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第10章 ➅
第10章⑥ 包丁
私は洞窟へ戻る。
少し急いだ。
包丁だ。
良い包丁だ。
私は洞窟へ入る。
妹が見る。
兄も見る。
犬も見た。
私は包丁を掲げる。
「包丁」
妹は首を傾げた。
兄も首を傾げた。
犬は興味が無かった。
私は少し考える。
伝わらなかったらしい。
……残念だ。
私は荷物を見る。
ジャガイモモドキ…いや、カルト芋があった。
良かった。
皮を剥く。
私はまな板を置く。
包丁を持つ。
そして切る。
スッ。
私は止まる。
もう一回切る。
スッ。
おおおお!
もう一回切る。
スッ。
揃っていた。
素晴らしい。
文明だった。
ふふふ。
私は切る。
切る。
切る。
切る。
気付く。
増えた。
思ったより増えた。
多かった。
でも仕方ない。
切ったのは私だった。
私はフライパンを取り出す。
油を少し入れる。
火へ掛ける。
しばらく待つ。
そしてカルト芋を入れた。
ジュウ。
良い音だった。
私は少し嬉しくなる。
木の箸で混ぜる。
ひっくり返す。
また混ぜる。
やがて少し色が変わる。
良い感じだった。
多分。
私は塩を取り出す。
少し振る。
さらに少し振る。
多分大丈夫だった。
私は一つ摘まむ。
ふーふーする。
食べる。
もぐ。
私は止まる。
もう一つ食べる。
もぐ。
うん。
私は頷く。
「美味しい」
包丁を買って良かった。
かなり良かった。




