15 金欠
美雨がバーに入ってくる。カウンター席に座ろうと近寄る。既に飲んでいた夜空が財布を取り出ているところだった。彼は取りだせないお金に疑問を覚えて財布の中を覗き見る。その後、マスターを見て大きく口を開いた。
「……」
「飲み逃げ……でしょうか?」
目は笑って居なかった。夜空は目を逸らしながら言う。
「んな訳ないってぇっマスター……ははは。ツ、ツケで……」
「畏まりました」
「……マスター。夕凪は?」
「急な仕事で遠征に行ったと聞き及んでますが?」
「へ、へー。そうなんだ……」
「なにか……当てが外れたみたいな顔をされてますね」
「いやぁ? そんなことないけどぉ?」
背後から美雨が話かけた。
「……もう金欠になったの?」
「人聞きの悪い。家に忘れてきただけだ」
(あ、絶対夏休みの宿題しなかったタイプだ)
夜空は立ち上がり、バーにある個室に入る。そこはパソコンが置いていて、ネットで依頼を受けることができる便利な部屋だ。
夜空が早速ポチポチする。Fランクの依頼の画面をスクロールしていると、彼女も普通に入って来た。
「へー。こうなってたんだ。すごい便利だね~。ギルドにも設置すればいいのに……」
夜空は聞き流しながらパソコンをいじる。沈黙が続くが背後の美雨の気配が消えない。
「…………」
「なんだよ?」
「えー。ランクE-くらいまでなら私も守りながらでも大丈夫だから。あ、さすがに二人だと魔物の方で」
「はぁ……パーティーは面倒なんだよな……あの時は暇で気分が乗っただけだから。それを勘違いされてもなー」
面倒そうに話がながらカチカチとしていた。
「そう言いながらEランクの画面に遷移してるけど?」
「……ふっ。女に恥をかかす訳にはいかないからな」
「……相変わらずよく分からない人ね」
そんな時、夜空が驚いた表情をみせた。
「第四区……っッ……そうだっ……」
「良い感じの依頼があったの?」
「思い出したんだよ。俺の使命ってやつをよぉ」
「……使命?」
夜空はそれ以上なにも言わなかった。
◇
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