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第14章 ⑤続き


翌日。


私は鍋を持ってギルドへ向かう。


鍋にはシチューのベースが入ってる。


少し早い。


でも仕込みがある。


ギルドへ入る。


食堂はまだ空いていた。


受付嬢が手を振る。


「おはようございます」


私は頷く。


「おはよう」


鍋を置く。


火を借りる。


材料を出す。


今日は野菜シチューだった。


昨日市場で買った野菜。


少しだけ肉。


水。


塩。


煮る。


ベースを入れる。


混ぜる。


煮る。


良い匂いがしてくる。


私は味を見る。


大丈夫だった。


多分。


しばらくすると食堂へ人が入ってくる。


冒険者だった。


鍋を見る。


私を見る。


鍋を見る。


そして聞いた。


「今日は何だ」


私は答える。


「野菜」


男は少し考える。


「肉は」


「少し」


男は頷いた。


良かった。


10時になった。


営業開始だった。


私は器へよそう。


渡す。


銅貨3枚。


渡す。


また渡す。


思ったより忙しい。


冒険者達が食べる。


食べる。


また食べる。


私は鍋を見る。


減っていた。


主人公は思った。


売れている。


昼だった。


鍋を見る。


空だった。


私は少し驚く。


全部売れた。


受付嬢が笑う。


「完売ですね」


私は頷く。


完売だった。


少し嬉しい。


その日。


私は14時に帰った。


ギルマスが聞く。


「本当に帰るのか」


私は頷く。


「帰る」


「まだ客はいるぞ」


「寝具」


ギルマスは黙った。


私は帰った。


普通だった。


その後。


毎日だった。


野菜シチュー。


キノコシチュー。


魚シチュー。


少しずつ変わる。


でも全部売れた。


多めに作っても売れ残りが無い。


良い事だった。


数日後だった。


私は鍋と味噌を持ってきた。


受付嬢が見る。


「今日は二つですか?」


私は頷く。


「気分」


受付嬢が止まった。


何故だろう。


私は鍋を置く。


火へかける。


味噌アラ汁だった。


魚屋で貰ったアラ。


野菜。


そして味噌。


少しだけ。


かなり貴重だった。


私は味を見る。


美味しかった。


アラから良い出汁が出てる。


開店だ。


張り紙を出す。


本日の限定


味噌アラ汁


10食


銅貨20枚


受付嬢が見る。


2度見した。


何故だろう。


その後。


冒険者達が集まる。


張り紙を見る。


止まる。


もう1度見る。


「高くないか?」


私は頷く。


「味噌」


男は黙った。


どうやら納得したらしい。


その後。


1人買う。


2人買う。


3人買う。


そして。


「美味ぇ!」


誰かが叫んだ。


食堂が静かになる。


味噌アラ汁を見る。


また見る。


そして。


行列が出来た。


私は少し驚く。


かなり。


10分後。


完売だった。


私は鍋を見る。


空だった。


受付嬢も見る。


空だった。


「終わりです」


私は頷く。


終わりだった。


遅れて冒険者が入ってくる。


張り紙を見る。


鍋を見る。


私を見る。


「終わった?」


私は頷く。


「終わった」


男は固まった。


「作れ」


私は首を振る。


「無理」


男は天井を見た。


その日の夕方だった。


私は帰ろうとしていた。


その時。


冒険者が声を掛けてきた。


「なあ」


私は止まる。


「何?」


男は少し考える。


「アレがあったら作るのか」


私は頷く。


「作る」


男の顔が明るくなった。


私は続ける。


「でも無い」


男は黙った。


どうやら知っていたらしい。


次の日だった。


開店前。


冒険者が来た。


何か持っている。


私は見る。


茶色かった。


よく分からない。


「味噌か?」


私は見る。


匂いを嗅ぐ。


違った。


「違う」


男が崩れ落ちた。


何故だろう。


その次の日。


また誰か来た。


何か持っている。


私は見る。


違った。


その次の日も。


違った。


冒険者は暇なのだろうか。


その頃には。


味噌アラ汁の日だけ。


開店前から人が並ぶようになっていた。


凄いな味噌……。


数日後のことだ。


味噌アラ汁の日。


私はいつも通り張り紙を出した。


本日の限定


アラ汁


10食


銅貨20枚


開店前だった。


既に並んでいた。


うわっ……。


開店する。


1人目。


2人目。


3人目。


順調だった。


そして。


10分後。


完売。


やっぱりだった。


私は鍋を見る。


空だった。


その時だった。


遅れて冒険者が走ってきた。


「まだあるか!?」


私は首を振る。


「無い」


男が固まった。


後ろから別の男も来る。


「俺の分は!?」


「無い」


「何でだ!」


私は少し考える。


「10食」


本当だった。


男達は頭を抱える。


何故だろう。


その時だった。


「何とかならないか?……」


「うーん」


予約……やるか?


「わかった。何とかする」


私は男を見る。


「予約とる。その代わり、条件がある」


「条件?」


男達が止まる。


「うん。条件」


私は頷く。


「私にもメリット欲しい」


全員黙った。


だってね?私は味噌を使う。


貴重品。


魚も使う。


時間も使う。


何も無いのは嫌だ。


男達が顔を見合わせる。


「金か?」


私は首を振る。


「違う。欲しいものがある」


男達が止まる。


何故だろう。


私は続ける。


「毛糸」


「毛糸?」


「布」


「布?」


「針」


「市価の半額以下で欲しい」


受付嬢が吹き出した。


何故だろう。


私は真面目だった。


冬が来る。


兄がいる。


妹もいる。


犬もいる。


寝具も欲しい。


服も欲しい。


男達は少し考える。


「それより安く手に入るなら?」


私は頷く。


「予約」


男達が固まった。


私は続ける。


「必ず食べられる」


その瞬間。


空気が変わった。


「本当か?」


私は頷く。


「本当」


男達がざわつく。


どうやら欲しいらしい。


「毛糸なら東市場だな」


「布は行商人か」


「針は鍛冶屋だ」


何故だろう。


急に真面目になった。


私は少し嬉しい。


毛糸は欲しかった。


その日の帰りだった。


私は受付嬢を見る。


受付嬢もこちらを見る。


そして言った。


「客商売上手ですね」


私は頷く。


「うん」


私は冬支度がしたい。


毛糸。


欲しいな。

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