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〈王都動乱篇〉第8話 魔竜リンドブルム


遥か昔、混沌(カオス)が広がる空間には、虚無が存在し、漆黒の闇が広がっていた。


闇の中に〈一つの意思〉が生まれ、永い年月を経て高次元生命へと進化して行った。


それが、原初にして最初の神…である。


原初の神…唯一神は、〈混沌(カオス)〉が広がる空間に〈秩序(コスモ)〉を(もたら)し、世界を創造していった。その過程で、神々や竜の様な高次元生命体をも創り出していった。


その時、創られた高次元生命体は、至高の7大神、8大精霊王、4体の竜王、そして、始まりの人種(亜人種)…達である。


これらの高次元生命体が、唯一神に与えられし至高の力を使い、世界を創造した時代を〈創世期〉と呼んだ。


創世期、あらゆる次元世界や生命が創造された。


生命が溢れ、世界が脈動を始めた頃、期せずして大きな争いが起こった。


高次元生命体の各種族…神々と古竜種の間で起こった争いは、数千万年の永きに渡り続き、互いの種としての存在を賭けた戦いへと発展していったのである。


その余りにも苛烈な争いは、彼等が創り出した世界を破壊し続けた…

しかし、その行為は、唯一神の逆鱗に触れてしまい、争っていた両種族共に封印されてしまったのである。


神々は、超高次元空間に幽閉され、他次元への干渉を禁じられ、古竜種もその強大な力を封印され、最果ての地に追いやられたのである。




北の霊峰に棲む、魔竜リンドブルム…

創世期から存在している〈古竜種〉であり、4体の竜王の一角である。


数年前、魔竜の逆鱗に触れ帝国の領土の半分が焦土と化した事がある。

帝国はその脅威を目の当たりにし、その後魔竜に手を出す事なく静観を守っている。


奇しくも今、その魔竜が目の前に顕現(けんげん)したのである。

唯一神に力を封印されたとは言え、

発せられる霊気は、尋常では無かった。


霊気に当てられた者達は次々に倒れ、辛うじて気を失わなかった者が何人かいるが、立つ事は出来ず、(はい)(つくば)っていた。


その中でただ一人、ゼロだけは、霊気を受けても平然と立っていた。


(…凄い霊気だな、あの〈傲慢(ごうまん)なる者〉と言われる神にも匹敵する、いや霊気だけならそれ以上かも知れないな。)


かつて、仮想現実の世界で闘った〈白き神〉の事を思い出した。

先生(リューヴェルド)が、異界から連れて来た本物の神だったが、


(あの時は…力抜いてくれてたみたいだけどね。)


感覚を研ぎ澄まし、動向を探ろうとしているが、上手いかない…目の前にいる巨大な黒き竜(リンドブルム)からは、感情が読み取れなかった。


(無理か…さて、どうしたものかなぁ…)


⦅いと小さき者よ、(なんじ)は何者であるか?()く答えよ。⦆


突然、黒き竜(リンドブルム)から強烈な思念の(こえ)が頭に響いた。


(えぇっ?!ド、ドラゴンなのに喋れるの?)


俺は、かなり驚嘆していた。

映画やアニメの世界で喋るドラゴンは見た事があったが、実際目の前で見るのでは、訳が違う。


俺の動揺に気付いた黒き竜(リンドブルム)が、


⦅ふむ…驚く必要はない、我は太古の昔より存在している〈古竜種(エンシェントドラゴン)である…

唯一神により創られし我等は、気が遠くなるほどの永き時を生きて来たのだ…その辺りの竜種共とは、種としての〈格〉が違うのだ。〉


丁寧に説明してくれた。


(…意外と話が分かる?…まぁ、今の処敵愾心が無かったのは分かってたけど…)


先程まで闘っていたドラゴン達は、知性が低く、感情的に行動していた…だから、思考が読みやすかった。

それに比べて知性の高い彼等〈古竜種〉などは、難しいのかも知れない。


⦅返答はどうした?いと小さき者よ。⦆


「貴方がこの霊峰の長、〈魔竜(リンドブルム)〉ですか?」


⦅…そうであったな、先に名乗るのが礼儀であった。

久しく誰とも話しておらんかったので忘れておったわ。

その〈魔竜(リンドブルム)〉という呼称は、汝らが勝手に付けた名である、我が唯一神から賜った名は…

黒き竜王(リュードブルム)】である。⦆


名を名乗っただけで強烈な霊気が、吹き付けて来る。


「俺は、ゼロ。何者かと言われれば…

異世界からこの世界に〈転生〉して来た者です。」


⦅ほう、汝は多元世界からの【転生者】であったか…

それにしても、此れは珍しい…

普通1つの世界の中で〈輪廻転生〉は行われる筈なのだが、稀に汝の様な者が現れる事もあると聞いておる。⦆


黒き竜王(リュードブルム)】は、思考を巡らせている様だった。

〈輪廻の輪〉で管理者をしていた〈先生(リューヴェルド)〉も異例中の異例だと言っていたし…


「…まぁ、色々あって、この世界に〈転生〉しちゃったんだけどねぇ。」


俺は軽く答えた。

此処で深く説明する必要も無い。


⦅…【転生者】で有れば、汝の力も理解出来ぬ訳では無い…我の眷属(けんぞく)容易(たやす)く倒し、我が霊気を受けても平然としておる理由も頷ける。だが…⦆


「だが?」


⦅汝が、その身の内に持つ〈魂の力〉は、何処か懐かしく、我に畏怖を(もたら)す…のだ。

遥か昔、永劫とも思える時の彼方に置いて来た記憶…のなかにある…たが、思い出せん。⦆


(…もしかして、また先生絡みかも知れないなぁ。)


こんな時は、いつも出しゃばって来るのに今回は全く音沙汰が無い、完全に沈黙している。


「えっとぉ…、もしかして俺、昔何かやらかしてます?」


俺を見て訝しむ【黒き竜王(リュードブルム)】。


⦅…どう言う意味だ?汝も記憶が無いと…?

まだ生まれ出でて間も無い様だが…⦆


「実は、俺の中には、もう一つの魂と言うか…元は一つの魂なんですけど、〈転生〉した時に融合しちゃいまして…」


⦅魂を融合した?だと…ふむ、汝は実に面白いな。

古来より魂は分離する事も、ましてや融合する事など出来る筈が無いのだがな。⦆


「あれぇ?そうなんだ…おかしいなぁ、そう聞いてたんだけどなぁ…」


俺の頭に?マークが沢山浮かんでいるのを見て、


⦅まぁ、良い。汝の素性は、大体理解した。

それでは、我が此処へ来た用件を話すとしよう。⦆


黒き竜王(リュードブルム)】が話し出す前に、こちらから謝罪した。


「訳もなく霊峰に踏み入り、眷属を傷付けた事なら謝ります…人の世の理なんて貴方達には関係ないだろうし…」


出来れば【黒き竜王(リュードブルム)】と戦う事は避けたかった。

勝ち敗けは抜きにしても、

戦いによるその被害は計り知れない…だろう。


⦅…それには及ばぬ、この地に立入を禁じた事も無い…それに、我が眷属達は、汝の気配に怯え勝手に争いに行き倒されただけの事…⦆


黒き竜王(リュードブルム)】が来た理由が分からなくなった…てっきり報復に来たと思っていたからだ。


「…じゃあ、何故此処に?」


⦅一つは、汝への興味だが、永劫の時を生きて来た我の知識や知恵でも解らぬ存在…汝は実に興味深い。

それともう一つは、匂いだ…⦆


「匂い?」


⦅あぁ、数年前にも一度此れと同じ匂いを嗅いだ…あの時は我を忘れ、人の世界に干渉してしまってな。

多大なる迷惑を掛けてしまった…⦆


(…帝国を焦土に変えた時か。)


「その匂いって、どんな…?」


⦅…あれは、我等〈古竜種〉が、最も忌み嫌う者達に似た匂いだ…

かつて、我等と永きに渡り争い続けた者達…あの忌まわしき神々に似た匂いが、またこの山に入り込んだ様でな…⦆


「神々?!に似た匂い…」


⦅…数年前同じ匂いを持つ者達が、我に戦いを挑みに来た…神に洗脳された人間、自我を無くしてしまった者達だ。今も近くに数体いる様だ…ほれ、其処でも一人踠いておる。⦆


そちらを振り返ってみると倒れている司祭服の男が、目を血走らせながら泡を吹き、ジタバタしていた。


⦅あれが、洗脳された〈神の使徒〉と呼ばれる者達だ、

今も数名、我の霊気が及ばぬ場所から狙っておる様だ。⦆


(…洗脳?…この司祭の状態と同じものをこれまで何回か見た記憶がある、果ての山脈では、騎士長の二人…それよりも前は確か、俺が始めて王都に来た時の審問官の司祭だった…)


「しかし、何の為に…洗脳なんて、何の意味が?」


⦅その真意の程は知れん、奴等の目的など分かろう筈も無い…からな。ただ言える事は…間違いなく、我は奴等の敵だと言う事だ。⦆


「…」


(…これまで、俺の周りでも同じ事が起こっているし、

多分、無関係では無いんだろうね。)


⦅そこで、汝に頼みが有って此処へ出向いて来たのだ。⦆


「…何を言いたいか解りましたよ、貴方は人の世界に干渉したく無いんでしょ?…だけど、〈神の使徒〉は排除したい。

だから、俺を品定めに来たってとこかな?」


俺の推測を隠さず聞いてみた、多分間違ってはいないだろう。


⦅…正解だ。神々の姑息な手に踊らされておる罪の無い者達を傷付ける事は二度としたくは無い。⦆


「…でも、貴方が此処に存在する限り…もしくは、敵の黒幕を排除しない限り状況は変わらないでしょうね…

となると…」


少し考え、


⦅何か良い考えがあるのか?⦆


もう少し考え、


⦅どうじゃ?良い考えは浮かんだのか?⦆


更に考え、


⦅ええぃ、いつまで待たせるのだ!早く考えぬか!⦆


(…先生並みに(うるさ)くて自分勝手だなぁ( ̄▽ ̄;))


「一つ提案なんすけど、俺が安全な場所を提供しますよ。」


⦅おぉ?その様な場所があるのか!⦆


「えぇ、この大陸の西側にある【果ての山脈】に魔物達の城が有るんすけど、其処なら(わずら)わしい敵も簡単には入り込めない筈です。」


⦅其れは良さそうだな、其処へ行っても良いのか?⦆


「えぇ、但し条件が一つ。」


⦅なんだ?何でも言ってくれ!⦆


彼処(あそこ)は、俺の友人達が暮らしている城なんですよねぇ…

だから、貴方にも俺の友人になって貰います。」


⦅何だ?我が汝の友人になれば良いのか?

…それでは、今から汝とは友人だ。

我が身が滅ぶ其の日まで変わらず友でいる事を誓おう!⦆


(なんか、軽いなぁ…然もあなた、永遠に滅びないでしょ?)


「まぁ良いや、取り敢えず友人の頼みは聞かないとね。

此処は何とかするから【黒き竜王(リュードブルム)】は、頃合見計らって飛んでってくれる?」


⦅了解した、友よ。それと一つ言い忘れたが…⦆


なんか凄く嫌な予感がする。

後出しって、絶対悪い展開になるよね…


「な…何かな?あんまり聞きたくは無いんですけど…」


俺は、恐るゞ【黒き竜王(リュードブルム)】に聞いてみた…


⦅余り大した事では無いのだが、北の麓から人間の軍勢が、此方に侵攻しておるようなので、少し急いだ方が良いぞ…と知らせておく。⦆


「何じゃそりゃあ?かなりヤバイじゃ無いっすか!

〈神の使徒〉達を排除しつつ、この場に倒れてる奴らの救出とか…鬼ですか!」


そんな事を言ってる時間はない。

急いで行動を起こさないと、帝国軍に包囲され、取り返しが付かなくなる。


先ずは、〈神の使徒〉を排除して、気絶してる傭兵達を帝国軍から避難させる…


感覚を研ぎ澄まし、気配を探る。

魔導士らしき者と大剣持ちの戦士は、比較的近くに居るが…

あの時の狙撃手が、かなり離れた場所にいる。

どうやら、其処でもがいてるのも入れて4人の様だ。


(…戦士と魔導士か…それと、あの白仮面の狙撃手(スナイパー)が、かなり厄介だなぁ。

黒き竜王(リュードブルム)】は戦力外だし…)


色々思案していた…その時、背後に〈空間転移〉して来る気配を感じ、振り返る。


(何だ…?このタイミングで、また厄介事じゃないよね?)


⦅ほう、これはまた懐かしき者が来た様だ。⦆


深緑色の光を発してい〈空間転移門〉が出現し、

中から現れたのは、艶のある黒髪を腰まで伸ばし、濃灰色の綺麗な瞳に端正な眉の女性だった。


(まか)り越しました、御主人様(マイロード)。」


俺は開いた口が、塞がらない程…驚いていた。


彼女は、〈不和と争い〉の女神、エリス。

俺の従者になると押し掛けて来た女神だった。


「あら、【黒き竜王(リュードブルム)】ではありませんか、お久し振りですわね。」


⦅懐かしい顔じゃな、エリス。

最後に会ったのはいつであったか…まぁ、何にせよ、息災で何よりだ。⦆


「貴方も、変わらずですわね…それよりも、御主人様!」


エリスが、キツイ顔で此方を睨む。


「えっ、あ…はい。」


「王都に向かう時に仰いましたよね?

『直ぐに戻るから、待っていてくれ』と…それなのに、待てど暮らせど、一向に戻って来られず…

御主人様は、〈人の世界〉で力を抑えておられるので、探す事も叶わず…』


エリスは、下を向き小刻みに震えていた。


(マジに怒らせたかな…)


「あ、ご…ごめん。こっちで色々問題があってさぁ、中々戻る機会が無かったんだよね…」


「どれだけ心配したと思っているんですか!」


顔を上げ、抱きついて来たエリスを受け止め、向けられた顔は、涙で濡れていた。


余程心配していたのだろう…

俺はエリスの頭を撫でながら心から謝罪した。


「ごめんな、エリス。

お前に心配かけさせたね。此れからは必ず、報告するからさ。機嫌を直してくれないかな。」


そう言った途端、エリスの顔が晴れ、


「えぇ、許して差し上げますわ、

ですが、その代わり、条件が御座います。」


(なにぃ?!嵌められた…さっきのは半分演技だったのか…)


「じ、条件…って何かなぁ。」


俺は内心、冷や汗を掻いていた。


「…簡単な事ですわ。

御主人様は、〈空間転移〉でいつでもお戻りになれる筈でしたのに、それをなされなかった…ので、もう信用できません。

ですから、御主人様には(しるし)を付けて頂きます。」


(…忘れてた、俺、〈空間転移〉出来るんだった…先生にも言われてたんだ…ただの〈空間転移〉なら、いつでも使えるんだ…)


(しるし)…って、何かなぁ?」


「簡単ですわ、御主人様の魂に私の印を付けるだけです。

そうすれば、世界の何処に居ても…例え異世界だろうと、即座に私がお側に行けますから。」


(うっわぁ、それってずっと監視されてるって事だよね…)


あからさまに嫌そうな態度が出てしまい、


「あら、お断りなんてされませんよね?…と言うか、出来ませんよね?今のお立場を考えれば…」


エリスの眼が、笑っていない…断れる雰囲気では無かった。


「わ、分かっよ…にしても、何で俺の居場所が分かったのかな?」


「先程、力をお使いになられたからですわ。」


簡単に答えが返って来たが、腑に落ちない。


「此処って、霊気を抑える結界見たいのが張ってあるんじゃ…」


「その様ですわね…普通なら漏れ出る事は無いのでしょうけど、御主人様の〈魂の輝き〉は別の様ですわね…」


⦅ふむ、面白いな…この結界は、唯一神が創られたもの、その力が汝には及ばぬとはな…益々興味が湧いて来たぞ。⦆


黒き竜王(リュードブルム)】が、またしても俺に興味が湧いている様だが、今は無視しておく。


(ま、いいや、よく分からないけど…今は時間もないし、打開策も見つかったから…)


俺はエリスに、事情を簡単に説明した。

その間にエリスには〈印〉を付けられてしまったが…


「大体の事情は分かりました…ですが、

この様な下等生物を助けてやる必要があるのですか?」


〈不和と争い〉の女神らしい発言だったが、


「エリスならそう言うと思ってたけど、此処に倒れているのは、俺の友人や知人だし、仲間なんだよ…

だから、出来れば助けてやりたいんだ。」


「…御主人様が、そこまで仰るのでしたら、私に否は御座いませんわ…貴方様の御心のままに。」


優雅に(ひざまず)き、お辞儀するエリスに対し、


「有り難う、エリス。」


「謝辞など必要御座いませんわ。

唯、命令を下されば宜しいのです…私は貴方様の従者。

好きな様にお使い下さいませ、御主人様(マイロード)。」


⦅此れは、驚いた…あの女神(エリス)が、跪くとは…

あの忌まわしき7大神にさえ(かしず)かなかったと言うのに、

どう言う心境の変化だ?⦆


「黙りなさい、【黒き竜王(リュードブルム)】。

それ以上無駄口を叩くのであれば…」


エリスの瞳が妖しく光を帯びる。


⦅おぉ、あ、いや…すまんすまん…何でもない…⦆


黒き竜王(リュードブルム)】が、エリスに怯えている。

過去に何かあった様な感じだが…


「それで、私は何をすれば良いのでしょう?御主人様。」


エリスが、向き直り俺の指示を待っている。


「…エリスには、あの林の向こうにいる〈神の使徒〉を鹵獲(ろかく)して欲しい、その後倒れている傭兵達を麓まで送り届けてくれ。」


「排除ではなく、鹵獲ですか?」


エリスが、少しつまらなさそうな顔をしている。


「殺しちゃダメだよ?後で聞きたい事もあるし、必ず生かして捕まえて来てね。」


「…畏まりました(イエス)御主人様(マイロード)。」


エリスの姿が、一瞬にして消えた。


「【黒き竜王(リュードブルム)】に頼みがあるんだけど…聞いてくれるかい?」


黒き竜王(リュードブルム)】に振り返って頼み事をしてみる。


⦅汝は友だからな、何でも言ってくれ。ゼロ。⦆


「じゃあ、もし俺が戻る前に帝国軍が来たら足留めしておいてください。

エリスが、この傭兵達を麓に送り届けている間だけで良いので。」


⦅そんな事で良いのか?

それならば、容易い(たやすい)事だ、安心しておくが良い。⦆


竜王は、任せろと言わんばかりに胸を張っていた。


「じゃあ、任せました…

俺は、仮面の狙撃手の方へ向かいます。」


そう言って俺は、掌を天に向ける。

掌から深緑色の光が現れ、〈(ゲート)〉の形になる。

俺は、その中へ飛び込んで行った。


其れを見送る【黒き竜王(リュードブルム)】が、小さく呟いた。


⦅…気を付けろ、我が友よ。

汝の敵は〈神の使徒〉では無い…其奴は…⦆


その後ろからエリスが現れた。


「あら、御主人様はどちらに行かれたのかしら?」


⦅∑(゜Д゜)…な、何だ、エリス。もう戻って来たのか?

ゼロならもう1人の方へ向かったが…それにしても、其方戻りが早いな?

…〈神の使徒〉はどうした?逃してしまったのか?⦆


「貴方質問が多いわね…

〈神の使徒〉なら捕まえて、其処に居るわよ。」


林の樹の下に、縛られて気絶している魔導士と戦士が、無造作に投げられていた。


⦅…ちゃんと生きておる様だ。⦆


「はぁ?…貴方、さっきから私に突っかかって来てるわよね?…何か、言いたい事があるのかしら?」


エリスの眼が、スゥーッと細くなる。


⦅…あの〈不和と争い〉の女神が、他人に傅く(かしずく)など有り得る訳が無かろう?

エリスよ、何を企んでおる?我が友の不利益になる事ではなかろうな?⦆


黒き竜王(リュードブルム)】が、エリスの真意を確かめる。


「貴方も感じたんじゃないの?

御主人様の中には、あの御方と似た〈輝き〉があるわ…

私が唯一(ひざまず)いた御方…しかし、あの方は身罷(みまか)られてしまわれた…」


エリスは、悲しげな眼と寂しそうな表情を浮かべていた。


⦅そうだな…あの御方はもう居ないのだ…

我もゼロに感じた〈輝き〉を確かめに来たのだがな…

彼奴といると不思議に惹かれているのが分かる…⦆


「あら、貴方もなの?

御主人様は、不思議な魅力があるのよねぇ。

私は、直感で従者になったけど…亜人種達も惹かれてたわ。」


⦅…企みは無いと言う事か、今は信じておこう。⦆


エリスが、意味深な含みのある微笑みを見せながら、


「それじゃあ、私はもう一つの仕事を終わらせないと…

其奴ら見張っといてね【黒き竜王(リュードブルム)】。」


⦅ふむ、了解しておる。

人の軍隊も、もう時期到着するだろうし、相手をしておくから、安心しておくが良い。⦆


倒れている傭兵達を見回し、


「宜しくね、いくら私でもこの数は少し時間が掛かりそう…」


そう言って、エリスが〈空間転移門〉を開いた。



竜王とエリスの過去は、またいつか機会があったら書きます。


結局、魔竜は仲間にしちゃいました( ̄▽ ̄;)


後は次話で、白仮面の正体と目的をいれる予定何ですが...



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