第13章 ④
第13章④ 夕陽
私達はしばらくその場所にいた。
妹は犬と遊んでいる。
犬も楽しそうだった。
兄は景色を見ている。
私は切り株へ座った。
良い切り株だった。
兄がこちらを見る。
少しだけ呆れた顔だった。
何故だろう。
私は景色を見る。
風が気持ち良かった。
遠くまで見渡せる。
森も見える。
丘も見える。
空も見える。
私は聞いた。
「よく来るの?」
兄は頷く。
「うん」
それだけだった。
私は頷く。
兄らしかった。
しばらく誰も喋らない。
でも不思議と嫌ではなかった。
妹の笑い声が聞こえる。
犬が走る。
兄は景色を見る。
私は空を見る。
やがて兄が言った。
「見える」
私は周りを見る。
森だった。
空だった。
丘だった。
私は頷く。
「見えるね」
兄も頷く。
それだけだった。
でも何となく分かった。
兄はこの景色が好きなのだ。
私はもう一度景色を見る。
確かに良い場所だった。
気が付くと空が赤くなっていた。
いつの間にか夕方だった。
夕陽が森を照らしている。
丘も赤い。
空も赤い。
綺麗だった。
妹も空を見ていた。
犬も座っていた。
兄も景色を見ている。
しばらく誰も喋らなかった。
その時だった。
ぐぅぅぅ。
音がした。
私は止まる。
兄も止まる。
妹も止まる。
犬も止まる。
数秒だった。
妹がお腹を押さえる。
「おなかすいた」
私は笑った。
そして言った。
「ご飯食べようか」
妹が嬉しそうに頷く。
犬も尻尾を振った。
兄も頷く。
「うん」
私達は生活している場所へ戻った。




