第14章 ②
第14章② 下町探索
心の俳句
いつまでも
あると思うな
業スー品
私は町へ向かう。
歩きながら考える。
味噌もある。
めんつゆもある。
料理酒もある。
異世界だった。
業務スーパーは無かった。
当たり前だった。
私は少し空を見る。
転移してから二十日くらい。
主人公はまだチートが生えてこない。
代わりに調味料が少しずつだが確実に減っている。
今日は市場調査だった。
何が売っているのか。
どんな店があるのか。
いくらなのか。
屋台では何を売っているのか。
どんな味付けをしているのか。
冬になる前に知っておきたかった。
まずは野菜屋だった。
私は並んでいる野菜を見る。
うん。
全部、見たことがあるものだ。
呼び方はちがうけど。
食べて違ってたら面白い。
いや、それは良くない。
ラノベではバナナだと思ったら味がリンゴだった。
それは困る。
値段も見る。
大体分かる。
薬草を売り始めてから、お金は少し覚えた。
私は頷く。
1通り買ってみる。
後で食べてみよう。
次は肉屋だった。
肉を見る。
鳥もある。
流石に分かる。
私は少し嬉しくなる。
「骨とか内臓どうしてる?」
店主が止まる。
「骨?」
店主は奥を見る。
どうやらあるらしい。
店主は少し考える。
「捨てるな」
やっぱり。
「欲しい」
今度は店主が私を見る。
「何に使う」
「犬のエサ」
店主は暫く黙る。
「持ってくか?」
私は頷く。
「今日の分だけ」
店主は少し笑った。
どうやら変な人だと思われたらしい。
次は魚屋だった。
魚が並んでいる。
大小様々。
干した魚。
塩漬けらしい魚。
色々あった。
魚屋を見る。
魚を見る。
そして聞く。
「アラある?」
魚屋が止まる。
「アラ?」
私は頷く。
「頭とか骨とか」
魚屋は少し考える。
そして店の奥を指差した。
桶があった。
どうやらあれらしい。
私は少し嬉しくなる。
「欲しい」
魚屋も私を見る。
肉屋と同じ顔だった。
何故だろう。
「持ってくか?」
私は頷く。
「今日の分だけ」
魚屋は少し笑った。
何故だろう。
次は屋台だった。
串焼き。
揚げ物。
コルン焼き。
パン。
色々あった。
私は見て回る。
そして気付く。
塩だった。
大体塩だった。
時々ハーブ。
後は塩だった。
塩は偉大らしい。
私は頷く。
次は古着屋だった。
服を見る。
兄の服を見る。
妹の服を見る。
自分の服も見る。
高かった。
私は静かに店を出る。
次は生地屋だった。
布が並んでいる。
触る。
柔らかい。
触る。
少し硬い。
触る。
値段を見る。
私はそっと手を離した。
端切れが入ってる箱を見る。
許容範囲だ。
次は雑貨屋だった。
木の皿、木のお椀、木工品。
針がある。
糸もある。
私は立ち止まる。
でも今じゃない。
最後におばちゃんの所へ行く。
おばちゃんは今日もコルンポップを売っていた。
私を見る。
「何だい」
私は頷く。
「骨捨ててるんだね」
おばちゃんが止まる。
「は?」
私は肉屋を見る。
魚屋も見る。
「骨とかアラとか」
おばちゃんはしばらく黙る。
そして言った。
「あんた」
私は頷く。
「変わってるね」
私は少し考える。
そして答えた。
「美味しいよ?」
おばちゃんは吹き出した。
「?」
骨は美味しい。
出汁が出る。
とても。
私は肉屋を見る。
魚屋も見る。
味噌もある。
まあ、何とかなるだろう。
私は少し考える。
そして聞く。
「そう言えば」
おばちゃんがこちらを見る。
「何だい」
「冒険者ギルドって身分証明になるの?」
おばちゃんは頷く。
「なるよ」
やっぱり。
「登録してる人多いの?」
「多いね。薬草採りもいるし、荷運びもいる」
私は少し安心する。
魔物と戦うだけではないらしい。
「商業ギルドは?」
今度はおばちゃんがこちらを見る。
「商売でもするのかい?」
私は首を振る。
「まだ」
おばちゃんは頷く。
「なら今は要らないね」
「違うの?」
「冒険者ギルドは仕事探しだ」
私は頷く。
分かりやすい。
「商業ギルドは商売する人の集まりさ」
私は少し考える。
「面倒?」
おばちゃんは吹き出した。
「面倒だよ」
やっぱり。
私は頷く。
おばちゃんも頷いた。




