16 トレインジャック
夜空と美雨は電車に乗って第四区へと向かう。彼はクロスシートの窓側の席を取り、窓を開けていた。今は存在しないであろう開閉できるタイプだ。彼は大量の風を浴びてご機嫌になっていた。
「そういえば、昨日の。お店を狙ったギャングが壊滅したらしいよ」
「へー。かわいそー」
「いや、やったのは多分酒場の人たちだけどね……拠点が爆発したって聞いたから」
その時、反対側の席の窓にいた温厚そうな男が話しかけてきた。
「ノックス。あの有名な酒場の?」
「え? あ、はい。一応私もお世話になってます」
夜空は彼をチラリと見たが、すぐに風を感じる作業に戻った。
「俺はエファだ。よろしく」
「今宵です。よろしくです」
「綺麗な名だ。しかも美人さんなのに強いなんて。素敵な人だ」
「と、とんでもない!! 私なんてまだまだで!!」
「その距離感に。刀持ち……ふむ。もしかしてそちらの方は恋人かな?」
「ち、違うますよ。ただのパーティーメンバーですって!! あ、えっとこっちは山井さんです。エファさんはお仕事とかで?」
「ええ……実はホシを追ってて」
夜空が席を移動した。
「話を聞こうか……」
「実はこの電車にとある商人が乗っていて、その男が狙われるんじゃないかと予測している」
美雨が緊張した様子で聞いた。
「そ、そういうのを話しても大丈夫なんですか? 秘密にしないと駄目なんじゃ」
「大丈夫大丈夫。俺は刑事とかじゃないよ。強いだけの一般市民だから」
「そ、そうなんですねー」
(エファさん、山井さんと同じ系統の人なんじゃ……)
夜空が聞いた。
「護衛か?」
「鋭いね。さすがだ。まあ個人で勝手にやってんだけどね」
「なるほど、二重護衛か……」
(それの方がやば……んーでも迷惑かける人には見えないし。山井さんの暇つぶし相手にはなるし、まあいいか)
二人が楽しそうに話していると夜空が決意したように言う。
「先手を取るか?」
「……難しい判断だ……吉と出るか凶と出るか」
「山井さん、盛り上がってるところ悪いけど。もう少しで到着なので大人しくしててくれると……」
その時、前方車両から悲鳴が聞こえた。数人が慌てて入ってた。
「に、逃げろ!!」
「ジャックされた!!」
「殺される!!」
「助けて!!」
「「「え?」」」
美雨と他の乗客が驚きの表情を見せた。夜空とエファは悔しそうな表情を見せた。そして、慌てて一斉に後方車両へ逃げ込む。
「くっ。先手を取られた!!」
ご一読いただき、感謝いたします。投稿は21時になります。




