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第7章 ⑤
第7章⑤ 鍋蓋文明
私は鍋を洗う。
次に鍋蓋を洗う。
おばちゃんが見る。
鍋蓋を見る。
私を見る。
そして言った。
「それさ」
私は顔を上げる。
「何」
おばちゃんは鍋蓋を指差した。
「裏返せば良くないかい」
私は固まった。
鍋蓋を見る。
裏返す。
しばらく見る。
平らだった。
出来た。
おばちゃんが吹き出した。
「今気付いたのかい」
私は少し考える。
石を見る。
鍋蓋を見る。
石を見る。
鍋蓋を見る。
軽い。
おばちゃんはまだ笑っている。
「何で今まで石持ち歩いてたんだい」
私は少し考える。
そして答えた。
「まな板」
おばちゃんは腹を抱えて笑った。
失礼だった。
でも少しだけ納得した。
その日。
石は引退した。
異世界七日目。
シチューとの戦いは終わった。




