹きはじめる。

 曲名は言わずに。

 滑らかで優しい曲―――。

 違う。そんな曲じゃない。

 たぶん、元はいい曲なんだろうけど、湖が吹くことで破滅の歌と化す。

 んだと思う。

「あ……れ………。」

 意識が朦朧とする。

 目の前はかすれてきて、見えなくなる。

「瞑想曲『傀儡(ドール)』。抄夜たんは……私のお人形。」

 湖がそういったような気がした。

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