35 夜道
遠くから浩二たちが走ってきた。
「夜空ァーッ!! ギルドの人がきてくれたぞ!! な……ッ」
背後にある大蛇の遺体を見て浩二たちは顔を背けた。皆はその醜悪さに吐き気を催す。それを見ないようにしながら彼等は言う。
「うげっ」
「す、すげえな……こ、これがモンスターか……」
「で、でけー」
「うわぁー気持ち悪ぅっ」
「醜いモンスターね……」
「キモっ!!」
初めての光景に圧倒されていた浩二が思い出す。
「そ、そうだった!! 谷野さんは!! こっちにはいなかった!! 後はこの辺の捜索だけッ……よ、夜空?」
「谷野は、あの大蛇に丸ごと……」
「……は? いや……今、なん……て? な、なんだよ……それ……そんなわけ……」
それを聞いた誰かが思い付きを言う。
「そ、そうだッ。それが蛇ならまだ消化されてないんじゃ!! まだ生きてるよきっと!!」
「そ、そうだ!! お前天才かよ!! 早く出そうぜ!!」
「……あのモンスターは腕に持つ刃で切り刻んでから食すタイプだ。それが見たいなら腹を裂けばいい……」
その冷静な物言いを見て浩二が怒りをぶつける。
「夜空お前!!」
彼は怒りに身を任せて夜空を殴った。夜空は後ろに数歩下がるだけで平気な様子。さらに追撃をしようとするが他の者たちが彼を止める。
「止めろ浩二!!」
「離せ!! 夜空は!! あいつは谷野さんを守れるって言ったんだぞ!! なのに!! なのに!!」
「浩二!! 俺たちは全員死んでいたかもしれないんだ!! 夜空がいなかったら!!」
「う、うるせェ!! お前等は黙ってろ!! これはこいつと俺の問題で!!」
夜空は言う。その表情には怒りも憎悪もない。
「そうだ。全ては力を持ちながら四人を助ける事ができなかった俺の責任だ」
「っッ……すま…………よ……ら……」
その言葉を聞き、ハッと冷静になった浩二は消え入りそうな声で謝る。夜空は一人その場を離れ、ギルドの人間の元に行く。
「君の名前は?」
「山井夜空」
小型のデバイスで彼のことを確認する。Fランクの人物が出てきた。背後の化け物を確認し、怪訝な表情でもう一度デバイスを確認する。
「すまん。聞き間違えたのでもう一度名……」
良く見ると顔写真が彼が一致した。なんどかカチカチと操作するもFランクとしか表示されない。思わず機械を地面に投げようとしたが冷静になった。
「そうだ。他にハンターは?」
「俺一人だが?」
「……」
困惑し考える男。夜空はそれに気が付かずに言う。
「そうだ……彼等にはなにも。真実を言わないでほしい」
ギルド職員は目を細めてそれを凝視する。
「……契約、か……分かった。ただのモンスターの仕業であると彼等には伝えよう……君は?」
夜空はとぼけた様子を見せて言う。
「一人で帰る。夜風にあたりたい。そういう気分だ……」
彼はなにかを察しそれ以上はなにも言わなかった。
「そうか……気を付けてな」
(同級生を失ったのだからな……あと、彼のランクが更新されてないようだ。いや、それは後日……だな……)
そして、夜空は闇の中へと消えて行った。
◇
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