11 正確無比な一発
各々がバーで飲んでいたその時、マスターが急に夜空の首筋の服部分を掴み、カウンター内に引きずりこんだ。同時に夕凪がカウンター内に入り、サッと身を低くして隠れる。
外には車が急停止していた。そして、銃声が複数回響いた。
他の者も遅れて、近くのテーブルを倒していた。木製のテーブルの中には特殊な鉄板が仕込まれていて、それを盾に弾を防いでいた。
銃声は鳴りやまない。店内の誰かが言った。
「んー。最近ギャングが多いな……」
「あ、俺。今日街中で絡まれたわ」
「だるっ」
「おい、まずいぞ。リリンさんが暴れたら店内が!!」
「いや、大丈夫だ……今は猫かぶりモードだ」
テーブルに隠れて、か弱い悲鳴を上げていた。
「……タイミングが良いのか悪いのか」
カウンター内に隠れている夜空。彼は夢中でクリームソーダを堪能していた。隣で夕凪もなにごともないかのようにミルクを飲んでいた。
そんな時、美雨の苦痛の声が響いた。弾が当たったようだ。幸い弾はなにかに当たって軌道が反れたため、急所は外れたようだ。
夕凪は座った状態でカウンターに背を向けていた。良く見ると肘が顔の位置まで上がっていた。
側頭部の傍に腕を曲げて置き、その態勢のまま銃口をカウンターに付けている。トリガーを引く事はなく、美味しそうにソーダを飲む夜空に対して言う。
「今の音……本来なら致命傷のはずだが、なにかにはじかれて弾道が変わった」
「……もしかして俺に言ってる?」
「他に誰が?」
「……たしかに俺なら無意識に力が覚醒して、弾をはじくなど造作もないが……」
「忘れてくれ。気のせいだった」
夕凪は銃をホルスターに差し込む。マスターは会話に入らず身をかがめてコップを拭いていた。銃声が止み、犯人らしき男が笑いながら言う。
「はッ!! なにがここらで一番危険なバーだ!! 反撃こねぇじゃねーか!! 噂のSSSランクの男もやっちまったかァッ? ヒャハハハ!!」
「へへ、俺は鈍間の女に当てたぜ!! ちと狙いが反れちまったが」
「おっと!! そろそろ来るぞ!!」
「ずらかるか!!」
警察を警戒して逃げようとする男たち。彼等が車に乗り、発進した直後、美雨に弾を当てた男が頭を打ち抜かれた。犯人たちは叫び声をあげながらも急いでその場から逃走する。
夕凪が黒い銃をしまう。サイズはデザートイーグルに近いが、デザインは違う。彼の銃は魔銃と呼ばれるものだ。高ランクの亜人と戦うために作られた銃である。
傷を負った美雨に数名が近寄る。癒しの魔法といって傷を治す事ができる者が混じっている。
即効性はないので注意が必要だ。体内の弾を取り出し、癒しとは別、浄化の魔法で殺菌、魔法障壁を応用して血管を塞いで止血する。そして、徐々に傷を治していく。
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