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第34章 ⑫
部屋の奥。
子供達のいる方から。
小さな音がした。
誰かが毛布を動かした。
私は振り返る。
見えない。
でも。
いる。
この壁の向こうに。
銀貨十二枚の子供。
銀貨二十五枚の子供。
違う。
サラ。
ルーク。
カイル。
ミラ。
ニコ。
名前がある。
ここにいる子供達にも。
全部。
「子供を売った人には、いくら渡したの?」
私は聞いた。
「仲介人が決める」
「研究所は?」
「受け入れ費を支払う」
「一人分?」
「区分に応じて支払う」
「親に渡るのは?」
所長は黙った。
商人が別の帳面を開く。
「研究所から仲介人へ銀貨十二枚」
指を下へ動かす。
「仲介人から親へ銀貨三枚」
次。
「残りは?」
「移送費と手数料だ」
「九枚もか」
「遠方からの移送には費用がかかる」
商人は帳面を閉じなかった。
「この町から歩いて半日の村だ」
所長は答えない。
「しかも」
商人の指が。
別の数字で止まる。
「研究所は、中央へ銀貨十八枚を請求している」
静かになった。
研究所が仲介人へ十二枚。
中央へ十八枚請求。
その差。
六枚。
商人は所長を見る。
「一人入れるたびに、研究所にも金が残る」




