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第11話 直前準備

「それじゃあお前ら!大会頑張れよ!」


「勝田先輩、ありがとうございました!」


「「「ありがとうございました!」」」


大学へと帰る勝田先輩を見送るため、ID部のみんなは船乗り場に集まっていた。

最初は長く感じた夏合宿も、終わってしまえば短かったように感じる。

この一週間で、青藍高校ID部は凄まじい成長を遂げた。

それは言わずとも勝田先輩のおかげである。


「また来年会おう!次は最後の夏だ、練習は今年の比じゃないぞ!」


笑顔でお別れムードが、一気に崩れる。

けどその青ざめた顔も、すぐに笑いに変わった。


「それではお元気で!また来年!」


勝田先輩を乗せた船が見えなくなるまで、四人は海を眺めていた。

夏合宿の終わりは、同時に最終調整の時期に突入したことを意味している。


「さぁ、帰って作戦会議だ!ラストスパート頑張るぞ!」


「「「おおー!」」」


ラストスパートに向けて、気合を入れるのだった。



部室に帰還したID部の四人は、オーダー決めの時同様テーブルを囲い話し合いをしていた。


「まずは個人戦からだ」


飛翔がまとめてきた対戦相手のデータを公開する。

トーナメント表順に行くと、最初の試合は蒼空のようだ。


「蒼空の初戦の相手なんだが、探しても見つからなかった。一年生らしいから、多分初めての大会なんだと思う」


「初心者対決……ってことですね!」


蒼空の言う通り、このマッチアップは初心者対決である。

お互いに手の内が分からないため、本番での対応力が試されるのだ。


「そして二回戦は……オーダー発表の時に話したしいいかな?」


それに、混乱を避けるため一回戦目を無事終えてから話した方が良さそうだ。


「次に愛果。愛果の初戦の相手は、六波高校三年の荒木って奴だ。使用武器は小手、戦闘スタイルはポインターとコアの両方を狙う戦術を得意とする」


「パワータイプかぁ……苦手なんだよね……」


「かなり不利だと思う。それと、小手と聞いて気になったから調べたんだが……荒木はどうもテコンドー経験者らしい」


こういうID以外の情報も、勝負の鍵を握っていたりする。

例えば「高所恐怖症」なら、高いところは行かないだろうと割り切れるし、「心配性」なら、先にポイントを取るだけで相手が勝手に慌ててくれるだろう。

そういう心理的な所までとことん突き詰める、それがコマンダーというものである。


「もし厳しい戦いが要求されるのであれば、いっその事拠点を狙うというのもひとつの手だ。頭の片隅にでも入れて置いてくれ」


「らじゃー!」


「そして最後は結衣なんだが……」


ただ結衣に関してはシード権者のため、初戦の相手が当日まで分からないのだ。

一応当たる可能性がある二人両方とも調べたが、結衣なら問題なさそうだったため割愛することにした。


「そして問題の団体戦だな」


玉響高校のオーダー表を取りだし、自分たちのものと見比べる。

やはり相手校は五人揃っており、始まる前から0―2が確定していた。


「読み通り、先鋒は突撃タイプだ。落ち着いて対処しよう」


先鋒は当て勝ちが成功した。

使用武器も片手剣と、交戦に出やすい武器のため蒼空の力が十分に生きそうだ。


「中堅は……愛果と同じポインタータイプだ。ポインターの場所次第では、また拠点を破壊しに行くことになるかもしれないな……」


ポインターの点灯位置が悪ければ、点数勝負で不利になる。

それに、もし相手が下振れてこちらの拠点を狙ってきた時、対処しにくい場所にポインターがあると、拠点を破壊された後に相手の拠点を破壊しても手遅れになる可能性が高い。


「当日の運次第ってところだ」


「任せて、それ承知の上でこの武器を選んでるから」


過去にもこのような試合は何度かあった。

だが、愛果が一度も不満を吐いたことは無い。

ちゃんと自分の戦術と向き合っている証拠だ。


「そして結衣、相手はポインターと拠点破壊型だ」


「てことは長距離武器なのね」


「そうだ。拠点まで行かせずに、中央で交戦しコアを叩いて点を稼ぐ方法もあるが……どうする?」


「その子の対戦履歴は?」


「過去の団体戦、ほとんど大将で出てる。戦績は4―1……大将向きのコア攻撃タイプに慣れてないとこの戦績は出せないと思う」


「そうね……でも同時に、コア狙わずに拠点破壊しに行ってもポイント差で負けちゃうわよね」


「……多分な。とにかく今できることは、拠点までの移動時間を突き詰めることだ。拠点までの移動時間が早まれば、序盤ポイントを稼ぎに時間を割ける」


「まぁそれもそうね。往復するより、先に稼げるだけ稼いだ方がいいものね」


その通りだ。

拠点まで言ってたから自分の陣地に戻ってくるのは二倍の労力と時間を消耗する。

拠点まで行くにかかる時間をできるだけ減らすことで、序盤にリードを取れるのだ。


「とりあえず今まで通り体力をつけろってことよね。頑張るわ」


「俺もできるだけサポートはするつもりだ。何かあったらすぐ教えてくれ、もちろん蒼空と愛果もな」


コマンダーはプレイヤーのように自ら手を下すことはできない。

焦れったいが、サポートしかできないのだ。

逆に言えばサポートはいくらでも出来る。

彼女たちを最高の状態で試合に送り届けるのが、飛翔の仕事だ。


「それじゃあ残り一週間、気合を入れていこう!」


「「「おおー!」」」


──夏の大会、個人戦まで残り7日。


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