第5章 勇者装備完了④
第5章 勇者装備完了④
その後。
木工職人は約束通り戻って来た。
手には木製の鍋蓋があった。
私は受け取る。
少し大きかった。
でも問題無かった。
鍋に乗れば良い。
嬉しい。
木工職人は笑う。
「ついでだ」
腰の袋を探る。
そして一本のナイフを取り出した。
古かった。
だが刃は生きていた。
「使うか?」
私は頷く。
かなり使う。
木工職人は笑った。
「弟子が使ってたやつだ」
「まだ切れる」
私は受け取る。
主人公は思った。
勝った。
圧勝だ。
その様子を見ていたおばちゃんが笑う。
「持っていきな」
見る。
木のお玉だった。
「貸してただろ」
「返さなくて良いよ」
私は少し驚く。
そして受け取った。
主人公は思った。
増えた。
お玉だった。
主人公は思った。
勇者だった。
多分。
屋台を片付ける。
少しだけ中央の方へ足を向けた。
人が多かった。
店も多かった。
建物も大きかった。
都会だった。
布屋を見付ける。
立ち寄る。
布を見る。
少し考える。
そして買った。
糸も買った。
そのうち必要になるだろう。
多分。
残った金を確認する。
少しだけ減った。
でも満足だった。
鍋蓋がある。
ナイフもある。
布と糸もある。
お玉もある。
十分だった。
夕方。
私は兄と一緒に洞窟へ戻った。
犬が飛び出してくる。
勢いよく走って来る。
妹も入口で待っていた。
安心したようだった。
私は荷物を並べる。
鍋蓋。
ナイフ。
布。
糸。
お玉。
満足だった。
少し考える。
そういえば。
スキルはまだだった。
空を見上げる。
まあいいか。
今は鍋蓋だった。
勇者装備は揃った。
次回予告
平和だった洞窟へ、ついに襲来する。
主人公にとって最も恐ろしい敵だった。
次回 襲来
戦いの火蓋が切られる。




