62/102
第11章 ➅
第11章⑥ 切る
皮剥きは終わった。
長かった。
辛かった。
私は山になったカルト芋を見る。
達成感は無かった。
疲れただけだった。
おばちゃんは言った。
「次だよ」
私は固まる。
まだあるらしい。
聞かなかった事にしたい。
おばちゃんは包丁を持つ。
カルト芋を置く。
そして切る。
トン。
トン。
トン。
早かった。
かなり。
私は少し考える。
そして思い出した。
包丁だった。
私にもあった。
かなり良い包丁だ。
私は少し元気になる。
カルト芋を持つ。
置く。
包丁を持つ。
そして切る。
スッ。
私は止まる。
もう一回切る。
スッ。
良かった。
かなり良かった。
私は少し機嫌が直る。
さらに切る。
スッ。
スッ。
スッ。
揃っていた。
素晴らしい。
文明だった。
おばちゃんは少し呆れていた。
やがて。
切ったカルト芋も山になる。
かなり山だった。
私は見る。
おばちゃんも見る。
しばらく見る。
そしておばちゃんは言った。
「油だね」
私は頷く。
知っている。
カルト揚げだ。
主人公は少しだけ元気になったようだ。




