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第15章 ②

第15章② コルジの実


翌日


妹はまだ寝ていた。


でも少し昨日より元気だった。


良かった。


昼頃。


洞窟へ人が来た。


冒険者だった。


私は少し驚く。


男は袋を持っていた。


「見付けたぞ」


私は首を傾げる。


「何を?」


男は袋を開いた。


中には木の実が入っていた。


見た事が無かった。


私は聞く。


「何これ」


男は答える。


「コルジの実」


私は聞き返す。


「コウジ?」


「コルジだ」


「コウジ」


男が止まった。


私は実を見る。


男は続ける。


「風邪に効く」


私は止まる。


「風邪?」


男は頷く。


「実を潰してお湯で飲む」


私は実を見る。


妹を見る。


そして頷いた。


やってみよう。


男は満足そうだった。


良い人だった。


その日の夜だった。


私は実を潰す。


お湯を入れる。


混ぜる。


飲む。


一口。


私は止まる。


もう一口飲む。


これは……。


甘酒だ。


兄が見る。


「どうしたの?」


私は答える。


「甘酒」


兄は首を傾げた。


私は実を見る。


もう一度見る。


主人公は思った。


コウジだ。


多分。


妹も飲む。


兄も飲む。


温かかった。


ほんのり甘かった。


薬っぽくなかった。


良かった。


数日後だった。


妹は元気になった。


私は安心した。


本当に。


その日の夜だった。


今度は兄だった。


咳をした。


私は止まる。


兄を見る。


顔が赤かった。


主人公は思った。


移った!

 

兄は布団へ入る。


妹が心配そうに見る。


私は水を渡す。


兄は少しだけ笑った。


「ごめん」


私は即答した。


「寝ろ」


兄は少し笑う。


そしてぽつりと言った。


「王都だった」


私は兄を見る。


兄は天井を見ていた。


熱のせいらしい。


「何が?」


兄は少し考える。


「前」


静かな声だった。


「母さんがいた」


私は黙って聞く。


「大きな町だった」


「王都?」


兄は頷いた。


「多分」


兄もよく覚えていないらしい。


「俺と妹」


「うん」


「魔法があった」


私は止まる。


兄は続ける。


「それで王都へ行った」


兄は少し考える。


「知らない人がいっぱいいた」


「うん」


「難しい話してた」


兄は首を振る。


「覚えてない」


それはそうだろう。


兄はまだ小さかった。


「気が付いたら森だった」


私は黙る。


兄も黙る。


しばらくして。


兄が言った。


「だから嫌」


私は聞く。


「何が?」


兄は答える。


「中央」


静かな声だった。


私は頷く。


それ以上聞かなかった。


兄も話さない。


私は毛布を掛ける。


兄は目を閉じる。


「みー」


「なに?」


兄は少しだけ笑った。


「ありがとう」


私は答える。


「寝ろ」


兄は頷いた。


「うん」


そのまま眠った。


私は火を見る。


兄を見る。


そして。


コウジの実を見る。


主人公は思った。


味噌。


作れないかな。

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