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第34章 ⑨ー6
誰も何も言えなかった。
私は責任者の札を見る。
立派な札だった。
他の番号より。
少し大きい。
縁まで付いている。
偉い人。
「責任者って」
私は言った。
男がこちらを見る。
「責任を取るから、責任者なんだよね?」
男は答えない。
答えられない。
ギルドマスターが衛兵へ言う。
「こいつも拘束しろ」
衛兵が動く。
責任者の腕を取る。
「待て!」
男が抵抗する。
「私は命令に従っただけだ!」
衛兵は手を離さない。
「離せ!」
男が腕を引く。
「私は何もしていない!」
四の札が。
男を見た。
三の札も。
六の札も。
誰も助けない。
子供達も。
同じことを言ったのだろうか。
離して。
やめて。
嫌だ。
でもこの人はやめなかった。
「動くな」
衛兵が男の腕を後ろへ回す。
「痛い!」
責任者が声を上げた。
私は男を見る。
「聞こえるんだね」
男が止まる。
「痛いって言葉」
責任者は何も言わなくなった。
縄が掛けられる。
胸の札が揺れる。
投与責任者。
もう逃げられない。
責任も下の人へ渡せない。
ギルドマスターは所長を見る。
「さて」
所長の手が。
白い服から離れた。
「現場の責任者は捕まえた」
ギルドマスターの声は静かだった。
「次は」
机の上に中央研究所からの指示書が置かれる。
一番下。
承認の欄。
そこには。
所長の印があった。
「この研究所の責任者だ」




