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第12話 個人戦開幕

八月下旬、真夏の暑さがピークを迎える今日この頃、遂に夏の大会が幕を開けた。


「この大会は個人戦と団体戦に分かれている。今日明日で個人戦を行い、来週の土日で団体戦が行われる」


IDは体力の消耗が激しいため、個人戦と団体戦の間に一週間のクールタイムが設けられている。

これがあるおかげで、選手は全力を出せるわけだ。


「とりあえず荷物を置こう。出来れば涼しいところを取りたいな」


場所取りは各自ご自由にという方針になっている。

他校の人の試合は、中央モニター付近に設置されている観戦席から見れるため、アナウンスが届く範囲ならどこに場所取りしても良さそうだ。

出来れば無駄な体力消耗を防ぐため、涼しい場所がいい。


「こことかどうですかー!」


少し先の方を歩いていた蒼空が、いい場所を見つけたようだ。


「涼しくて広くて良さそうだ。ここにしよう」


持参したブルーシートを引き、その上に荷物を置く。

開会式まではまだ2~30分ほど時間があるため、始まる前に会場の下見に行くことにした。


「……今日も目立ってんなぁ」


飛翔達の視線の先には、例の厨二病少女 白姫の姿があった。

相変わらず改造されたIDユニフォームは、周りとは明らかに異質である。


「あ、あんた達久しぶりじゃない!元気にしてたかしら?」


やばい!ヤバいやつに絡まれた!

周りの視線が痛すぎる!


「あ!しろちゃん!」


誰もが引き気味の中、蒼空だけは違った。

まるで久々に友人と再開したかのようなテンションで白姫に近づく。


「しろちゃん言うな!もう!」


怒ったような態度を示すが、話しかけられた喜びが顔にしっかり出ている。

そんな白姫の後に続いて、廣池高校のメンバーが現れた。


「ごめんね、うちの茉優(まゆ)が……」


「ちょ!本名で呼ばないでよ!」


「へぇ、本当はまゆちゃんって言うんですね!」


「まゆちゃんいー!うー!なー!」


暴れる茉優は、廣池高校のメンバーに引っ張られ人混みへと消えていった。

それにしても蒼空は白姫キラーでもついてるのだろうか。

悪気のない一言が、白姫に対してあまりにも強すぎる。


そんなこんなで時間は過ぎ、開会式を終えた飛翔達は観客席に移動し、試合を観戦することにした。


「団体戦の相手である玉響高校の試合は……」


ただ観戦を楽しむためにここに来たわけじゃない。

団体戦の相手である玉響高校のデータを収集するためであった。


『それでは第一試合場の第一試合を開始します』


アナウンスと同時に、試合開始のホイッスルが鳴る。

今ここに、夏の大会が幕を開けた。



時刻は正午過ぎ。

青藍高校の陣地は、重苦しい空気が漂っていた。


「私の初陣が……」


「まさか去年よりも早く負けるなんて……」


ズーン。

ふたりが落ち込むのも無理は無い。


「まぁ蒼空に関してはいいことなんじゃないか?方法はどうあれ、二回戦に進めたんだから……」


「良くないです!まさか初めての大会が、不戦勝だなんて……」


そう、なんと蒼空の初陣は不戦勝というあっけない形で終わってしまったのだ。

彼女にとっては、勝つよりも初戦を楽しみにしてた気持ちが強かったようでかなり落ち込んでいる。

だが、それより負のオーラを放っている者が……


「気をあまり落とすなって愛果。不利対面だったんだ、しょうがない」


「……でも初戦負け…………」


「相手は三年の先輩だ。最後の夏に、価値を譲ってやったと思えばいい」


愛果の頭をそっと撫で慰める。

と、撫でている途中で「女の子の髪ってあんま触んない方がいいよな」ということに気づき急いで手を離そうとする。

だが愛果はその手を掴み、頭の上に戻した。


「…………もっと撫でて」


手を離したのが不満だったのか、若干不機嫌になる愛果。

飛翔は言われるがまま撫で続けるしか無かった。


「ご飯を食べたら、早速蒼空の試合だ。さっき戦えなかった分、思いっきり戦ってこい!」


「はい!……でも相手の選手、強いんですよね?」


「そりゃまあシード権者だし、何より結衣を倒してるからな」


「そうよ、この私を倒してるのよ!」


ドンッ!と胸を張る結衣。

ある程度どやったあと、結衣は蒼空にアドバイスをする。


「綺羅は基本的にコアを狙ってくるわ。でも気をつけて、コアだけじゃないから」


「コアだけじゃ、ない……?」


そう、結衣が去年一点差で負けた理由。

それはポインターに触れた数の差であった。

綺羅は結衣が拠点を破壊するより早く攻撃を仕掛けてきた。

しかも交戦する前に既にポインターに触れていたのだ。

結衣と綺羅はほぼ互角の戦いを見せたが、結局その一点が勝負の決め手となってしまった。


「拠点で待ってるだけじゃ勝てないわ。あなたから仕掛けるぐらいの気持ちで行きなさい」


「は、はい!」


実際に綺羅とやり合った結衣の言葉は、一言一言に重みがある。

蒼空は気合を入れるかのように頬を叩き、試合上に向けて歩き出した。


蒼空 対 綺羅の戦いが、ついに始まる。


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