37 後日2~ランク測定の通知~
数時間後、精神的に疲れた美雨が帰ってきた。汗もかいている。
「お、お待たせ」
美雨はぎこちなく夜空に話しかけた。彼は自分の刀を手に持っている彼女の全体を見た。
「……駄目だったのか? てかなんで緊張してんだ?」
意外に鋭い指摘に美雨は後ろめたい事があるのか夜空の眼を見られない。
「だ、大丈夫!! もとに戻せたよ」
そう言って刀を抜くとまるで新品同様に磨かれた妖刀村正がそこにあった。
「嘘だろ!! ……てっ。早くない? いや、でもどう見ても俺の刀だしな。いったいどんなプロの鍛冶師なんだ。おおお!! 元通りだ~!! 村正かっけー!!」
夜空は刀を天に掲げて喜んでいた。彼は珍しく笑顔で言う。
「今宵、感謝する。まじで頼りになるぅ」
「う、ううん。その。ついでだったから!!」
そろそろ眠たいので帰ろうとしていたリリンが口を開こうとした。
「あ? 馬鹿かてめぇ。それ新……むぐぅ……ッ」
数名の獣人店員がリリンを背後から取り押さえ、口をハンカチで塞いだ。酔っぱらっていたリリンはスヤーと眠りについた。美雨はバレなかった事にホッと胸をなでおろした。
難を逃れることに成功し、一旦落ち着く。
美雨が良く見るとテーブルに空のグラスが沢山あった。傷心していたとは思えない量であった。よく分からない怒りのメーターが吹っ切れた美雨。ニッコリとしながら腰から刀を外す。
「えいっ♪」
涼しいところで悠々とくつろいでいた夜空の後頭部を、刀の鞘で強めに叩いた。
「ィって!! 急になにしやがる!!」
彼が振り向いた時、美雨が少し怖かったので、怒りを抑えて聞いた。
「……あれ? なんで怒ってんの?
今宵さんは……わ、笑ってた方がらしいんじゃない? ほらいつもみたいに!! ハハハ」
「アハ♪ ウフフ♪」
「ハハハ、ハハ……」
数時間後、喫茶店の奥の席で夜空とリリンは目を覚ました。
◇
ある日、夜空がバーで飲んでいると、マスターが未開封の郵便物を渡してきた。
「ギルドからです」
「ギルドから?」
横向きの郵便物を開ける夜空。リリンや美雨もそれに注目する。
「お前なにしでかしたんだ?」
「山井さん……私を保護者で指名しないでよ」
「捕まんねェよ」
中身を見た三人は同時に言う。
「ランク測定か」「んだ測定かよ」「ランク測定っ」
ギルドでは処理を効率化するために、ギルド側でハンターの情報を取得している。成果などもそこである程度分かる。
その記載の中でもっとも楽に分かる指標がランクである。どういう理由かは不明だが、その辺りにはハンター協会は関与したくないらしく、ギルドが代わりに測定し、登録している。
特定のバーはハンター協会やギルドに協力しているため、封筒がここに送られてきたのだ。
「さて、軽くランクSSS+でもとってくるか」
「はっ、言ってろよバカが。てめーごときが夕凪…………でもぉ山井さんなら絶対やれると思います!! ファイトぉ!!」
突然姿勢を正したリリンの声が高くなった。少し遅れて夕凪が夜空の隣に座った。
「いつものを」
「畏まりました」
「ほら夕凪。SSS+もらったぞ」
準備していたのかというくらいにミルクが即テーブルに置かれる。それを飲みながらどこか懐かしそうに言う。
「……測定か。頑張れよ」
◇
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