56 死霊
朝だというのに辺りは薄暗い。ジメジメとした空気。本日は曇りである。
夜空は喫茶店ノックスでくつろいでいた。彼以外にもハンターがたむろっている。雨が降りそうなので気のりしないらしい。そこで美雨がお店に入ってきた。
「依頼受けないの? こういう日は依頼報酬1.2倍なのに」
全ての依頼ではないが短期的なもの、主にモンスター討伐の報酬が高くなる事が多い。これは毎日狩らなくてはならないからだ。ある数を越えると急激に増える。そうなると厄介である。
「そういうのは新人に譲るべきだからな」
「新人の方が山井さんより難しい依頼してること多いけどね」
そんな時、全員の携帯のアラームが一斉に鳴る。
「緊急の依頼!!?」
誰かが言う。
「死霊が大量発生だとよ。誰か違法な召喚したか?」
「ありえる。禁忌系の儀式でもして、また失敗したんじゃね?」
「どうでもいいよ。とりあえず」
喫茶店にいるハンターたちが各々に立ち上がる。
「んじゃっ。いっちょいきますか。お化け退治に」
会計を済ませ外に出るハンターたち。それを見送る獣人の女の子たち。取り残された美雨と夜空。そこで彼女は小さな鞄をゴソゴソと漁る。
「嗚呼ぁ!! 対死霊用の道具が切れてる!!」
「そういえば今宵は魔法が使えないのか。ハハハ、不便だな」
「山井さんもでしょ……!! って早く買いに行こう!!」
ハンターたちが戦う中、二人は急いでショップに向かう。
道中で親子がうずくまっていた。霊体のモンスターが子に襲い掛かる。母親が子を抱き守ろうとしていた。
「危ない!!」
美雨が親子の前に出て庇った。ゾンビ系と違うのは、死霊系のモンスターはこちらの攻撃がすり抜けるのに対し、モンスターの攻撃は当たるところだ。
攻撃に当たる直前、男の声が聞こえた。
「うおおおお!!! 悪・霊・退・散!! ハッァ!!」
美雨はその光景に驚いた。男がメリケンサックで霊体を殴ったからだ。それは魔銃のように特別な製法で作られている訳ではない。ただの市販のメリケンサックに見えた。しかし、その不安とは裏腹に霊体は霧のように消えていく。
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