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第13章 ➂

第13章③ 良い場所


翌朝だった。


私は少し早く起きる。


兄も妹も、犬までも起きていた。


パンを食べる。


準備をする。


そして兄を見る。


兄もこちらを見る。


やがて言った。


「行こう」


私は頷く。


妹も頷く。


犬は最初から行く気だった。


洞窟の奥に向かった。


兄が先頭だった。


私は付いて行く。


妹も付いて行く。


犬も付いて行く。


生活している場所よりさらに奥だった。


やがて少し明るくなる。


私は少し驚く。


外だった。


やがて兄が止まる。


私は前を見る。


切り株だった。


何故こんな所に切り株が……。


大きかった。


私は頷く。


良い切り株だ。


兄は黙った。


妹も黙った。


犬も黙った。


何故だろう。


兄は少し困った顔をする。


そして言った。


「違う」


私は切り株を見る。


もう一度見る。


やっぱり良い切り株だ。


兄は小さく溜息を吐いた。


そして切り株の向こうを指差す。


私は顔を上げた。


そこで初めて気付いた。


崖の途中らしい。


下には森が広がっていた。


遠くの丘も見える。


空も見える。


かなり遠くまで見渡せた。


凄い景色だった。


風も気持ち良かった。


私はしばらく見ていた。


そして言った。


「良い場所だね」


兄は少し驚く。


それから頷いた。


少しだけ嬉しそうだった。


妹も笑う。


犬は切り株の上へ乗っていた。


良い場所だった。


兄は景色を見る。


しばらく見る。


そして小さく言った。


「ここ」


私は待つ。


兄は続ける。


「好き」


それだけだった。


私は頷く。


「うん」


本当に良い場所だった。


兄は少しだけ笑った。


本当に少しだけ。


私に見せたかったのはこれだったんだ。

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