40 謎の安心感
【いつもの酒場】
ノックスのカウンター席でクリームソーダを飲む男。美雨がお店に入ってきた。
「金欠っていってなかった?」
「そうそう。だから奢ってもらおうかと思ったんだけどさ。いつのまにか財布に入ってた」
「そんなことある?」
「お、そうだ。今から狩りに行くけど一緒にくるか?」
「じゃあカマイタチ用の罠を買いに」
「違う……人狼が組織的に動いてるんだよ。それを潰しにいく。難易度はSSだそうだ」
美雨はうろたえる。
「無理だよ!! 絶対に!! な、悩み事があるなら聞くけど」
「自暴自棄じゃねェよ……ていうかすぐになんでもできないって諦めるにはもったいねぇ。そりゃ人類史への侮辱だぜ」
「さ、作戦があるの?」
「いや特に? 負ければ死……俺たちはいつだってそうだったろ? だが負ける事を考えてこの仕事をしてる奴はいねェ。いつも通りに帰ってきて、クリームソーダを飲む。それだけさ」
(私はいつか【夜の王】にたどりつかないといけない……なぜあんなことをしたのか、聞かないと……
そのために強くなるッ。でも)
「……でもさすがにまだ早すぎると思う」
「でも、だとか。まだ、とか。どんなに逃げようと時代はまっちゃくれねェんだよ」
「……山井さん?」
勇気なのかイキリなのか彼は自信に満ち溢れた表情でそう言った。その時、夕凪が隣に座った。
「準備できたか? そろそろ行くぞ」
「準備? 風邪だろうが怪我してようが、いかなるときも万全だよ」
「そうだったな」
「作戦がきたぁ!!」
絶望に差し込む一筋の光に美雨が吼えた。夕凪は美雨を見る。
「今回は彼女も一緒か?」
「ああ。今宵も見学にきたいとさ」
「あ、もしかして他にはリリンとかも?」
「いや? 俺と夕凪と今宵だけだ」
「や、山井さんだけでSS……ていうか、私すでにカウントされてるんだ」
◇
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