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第11章 ⑤
第11章⑤ 皮剥き
私はカルト芋を見る。
おばちゃんも見る。
カルト芋だ。
うん。見間違いではない。
逃げたい。
おばちゃんは言った。
「ほら」
カルト芋を渡された。
私は受け取る。
重かった。
そしてナイフを持つ。
皮を剥く。
皮を剥く。
まだある。
剥く。
私はカルト芋を見る。
山だった。
全く減った気がしない。
主人公は思った。
多かった。
おばちゃんは慣れた手付きだった。
シュッ。
シュッ。
シュッ。
早かった。
私は少し感心する。
そして自分を見る。
のろかった。
かなり。
私は黙々と皮を剥く。
剥く。
剥く。
剥く。
飽きた。
まだあった。
何故だろう。
減らない。
不思議だった。
現実逃避をし始めた。
昔もこんなことが有ったような…。
思い出した。
祖母だった。
干し柿を作っていた。
秋だった。
縁側だった。
柿が並んでいた。
そして。
木で出来た皮剥き器があった。
細長い木。
先に刃。
それだけだった。
でも。
速かった。
うむ。
おばちゃんを見る。
カルト芋を見る。
もう一度見る。
欲しい。
今すぐ欲しい。
おばちゃんは聞いた。
「どうしたんだい」
私は答える。
「皮剥き」
おばちゃんは首を傾げた。
「今やってるだろ」
確かに。
私は頷く。
その通りだ。
でも違った。
やがて。
皮を剥き終わったカルト芋が山になる。
今度は切るらしい。
飽きた………。
帰りたい。




