10 一見渋いおじさん
利権の問題なのか、依頼を受けたり報告可能な機関はいくつもある。ハンターは依頼の報告などはギルドを使う事が多い。手数料はそれなりに取られるが後処理が一番楽だからだ。
到着すると報酬を分けてパーティーは解散する。リリンを含めた四人がバーに戻ってきた。最初にパーティーに入った男女は桜の元に行った。
リリンがカウンター席になる特別な椅子に行儀悪く腰をかける。その隣には夜空が座っていた。左腕のビッグアームを取り外しながら言う。
「よぉ。久しぶりだな。まだ生きているとは驚きだぜ」
夜空はリリンをチラリと見た後にバーのマスターに言う。
「マスター。クリームソーダを一つ」
「子供じゃねぇよ。一回爆ぜるか?」
「俺の分だ」
「最初からそういえ、まったく……マスター。ブランデーストレート」
「畏まりました」
夜空の領収書がチラリと見えた。クリームソーダがずらりと並んでいた。その光景を想像し、うげっと顔を歪める。
「……てめー。いつか病気になるぞ」
「いや……リリンに言われたくないな」
美雨が不思議そうに二人を見ていた。
「仲がいいんだね」
「良かねぇよ」
夜空に問いかけたのだが、リリンが即答する。
「アハハ……」
美雨は思わず笑って誤魔化した。
「打算があるんじゃね?」
「打算、って?」
その時、背後から近づいてきた男が夜空の隣に座る。ダンディーなおじさんだった。無理のない着こなし。良い感じに歳を重ねており、風格を感じさせる。周囲の注目が彼に集まった。彼は落ち着いた口調で注文する。
「マスター。生暖かいミルクを」
「畏まりました」
夜空が親し気に話しかける。
「相変わらず好きだなーそれ」
「お前もな」
低い声。しかし、優しい落ち着いた声で彼はそう言った。
(ミルク? じゃなかった。誰だろう?)
美雨は夜空の耳元で言う。
「彼は?」
「ああ。夕凪は猫舌なんだよ」
「そこじゃないんだけど」
そこでいつのまにか綺麗に座っていたリリンが丁寧な口調で話しかけた。心なしかトーンも少し高かった。
「夕凪さん。今日はお仕事終わったの?」
豹変したリリン。美雨は思わず降霊術の類を疑った。彼はコップを持ちながらチラリと彼女を見た。
「リリンか……久しぶりだな。さっき終わったばかりだ」
「もしかして……今日は空いてます? よければこのあと……」
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