第48章 ⑥
カイルとミラにも知らせることになった。
結婚の話はもうしてある。
今度は、その続きだ。
二人が来たので、お茶を出した。
カイルはいつも通りだった。
ミラもいつも通りだった。
ニコだけが少し落ち着かない。
「どうした?」
カイルが聞く。
「話がある」
「また?」
「また」
カイルがサラを見る。
次にニコを見る。
「式の日、決まった?」
「まだ」
「じゃあ何?」
サラが答えた。
「赤ちゃんできた」
カイルが止まった。
ミラも止まった。
少しして。
カイルがニコを見る。
口元が少し上がった。
「ニコ君は~」
「その言い方やめて」
すぐ返した。
私は笑いそうになった。
ミラは笑わなかった。
サラを見る。
それからニコを見る。
じっと見る。
ニコが少し姿勢を正した。
「……何?」
ミラが言った。
「男って節操ないよね」
ニコが固まった。
「待って」
「何?」
「僕だけの話じゃないよね?」
「でもサラのお腹に赤ちゃんがいる」
「それはそうだけど」
「式もまだなのに」
「結婚することは決まってるよ」
「そういう問題?」
ニコが黙った。
助けを求めるようにカイルを見る。
カイルは笑っていた。
助ける気はなさそうだ。
するとミラがカイルを見た。
今度はカイルが止まった。
「何?」
「別に」
「今、俺も見たよな?」
「見た」
「何で?」
ミラが少し間を置いた。
「三人」
カイルが黙った。
そうだった。
三人いる。
しかも最初の一人は、結婚する前だった。
「いや、俺の場合は」
「何?」
「……何でもない」
賢い。
余計なことは言わない方がいい。
ニコがカイルを見る。
さっきまで笑われていたのに、今は少し仲間を見るような顔になっている。
男二人。
何となく肩身が狭そうだ。
「でも、おめでとう」
ミラがサラに言った。
「ありがとう」
「体、大丈夫?」
「今は少し気持ち悪いくらい」
「無理しちゃ駄目だよ」
「うん」
ミラはもう一度ニコを見る。
「ちゃんと見ててね」
「分かってる」
「畑も」
「僕が止める」
「止めても行きそうだけど」
「行くよ」
サラが言った。
全員がサラを見る。
「何?」
「行くの?」
私が聞いた。
「毎日は行かないよ。でも見には行く」
やっぱり行くらしい。
「重いものは持たない」
「うん」
「無理しない」
「うん」
「具合悪くなったら帰る」
「分かった」
約束だけはしてもらう。
あとは本人に任せる。
カイルがニコの肩を軽く叩いた。
「まあ、頑張れ」
ニコがその手を見る。
「カイルには言われたくない」
「何で?」
「三人」
今度はニコが言った。
ミラが吹き出した。
私も笑った。
サラも笑っている。
カイルだけが納得していない。
「三人は関係ないだろ」
あると思う。
多分。
こうして、結婚式の準備より先に、赤ちゃんを迎える準備が始まった。




