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第8章 冷凍品完了②

第8章 鳥汁


◆感染拡大


私は鍋を火にかけた。


鶏肉を入れる。


菜の花を入れる。


カットごぼうを入れる。


椎茸も入れる。


最後にネギの様なものを入れた。


ぐつぐつ。


良い匂いが広がる。


私は味噌を取り出す。


少し入れる。


めんつゆも少し入れる。


味を見る。


多分大丈夫だ。


今日は兄も屋台を手伝っている。


器を運ぶ。


薪を運ぶ。


時々客へ渡す。


おばちゃんは上機嫌だ。


鳥汁は売れた。


また売れた。


私はお玉で鍋をかき混ぜる。


鍋を見る。


減った。


良い事だった。


その時だった。


男が近付いて来た。


身なりの良い商人だった。


商人は私を見る。


鍋を見る。


そして言った。


「少しお話を」


私は少し考えた。


主人公は思った。


嫌だった。


商人は続ける。


「貴方の料理に興味がありまして」


私は鍋を見る。


鳥を見る。


主人公は思った。


今は鳥だった。


商人は続ける。


「契約のお話を――」


おばちゃんが遮った。


「後にしな」


商人は少し驚く。


「ですが」


おばちゃんは鍋を指差した。


「見りゃ分かるだろ」


商人は鍋を見る。


おばちゃんは言った。


「今鳥だから」


兄は固まった。


商人も固まった。


私は頷いた。


鳥だった。


商人は少し考える。


「いえ、そうではなく――」


「鳥だよ」


おばちゃんは真顔だった。


商人は困惑している。


兄は遠い目をした。


おばちゃんは続ける。


「魚の時も大変だったんだ」


「魚?」


「今日だったからね」


商人は意味が分からなかった。


兄も最初は分からなかった。


今は分かる。


みーはそういう人だった。


商人は諦めずに言う。


「利益のお話を」


「鳥」


「契約のお話を」


「鳥」


「将来のお話を」


「鳥」


商人は黙った。


私は鍋を見る。


減った。


良い事だった。


やがて商人は小さく息を吐く。


「また来ます」


そう言って去って行った。


おばちゃんは頷いた。


「鳥終わったらね」


私は頷く。


兄は二人を見る。


みーを見る。


おばちゃんを見る。


鍋を見る。


しばらく考えた。


そして思った。


増えた。


変な大人が。

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