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第34章 ⑦-2
「違う」
「何が違う?」
ギルドマスターが聞く。
「治療のための投薬だ」
「治療?」
薬師が記録を持ち上げる。
「何の病気を治した」
男は答えられない。
「元気になった子はいるのか」
答えない。
「食べられるようになったか」
答えない。
「熱は下がったか」
答えない。
「意識を失わなくなったか」
何も答えない。
治していない。
弱らせた。
泣けなくした。
動けなくした。
食事へ混ぜた。
ギルドマスターが衛兵を見る。
「記録しろ」
衛兵が筆を持つ。
「子供の体調を把握した上で」
一つ。
「薬品を食事へ混入」
一つ。
「嘔吐後も、新たな食事へ再び混入」
一つ。
「本人へ知らせず、継続して摂取させた」
筆が止まる。
三の札の男が声を上げた。
「命令だった!」
ギルドマスターは男を見る。
「命令なら」
低い声だった。
「子供の食事へ毒を混ぜてもいいのか」
男は黙る。
私は机の上を見る。
薬瓶。
調合表。
子供の記録。
そして。
食事へ混ぜた記録。
薬は勝手に子供の口へ入らない。
作った人がいる。
渡した人がいる。
混ぜた人がいる。
食べさせた人がいる。
全員。
自分は最後に決めていないと言う。
でも。
誰か一人でも止めていたら。
子供の口には入らなかった。
「補助を呼んだって言ったね」
私は三の札を見る。
男の目が。
廊下の奥へ向いた。
そこに。
額へ四の札を付けた男がいた。




