28 襲ってくる死者
コクウの元に一匹の蝙蝠がやってきた。美雨が不思議そうに言う。
「……なんか。ぬいぐるみみたいな蝙蝠だね。可愛いー」
「能力の一種です」
「いいなー。もってるんだ。私魔法もあんましで。だから道具で補ってるんだけどね」
仲良くなって酔っているのもあり、普通に親しそうに話しかける美雨。
「今はそんな場合ではッ。すぐにここから離れましょう」
「え?」
「リリンを起こしてくださいッ」
「ど、どうしたの急に。それに今は夜で辺りが見え」
その時、従業員が鍵のかかったドアをガチャガチャと開け始める。
「詳しい話は逃げながらでも。ここの住人は全て遺体です」
目を覚ましていたリリンが言う。もの凄く機嫌が悪そうだった。
「……まさか死霊系統の魔法か?」
「ええ。村長の罠だったようです。ただし能力なので、その応用力は比べ物になりません」
「嘘っ」
「っ~。私が二日酔いとは……不覚だ」
「彼等が薬を盛っていたみたいです。ただ私たちの生け捕りが目的らしく、死ぬことはないかと」
「どうりで……」
見知らぬ女が窓ガラスを割って入ってきた。リリンが左腕にアームを装着し、爆風で吹き飛ばす。
「でも逃げるってどこに!!」
「……分かりません。とりあえずは船を」
美雨は刀でコクウは拳で倒しながら外に出た。かなりの数を倒したはずだが次々と現れる。
「くそっ。埒が明かねェ」
「リリンさん!!」
背後から従業員がリリンの右腕を噛んだ。
「あがっ。このッ」
リリが殴って引き剝がすことに成功した。しかし、眩暈がして膝をついた。そんな時、暗がりから声が聞こえる。村長だった。
「その者は必要ありませんからね。一人だけお強いらしいので、とっとと死んでもらいましょうか」
コクウが美雨に言う。
「少し時間を稼いでください」
「任せて!!」
コクウがリリンの腕に触れると顔色が戻ってくる。村長が感心していた。
「ほう。毒を吸っているのですか……そして自身は耐性を持っていると」
「すごいコクウさん!! いったいどうやって!!」
「能力です」
「二つも!!」
「今宵。リリンを守りながら戦えますか?」
「……コクウさんは村長を?」
「そうですね。消去法でそうするしかないかと」
「リリンさんは絶対に守るからッ。お願いっ」
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