第9章 ①
第9章① お金
朝だった。
私は袋を見る。
中を見る。
お金だった。
増えた。
良い事だった。
私は袋をひっくり返す。
じゃらり。
音がした。
鉄貨。
小銅貨。
銅貨。
銀貨。
色々あった。
分からなかった。
私は並べる。
途中で分からなくなる。
もう一度並べる。
やっぱり分からなくなる。
いっぱいだった。
多分。
私はしばらく考えた。
そして兄を見る。
兄は外へ行く準備をしていた。
私は聞く。
「これどれくらいあるの?」
兄は足を止めた。
お金を見る。
私を見る。
もう一度お金を見る。
そして座った。
分かるらしい。
良い事だった。
兄は手際良く分け始める。
鉄貨。
小銅貨。
銅貨。
銀貨。
あっという間だった。
私は感心した。
凄かった。
兄は全部数え終わる。
そして言った。
「結構ある」
私は頷く。
結構だった。
兄は続ける。
「下町ならしばらく困らない」
私は少し安心した。
兄は銀貨を見る。
少し考える。
そして言った。
「何か買うのか」
私は頷く。
買いたかった。
かなり。
兄は聞く。
「何を」
私は即答した。
「まな板」
兄は黙った。
私は待つ。
兄はまだ黙っている。
主人公は思った。
難しい質問だったらしい。
やがて兄が言った。
「まな板」
私は頷く。
「まな板」
兄は少し考えた。
そして言った。
「買える」
私は少し嬉しかった。
買えるらしい。
良い事だった。
兄は立ち上がる。
妹を見る。
犬を見る。
そして外へ向かった。
私はお金を袋へ戻す。
増えた。
まな板も買える。
良い事だった。
異世界生活九日目。
今日は下町へ行こうと思った。




