表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/66

38 後日3~昼行どぅ~

 二日後の早朝、夜空は二区から五区の区境に位置するギルド施設に来ていた。内部は広く、室内訓練場や巨大なグラウンドまで設置されている。


ギルド職員が二人と夜空で測定コースを回る。他にもギルド職員と測定をしている者たちがいる。


「俺は(つとむ)。今回の試験官だ」


「幸運だな。あんたは伝説を見る事になる」


 彼は事前に情報を得ている。夜空が悪魔憑きを倒したという情報。すでに死んでいるので完全には特定できない。しかし、遺体を調べた結果、上位悪魔の中でも上澄みだと予想していた。


(凄い自信だな……久しぶりに期待できそうだ)


「遠距離の攻撃手段はもっているか?」


「誰に言ってる。当然だ」


 試験官について行く。10、20、50mの位置に的があった。外と室内があり、今回は外だ。的は横に動く。そして、ターゲット以外の的も混じっている。


 夜空は小石を足で跳ね上げて手元にもってこようとした。すると小石は3m前方に跳ねる。彼はそれをなかった事にして腰を曲げ、大人しく小石を手で掴んだ。


「……」


「そんなに遠距離は得意じゃないが。50mってところか」


 手で石を弄びながら言う。


「な!!」


 試験官の補佐が夜空の投石を見て驚いた。


 的にはかすりもせずにその辺に転がった。その後、なん度か挑戦したが一度も当たらなかった。さりげに難易度を下げて10mにも挑戦していたが、やはり当たらなかった。


「ぬ。魔力場の影響か……」


 最後には奇妙な動きで5mまで近づき、インチキしてようやく的の端に当てた。その威力はドブ鼠すらちょっと痛がるだろう。


「ふぅー。今日は普段の0.1%ってところか……」


「あ、あのな……遠距離への攻撃手段がなくても減点にはならないぞ……点数の上限は設置されてないから他の項目でとれば問題ない」


「ふふ……なるほどな。試されていた、と。なめられたものだ」


(初めてだから多少の誇張は仕方のないことだ。緊張したんだろう……彼のような人は実戦だと逆にそんな事をしないはずだ。自らの経験を頼りに頑張るだろう。それに彼の得意分野はあの怪物を仕留めたとされる近距離戦にある……)


 試験官がデータを見ると測定回数が3と表示されていた。


「……ぜ、前回も的当てを?」


「前回? そういえば的当てはなかった気がするな。特に説明もなかったし。初回はさすがに忘れたが……」



(前回の試験官は……小次郎か……あいつあとで説教だな……)


 懸垂や幅跳び垂直跳び、握力測定などをする。


(……すげー低い。おかしいな、緊張しているのか? いや、焦るな。あの銀太郎が凄みを感じたと推薦したんだ……なにかある)


 ついに武器を使った測定、据物斬りをする。木製の試し切り用の人形のエリアにやってくる。そして、難しい順から挑戦していき、最低難易度でようやく人形を皮一枚残して切る事に成功した。


「……そこまで!!」


「ふぅ……予想以上の成果だな。本調子ではないがSSSってところか……」


「……今から特別で測定をおこなう。俺と一対一での戦闘をしてもらう」


「ちょっと、いいんですか勤さん!!」


「ああ、問題ない」


(きっと通常の測定じゃ測れないタイプと見た……)



「特別ね……悪くない」


 木刀を渡されてお互いが対峙する。



 そして、開始の合図と同時に夜空が距離を詰めた。薙ぎ払いを試験官は受け止める。鍔迫り合いになった。


「馬鹿なッ!! この力は!!?」


 試験官は驚きの声をあげる。同時に頭の中が混乱する。


(ひ、非力すぎるっ……この島でどうやって生きのびてきたッ!!)



「どうした? 俺の怪力に開いた口が塞がらないか。さらに驚かせてやろうッ」


 夜空はなにかしようと頑張っているが、鍔迫り合いから動けない。試験官が回避能力を見るために、木刀を軽く弾き、軽く一撃を放った。


「ぐふぁっ……は、早い……最強の試験……官……」


 夜空は気を失った。補佐の男は悲し気な表情で言う。


「……勤さん。これは……」


「ああ、あの怪物は変身が完全に終わる前に倒されたとして間違いないだろう……あるいはギリギリで心が残っており、危害を加える前に自害したとかだな……」


「ですよねー……」




 後日、ギルドからの通知がきた。バーのマスターに渡されてワクワクしながら中身を見る。男たちが大笑いしていた。


「お前ェ。ランクF-!! マジかよ!! Fランクだけは確か±つかないはずだろ!!」


「備考欄にお前が狙いえそうな依頼も書いてる!!」


「いつからギルドは保育園になったんだよォ。初めて見たっ」


「アヒャヒャヒャヒャ!!」



 美雨が男たちに行った。


「もー。笑っちゃ悪いよ」


「だってよぉ。クククっ。マジですげーよっ!!」


 夜空は気にせずに言う。


「ふっ……ギルドでは俺の真の実力を測れない、か……」


「いや、お前マジで気を付けろよっ。クっハハ……ハンターが道中で石につまずいて死んじまうとか恰好がつかねェからよぉ!!」


 笑を堪えながら、夜空の背中を叩いていた。リリンが酒を飲みながら言った。


「いやお前、マジで。今までよく生きてこれたな……」


「天命に従う……それだけさ」


「言ってろボケが……」







ご一読いただき、感謝いたします。投稿は21時になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ