第14章 ⑦
第14章⑦ 蔦
翌日だった。
私は洞窟の前に座っていた。
昨日の端切れを見る。
風で揺れていた。
良い感じだった。
でも。
まだ足りない。
主人公は思った。
床が冷たい。
本当に冷たい。
私は洞窟の床を見る。
石だ。
兄を見る。
妹を見る。
犬も見る。
冬は嫌だった。
私は立ち上がる。
「兄」
兄が振り向く。
「なに?」
私は言った。
「蔦ある?」
兄は少し考える。
そして頷いた。
「ああ」
どうやらあるらしい。
良かった。
「欲しい」
兄は聞いた。
「どれくらい?」
私は少し考える。
そして答えた。
「いっぱい」
兄が止まった。
「いっぱい?」
私は頷く。
「いっぱい」
兄は黙った。
でも頷いた。
優しい。
私達は森へ向かった。
妹もいる。
犬もいる。
兄が先頭だった。
しばらく歩く。
そして。
兄が指差した。
「あった」
蔦だった。
大量だ。
木へ絡まっている。
魔女の森のようだ。
知らないけど。
私は引っ張る。
抜けた。
まだ続いていた。
引っ張る。
まだ続いていた。
長い。
凄く長い。
私は引っ張る。
兄も引っ張る。
犬は見ていた。
妹は楽しそうだった。
大量だった。
私は満足する。
兄は少し疲れていた。
何故だろう。
洞窟へ戻る。
私は大鍋を出した。
蔦を見る。
少し考える。
このままじゃ駄目だ。
煮よう。
私は蔦を鍋へ入れた。
水を入れる。
火を付ける。
ぐつぐつ。
ぐつぐつ。
妹が聞いた。
「なにしてるの?」
私は答える。
「ベッド」
妹は首を傾げた。
兄も首を傾げた。
しばらくして。
蔦を取り出す。
柔らかかった。
良い感じだった。
これなら編める。
私は編み始める。
一本。
また一本。
交差させる。
引っ張る。
交差させる。
引っ張る。
思ったより難しい。
でも出来る。
私は続けた。
兄も手伝ってくれた。
夕方だった。
大きな蔦のマットが出来た。
私は地面へ置く。
乗る。
適度な弾力。
良かった。
直寝から解放。
兄も乗る。
妹も乗る。
犬も乗る。
多分大丈夫。
その時。
私は余った蔦を見る。
まだ大量だった。
主人公は思った。
もったいない。
私は蔦をもう一度鍋へ入れた。
ぐつぐつ。
ぐつぐつ。
取り出す。
石で叩く。
まだ硬いな。
また煮る。
取り出してまた叩く。
よし
叩く。
叩く。
叩く。
兄が聞いた。
「何してるの?」
私は答える。
「叩いてる」
兄は止まった。
何故だろう。
私は続ける。
叩く。
叩く。
叩く。
その後。
川で洗った。
何度も洗った。
綺麗になった。
良い感じだった。
私は洞窟へ戻る。
干す。
並べる。
待つ。
翌日だった。
私は乾いた蔦を持つ。
触る。
少し考える。
もう一度触る。
思ってたのと違った。
ふわふわではなかった。
ゴワゴワだった。
私は黙る。
兄が聞いた。
「失敗?」
私は少し考える。
そして答えた。
「綿じゃない」
兄は頷く。
確かに綿ではなかった。
私はもう一度触る。
ねじる。
ねじる。
少し考える。
そして頷いた。
「縄」
兄が止まった。
「縄?」
私は頷く。
「縄」
主人公は思った。
綿にはならなかった。
でも。
縄にはなった。
使える。
多分。




