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第34章 ⑬
「施設の維持費だ」
「食事を減らして?」
所長の口が閉じる。
「毛布も足りない」
商人は続けた。
「寝台も足りない」
一枚捲る。
「薬品代は中央から別に出ている」
もう一枚。
「職員の給金も別だ」
帳面を所長の前へ押す。
「何の維持費だ?」
所長は紙を見ない。
ギルドマスターが聞く。
「余った金はどこへ行った」
「余っていない」
「帳面では余っている」
「施設の改修に使った」
「どこを改修した」
「研究室だ」
子供の部屋ではない。
寒い寝室でも。
鍵の掛かった扉でも。
一つしかない便所でもない。
研究室。
「新しい器具?」
私が聞く。
「研究には必要だ」
「子供の毛布より?」
「研究施設なのだから当然だ」
所長は言った。
本当に。
当然のように。
薬師が所長を見る。
「子供を保護していると言ったな」
所長は黙る。
「保護施設ではなく、研究施設なのか」
「両方だ」
「金を使う時だけ研究施設になるのか」
薬師の声は静かだった。
「子供を閉じ込めた理由を聞かれた時だけ、保護施設になる」




