表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/66

20 昼間の夜空

 喫茶店のテーブルに向かい合って座っていると、ハンバーグやらクリームソーダが運ばれる。夜空は急いで完食する。するとメインディッシュを飲みながら話をする。


「じゃ、俺は用事を済ませてくる。ここで待っててくれ。時間はそうかからない予定だから」


(あ、戻った……)


 夜空は少し緩いトーンになっていた。クリームソーダを摂取すると、仕事人モードが解除された。


「なんで? 私も行くよっ」


「……んー。今宵(コヨイ)にはまだ早い……」


「むぅ。じゃあさっきの封筒頂戴よ」


「な、なんでそうなる。要らないんだろっ」


「やっぱりお礼はちゃんと貰っとかないと相手に悪いかなって」


「っ……難解な……これだから……」


「これだからなに?」


「……なんでもない」




 二人は傍から見ると仲良く街の中を歩いていた。ひと気のない場所に段々と入って行く。その不気味さに美雨がうろたえる。


「ちょ、ちょっと本当にここなの?」


「あまりキョロキョロするなよ。連れ込まれるぞ」


「ええ!!」


「……さあ、着いたぞ」


 目の前には古い建物があった。ガラスごしに武器が飾ってあるのが見えた。そこは表通りに面しており、ひと気のない道から行く必要はない場所にあった。先ほどの裏通りの治安はどちらかと言えば良いほうだ。


 つまり雰囲気を作るのために遠回りをしていた。


「武具店?」


「入るぞ」


 おじいちゃんがいらっしゃいと声をかけてきた。それ以外の反応は特にない。知り合いではないらしい。夜空は近づいて言う。


「妖刀はあるか?」


「お、お主ッ。な、なぜそれを……ッ」



(ぁ……お店で飲みながら待ってた方が良かったかも)


 美雨はもの凄く後悔した。


「だ、駄目じゃ!! あれは売れん!! 人には危うすぎる……」


「クク、余計気に入ったぞ。ところで聞きたいのだが……その妖刀は満足しているか?」



「ッ……!!!? …………そ、それは」



「宿主を待っているのではないか……現世の乱世で暴れたいと……」


「……少し待っておれ」


 店主が奥に入った。


「妖刀村正があるからもう要らないんじゃない?」


「コレクションだ」


「いやさっき暴れたいって」


「うむー……なら定期的に交代するか」


「それでいいんだ」


 そんな会話を知らない店主が刀を持ってきた。


「妖刀()(かもめ)じゃ……」


「濡れ鴎……」


「とある文献にはこうある。妖刀に魅入られたカモメさんが寄ってきた。するとふと我に返り、飛び立つカモメさんをシュパーとしたという伝承が残されておる」


 夜空が驚いて叫んだ。


「あの最速の鳥をッ……ありえん!!」



 そんなやり取りを見ながら美雨は冷静に考えていた。


(カモメさんそんなに速いかな?)



「あまりにも常軌を逸した速度。刀を振った男の周りにはなにも残されていなかったとか」


(カモメさんも? というか刀じゃなくて持ち主が凄いんじゃ……)


 刀を抜くと夜空は言う。


「どうりで美しい訳だ……まるで刀身に吸い込まれるよう……」



(……どこかで見た事ある柄の刀だけど……)



「ふむ……どうやら刀がお主を選んだようじゃな」


「モテる男は辛いな。いくらだ?」


「……一億……といいたいところじゃが……刀が主を選んだのなら。25万でどうじゃ?」


「くくく。選ばれし者、か……罪だな……」


 一枚一枚ゆっくりと数えながらカウンターに置いていく。途中で重なっていた札があったので数が分からなくなり、もう一度数えだした。止めようと思ったが夜空の顔を嬉しそうな見てやめた。


「まいどあり」


 お店を出ると早速刀を抜き、輝きを見る。


「うはー!!」


「ちゃんと手入れしなさいよ」


「当ったり前だろぉ~」


 新しいゲームソフトを買った人のように喜んでいた。二人が外に出た頃、おじいちゃんは言った。


「さて、新しい妖刀を二本くらい入荷するかのぉ。そうじゃな。それでは次はこうしよう。五大妖刀が一つ……」



 本来の目的、討伐依頼を終わらせる事になった。Eランク下位(マイナス)のモンスター、カマイタチがターゲットである。


 街の周辺に現れては人を切り刻むという事件が発生していた。それを憂いた役人が依頼を出したのだ。


「そっちに行った!! 一定距離で時間を稼いで!! 私が隙を見てッ」


「任せろ。魅入られて散れるが良い!! いくぞ濡れ鷗……」


 刀を抜き並行して魔物と走る。そして、一気に間合いを詰める。


「ぐうわぁああ!!」


 カマイタチの魔法、風の刃が周囲に発生し、夜空に襲いかかった。速くはない。E-もあれば避けれる速度。そして、彼はまた地面に転がり血だらけで倒れた。



「なんでェ!!」


 美雨が叫ぶ中、困惑して動きを止めたカマイタチ。首を傾げながら警戒する。


 カマイタチからすれば小手調べであった。魔力をあまり込めていない攻撃で、男はなにゆえ倒れたのだろうかと。この男は立ちあがるのだろうか、それとも罠なのかと警戒している風に見える。


 その時、意識の外側。背後から美雨が攻撃し、一撃で倒した。美雨が近づき、モンスターが絶命した事を確認した。応急処置をするために道具を出していると夜空が目を覚ます。


 カマイタチが倒れているのを見て確信する。


「やったか……ふっ。我が妖刀は速すぎるあまり、遅れて切れる……ぐっ」


 再び意識を失ったのを見て美雨が慌てて近づいた。


「山井さん!!」




ご一読いただき、感謝いたします。投稿は21時になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ