第14章 ①
第14章① 冬支度
夕食の後だった。
妹は犬を撫でている。
犬は眠そうだった。
兄は薪をまとめている。
私は寝床を見る。
入り口に近かった。
少し考える。
そして兄を見る。
「ねぇ」
兄が顔を上げる。
「冬もそこ?」
兄は寝床を見る。
そして頷く。
「うん」
私は少し首を傾げる。
「去年は?」
兄は少し考える。
「知らない」
私は頷く。
だよね。
兄はまだ五歳だった。
私は洞窟の奥を見る。
「他に広い場所ないの?」
兄も奥を見る。
そして頷く。
「ある」
あるんかい。
兄は立ち上がる。
「こっち」
私は付いて行く。
妹も付いて来る。
犬も付いて来る。
かなりではなく、本当に付いて来る。
まず中央の広場だった。
今の生活場所より少し広い。
兄はそのまま右へ進む。
見覚えがあった。
ベランダのある場所だった。
兄のお気に入りの場所。
私は少し笑う。
兄はそのまま奥へ進む。
短い通路だった。
その先は崩れていた。
岩が積み重なっている。
天井も少し欠けていた。
私は少し離れる。
危ない。
兄もそれ以上は近付かない。
どうやら行き止まりらしい。
私は中央広場へ戻る。
今度は左を見る。
通路があった。
兄も付いて来る。
その先には広めの部屋があった。
私は周りを見る。
悪くない。
入り口より暖かそうだった。
そこから先を見る。
細い通路が続いている。
私は指を差す。
「こっちは?」
兄も見る。
「知らない」
私は兄を見る。
「行った事ないの?」
兄は頷く。
「狭いから」
なるほど。
私は少し考える。
そして進む。
兄も付いて来る。
妹も付いて来る。
犬も付いて来る。
通路を抜ける。
先が開けた。
思ったより広い。
八畳くらいはありそうだった。
私は周りを見る。
壁が少し湿っている。
床も少し湿っぽい。
奥を見る。
暗かった。
水があるのかもしれない。
私は壁を見る。
天井も見る。
崩落した場所とは違う。
でも。
何となく嫌だった。
私は入口へ向かう。
兄が聞く。
「どう?」
私は振り返る。
「ここはやめる」
兄は頷く。
理由は聞かなかった。
私はさっきの広い部屋を見る。
入り口より暖かそうだった。
湿ってもいない。
崩れてもいない。
ここかな。
冬になったら考えよう。




