19 強烈な一発
エファは自信に満ち溢れた表情をしていた。亜人と戦っている美雨に当たるなど微塵も考えていない。そして、数回発砲する。
敵は美雨を攻撃しながらも弾にも羽を割き全てガードする。彼は不敵な笑みを浮かべて言った。
「違うぜ、その対応は。避ける、が正解だ」
エファは最後の一発を放つ。舞う羽を動かし、弾を止めようとする。しかし、その弾だけ威力が桁違いだった。簡単に羽と防壁を貫くと敵の肩や脚に弾丸が当たる。
「そ、そんな……私がっ……」
彼女はゆっくりと倒れて意識を失った。美雨は呼吸を乱しながらその光景をジッと見ていた。
「ナイスアシスト」
「……エファさん。助かりました」
「こっちこそ」
エファは爽やかな笑顔でそう言った。
その後、電車は駅で長時間緊急停止した。どうやら商人が保有している魔石を狙った犯行だったらしい。商人がお礼にと三人に分厚い封筒を差し出す。
「助かりました。これはお礼です」
「えっ。そ、そんなつもりじゃっ。いいですよ」
美雨が申し訳なさそうにしていると、夜空が封筒を二つ受け取る。
「気にするな。当然の事をしたまでだ」
「……」
商人は忙しいらしく、そこからそそくさと去って行った。美雨が言う。
「それにしても、当たったのが致命傷からほど遠い位置で良かったね」
「……嗚呼、1㎜かと思ったが5㎜も離れていたな。いや、3㎜か……2㎜じゃなくて良かったよ」
その時、エファが言う。
「それじゃ。俺はここで……また共闘しようぜ相棒」
「ふっ。今まで孤独の戦いしか知らなかったが……お前となら悪くない。次までにその傷を治しておけよ」
「ふふ。安心しろ。次は足を引っ張るようなヘマはしねェよ」
(山井さんだけ動けないほどの傷だったけどね)
そして、エファは風のように去って行った。
「爽やかな人だったね」
「ふ……それより、傷は大丈夫か?」
「ま、まあ大丈夫だけど」
(山井さんを回復しないと。私が疲れたことにして少し休もうかな)
「上出来だ。ふむ。とはいえ今宵。お前は強がる癖があるからな。後からの予定だったが、休憩がてらに寄るか」
(山井さんの足、すごくふらふらしてる……)
「もしかして使命の方?」
「そうだ……いや、やっぱその前に喫茶店だな。ゆっくり休むが良い」
「あ、ありがと……」
◇
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